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⑥モモナとうさぎ

二人は歩きます。
川の流れをさかのぼり。
「モモナが歌うとぼくホワ~ってあったかくなるよ。また歌ってほしいな」
ぺったんぺったん ぴしゃぴしゃ
ぺったんぺったん ぴしゃぴしゃ
「……不思議な歌だね、モモナ」
「ちがうの私が歌ったんじゃないよ」
その音はどうやら峠の先から聞こえて来るようです。

現れたのはもちつきウサギ、聞こえてきたのはおもちを搗く音だったようです。
ウサギは耳をピクピク、しっぽをフリフリしながらじっとモモナの頭の上を見ています。
そして小さな声で「鏡餅‥‥すてきですね」と言いました。
「ええ!ぼくはおもちだったの?」まるるが驚くとウサギも飛び上がりました。
「お餅!……しゃべった!」
「あの、あのね」モモナは川を流れてきたまるるの事を話しました。たぶんお餅ではないと。
残念そうにまるるを眺めていたウサギでしたが、はっと息を吸うと、臼の中に手を入れました。
ウサギはおもちをにゅっと丸めて取り出すと、モモナにすすめます。
そして、ボソボソと話し始めました。
「ウチ………おもち屋さんなんです。ウチ………ひらめいたんです………ウチ、それで……お願いが」


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