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⑤モモナとポンチョと歌

「モモナ、ぼく仙人岩に会ってみたい!」
「そうだね、そうしよう」
まるるは頭のうえで嬉しそうに小さく飛びはねます。
その時、一陣の風に吹かれてはらりと何かが落ちてきました。
「それならこれを着ていくと良い」

「これは?」
「ポンチョだよ、旅人から風が巻き上げて私の所へ飛ばしてよこしたんだが、山の上は寒いから」
「旅人さんは困らない?」
「南に向かったからな、荷物が減って良かったさ」そう言って木じいはカサカサ笑いながら、モモナの手に一枚葉を落としました。


「それは私の今期一番の自信作なんだが、良かったら持って行くといい」
「すごくキレイ!ありがとう木じい。私、わたし………」
「なんだい?」
「お礼に歌を歌います」
「そうかい!なんと嬉しいことだ、ぜひ聴かせておくれ」
『ここ、ここにいつもいて
空と土を幹でつなぎ
光は葉に変えめぐる旅
ここ、ここにいつもいて
その木陰のおかげに
人も鳥も虫たちも
心憩わせ朝日迎える
ここ、ここにいつもいて
ここにいてくれ、ありがとう』



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