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なんだって本気でやればおもしろい~3年間おんなじ委員会していいんかい

以前、朗読にはちょっと自信がありますと書きました。
読み聞かせはいつも本気です。
「おはなしのくに(Eテレ)」ばりの朗読をしています。
発声、抑揚、間、テンポ、すべてに全力を注いでいます。
本当なら事前に読み込んで、原稿に書き込みをしたいくらい。

実はわたくし、高校時代にNコンに出場し、入賞したこともあるのです。
Nコンと言っても、全国学校音楽コンクールではありません。
我らがNコンは、「NHK杯全国放送コンテスト」です。
Nコンは、放送部のみなさんが、日頃の校内放送活動の成果を競うコンテスト。毎年2000校を超える学校が参加しています(NコンHPより)。
なんで私がNコン出場に至ったのか、書き留めたいと思います。だらだら思い出話を書き殴っておりますので、長文の3000字超えです。

高校時代のお話です。
勉強したり、遊んだり、語らったり、部活をしたり、毎日が青春でした。
そして委員会は、1年の頃から放送委員会。

委員会ってめんどくさい。仲間が集まる部活でもないし、何委員会だったかも覚えてないくらい。委員会の思い出なんてそんなものですよね。
ただ私の中で、放送委員会だけはステキな委員会だと認識していました。
音読も好きだったし、お昼に好きな音楽を流せるし、あとはイベント時に炎天下ではなく放送席に座れる特権も魅力でした。運動会の入場行進や開会式は最の高でしたね。

そんな邪な思いで入った高校1年生での放送委員会。
委員長が熱血な美人さんで、みんなで集まって発声練習なんかしたりして。早口言葉や、鼻濁音の練習もしました。
大きな声出して、ストレス発散にもなって、楽しかったなー。
段々とメンバーも固定化されてきて、私自身もずっと立候補して放送委員会に在籍していました。

そして高2で転機が訪れます。
その春に赴任してきた国語担当のK先生(以下ミスK)。
そのミスKから、ある日告げられたのです。

「あなたたち、アナウンスのコンテストに出てみない?」

一緒にいた友人Mと一緒に、はてながいっぱい浮かびました。
え?何を仰っているの?と。
よくよく聞くと、毎年放送の大会であるNコンが開催されていると。
ミスKはNコン審査員を務めるほどの方だったらしく、
私と友人Mに白羽の矢が立ったという訳でした。

「昼休みに放送室でだべって好きな音楽流そ~」
「そのあとの清掃時間も、音楽を流しアナウンスを入れたあとは
 全校生徒が掃除してるのを放送室から見下ろすだけ~」
「しかも防音室!パソコンもある!楽しいひと時!」
そんな不純な放送委員の私たちが、Nコン!?
少し狼狽えましたが、まあそこは天下の女子高生ですよ。
2人一緒なら別に出てもいいですよ〜、くらいのノリで出場を決めました。

そこからは友人MとミスKとの特訓が始まりました。
発声練習はもちろん、録音して自分の喋りを聞いたり、アクセント辞典を使って正しいアクセントを確認したり。(このときに初めてアクセント辞典を知りました。おもしろかった。)
ときには自分の弱いところを指摘してもらい、改善。私はサ行が弱いって言われたので、特に文末のSの発音を意識して頑張りました。
あとは視線を声より先に送りすぎと言われたので、きちんと文字を見て読むように意識したり。
息の量を調節したり、声が震えないよう呼吸を意識したり。何より私は早口なので、ゆっくり読むこと自体が大変だった。
一方で友人Mは声質もよくて、抑揚も落ち着いてて、贔屓目なしで上手だった。
私も負けないぞ!と、暑い季節も寒い季節も、お互い部活の合間を縫っては練習に明け暮れました。

Nコンではアナウンス部門と朗読部門があります。
朗読部門は指定図書から好きな箇所を選び、指定時間内に読みます。
そしてアナウンス部門は、アナウンス原稿を自作したものを、指定時間1分間で読み上げるというものでした。
時間が来たら即終了のシビアな世界です。遅すぎても速すぎてもダメ。
その原稿作りもなかなかに大変でした。時間内に読み上げれる原稿を作るのです。
1分間に読み上げれる文字数ってご存知でしょうか。だいたい400字程度、原稿用紙1枚分が約1間でアナウンスできる文字数とされています。
内容も自分で考えます。迷いに迷って、高校のアイドル犬だったマサルについて書きました。マサルについてご近所の方や生徒たちにインタビューし、400字弱のニュース原稿にします。毒にも薬にもならない、楽しい夕方の地方ニュースくらいのゆる〜い原稿です。
Nコン前に、リハーサルとしてお昼の放送でアナウンス原稿を練習させてもらったのもよい思い出です。
(しかし私のアナウンス序盤で校内放送が入ってしまい、実は9割流れてなかったっていう。)

そして高3の夏、Nコン地方大会に出場しました。
私とM、そして引率ミスK。
会場の高校には、いろんな学校の高校生が集まっていました。
田舎の高校の私たちは、見たことのない制服がいっぱいで、みんな上手そうに見えて、心臓バクバクでした。
それぞれの会場に案内され、そこからは1人での戦いです。
欲望にも期待にも不安にも絶対押しつぶされない!(B'z/GOLD)

まず予選です。
試験会場の教室に入り、試験番号が書かれた机に着席します。
どきどきしながら前の番号の人たちのアナウンスを聴きます。聴きながらも脳内では自分のアナウンス練習をしていました。
怖い。逃げ出したいけど逃げだせない。やばい!
そうこうしていると私の順番が来ました。こういうときだけ時間が経つのが速いんだからもう。
心臓飛び出るかと思うほど緊張し、声が震えそうになりました。
教室前方の教壇に座り、みんなの方を向いて話します。試験官は別の場所にいて、声だけを聞いて審査されます。
座ってから、何回深呼吸したでしょうか。何分にも感じました。心臓の音が耳にうるさい。早くスタートしなくちゃ!!!と1人焦ります。
覚悟を決め、気合を入れて、高校名・氏名を名乗り、そこからはもうただ原稿をいつも通り読むだけ。

読み終わったあとの解放感といったらもう。
その後みんなと合流。友人Mの顔を見て、やっと安心しました。
そして予選の結果発表を聞きに体育館へ向かいます。
みんなでああだこうだ言いながら歩いていると、ミスKにお電話が。
ミスK「2人ともお予選突破だって~!すご~い!」
え!先生早いよ!結果聞く前じゃん!
と思いましたが、2人とも予選突破だなんて。喜び1割、驚き9割でしたね。
友人Mは絶対いけると思っていましたが、まさか私も!?
え決勝の心の準備なんてしてないよ~!!と内心大慌てでした。

体育館で、確かに予選通過した自分の番号を聞いて、決勝会場へ向かいました。
もうさ、本当にさ、周りはみんな放送部なんですよね。
放送委員なの絶対私たちだけでしょ……なんて思ってしまうほど。
みんなうまいね。
こりゃ上手だわ。
男子も女子も、みんなアナウンサーみたいだもん。
私なんて前髪切り過ぎてて、全然アナウンサーみたいじゃなくて、
サ行も苦手だし、放送委員だし…。
でももうやるしかありません。
与えられた時間で、与えられた課題を読み込み、いざ本番です!

結果、私はアナウンス部門の優秀賞を頂きました。
そして友人Mはなんと朗読部門最優秀賞をもらい、全国大会へ!!(拍手)
その後彼女に、学校での壮行会で、全校生徒の前で朗読をさせられるという苦行が待ち受けていたとは…。

「え、これ委員会よね?」「だるいんですけど」なんて思うこともないくらい、友人Mと頑張りました。
実はところどころ記憶があいまいです。Nコンの流れとかも間違えてるかも。だってもう何年も前だもん。
Nコンで私がアナウンスしたことも、緊張で何も覚えていません。
始まったら、いつの間にか終わった。体感としては本当にそれくらい。
まあそんなことはいいのです。
思い出します、放送室の防音の重たいドアを。どんなに馬鹿笑いしてもへっちゃらで、私とMでずっと駄弁って笑って語らいをして過ごしてました。特訓の日々も楽しかったな。

友人M、ミスK、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
友人Mとは、この放送委員会で初めて知り合い、今でも連絡を取り合うほどの仲になりました。
委員会で出来た親友ってすごくないですか?
ただの放送委員会だったけど、私の青春の1ページです。
きっと今もあの放送室には私達の思い出が詰まっています。

委員会も捨てたもんじゃないよね。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。今日も良い日でありますよーに。