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【絵本感想】『オオカミ県』

今回、紹介する絵本は多和田葉子さんが書いた『オオカミ県』です。

あらすじ

都会の白兎は何を食って生きているのか?
オオカミ県出身の俺は、ネットの書きこみに「オオカミ県の奴らはステーキを食うから田舎者だ」という悪口を見つけ、気になって東京に出てきた。
俺の目に映った兎たちの姿とは? 
オオカミ県で起きるある事件とは? 
苦みのきいたユーモアで現代社会を諷刺し、不思議さ、可笑しさ、不気味さをはらんで展開する物語を、美しく細密な銅版画絵で彩った、初の多和田葉子書き下ろし絵本。

多和田葉子さん

小説家、詩人、戯曲家。1960年東京都生まれ。1982年よりドイツ在住。
日本語とドイツ語で作品を発表。
「かかとを失くして」で群像新人文学賞、「犬婿入り」で芥川賞、ドイツでゲーテ・メダル、クライスト賞を受賞。
著書に『容疑者の夜行列車』(谷崎賞)『雪の練習生』(野間文芸賞)『献灯使』(全米図書賞翻訳部門)『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』ほか多数。

溝上幾久子さん

銅版画家。1965年千葉県生まれ。
1990年から銅版画を中心とした作品を制作発表しつづけている。
書籍、新聞、雑誌のための装画、挿絵など多数。
プライベートプレス「幾文堂」を主宰。

最後に

オオカミ県と呼ばれる場所へ住んでいる主人公。
オオカミ県という名前だからといって、必ずしもオオカミだけが住んでいるとは限らない。
オオカミ県とは別に都会と呼ばれる東京では、「兎」しか住めない。
そこは兎以外の動物も住めるが、兎のフリをしなくてはいけない場所。
おとなしく住んでいるだけでは、その場所にい続けることさえ難しいときがある。
オオカミは狂暴というイメージがあるかもしれないが、おとなしい性格の彼らに危機が迫った時、オオカミになる瞬間があるかもしれない。

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