舞台「Memory of Marionette」 *20/8/1

(※8/6、リンクの修正、一部追記しました)


最初の8/1分として
以前書きためていた、はじめてはまった2.5次元舞台の感想について、ここに書き残します。

このnote用ではなく、1年以上前に2〜3か月かけて書いた文章です。大変長いです。(観劇自体は2019年2月)

お時間がある方、2.5次元に興味があるけどよくわからない方という方、もちろんあんスタや「MOM」ファンの方にも、読んでいただけたら嬉しいです。

いつか、安心して舞台を観に行ける日々が戻ってきますように。


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2.5次元とは何でしょうか?
ごく簡単には、アニメやマンガ、ゲームなどの「2次元」的な作品を、「3次元」である現実空間に再現する表現を指します。
いわば2次元と3次元の中間的存在だから、2.5次元というわけです。
そして、様々な種類がある2.5次元カルチャーの中で、とりわけ人気を集めているのがアニメ等の物語を演劇、さらにはミュージカル形式で上演するというものなのです。
フィルムアート社「<現代演劇>のレッスン」より

上記の本は2016年刊行の現代演劇を紹介するための本で、当時この本に載っていることにとても驚いた。そうか、2.5次元は”現代演劇”なのか、と。
私は舞台関係にも少し関わるような仕事をしている。ちょうど一昨年、2.5次元でも小劇場系でも引っ張りだこの舞台関係者の方とお仕事させていただいた際、世界の舞台芸術関係者のなかでは「2.5次元が日本発のはじめての舞台芸術だという認識になりつつある」と誇らしげにお話されていて、本当に驚いた。
宝塚や劇団四季、日本でメジャーなミュージカルは、西洋のミュージカルを踏襲している。日本古来特有の舞台芸術といわれている歌舞伎も諸説あり、能や狂言などと同じように中国大陸から渡ってきたという説もあるらしい。
だが、この2.5次元は、日本の漫画カルチャーと舞台芸術が絡み合った産物で、日本でしか産まれなかった特有の舞台芸術であると世界に認められはじめているという。
2.5次元演劇は近頃海外公演も多いそうで、日本の漫画カルチャーが浸透している台湾をはじめとするアジア諸国だけでなく、昨年夏には「刀剣乱舞」ミュージカルがパリ公演をしていて話題になっていたことも記憶に新しい。

上記の本はまわりの演劇関係者も読んでいる割合が高く、職場の関係者ともいつか2.5次元舞台を生で観劇したいという話をしていたものの、チケットを取るのがやっとのイメージがあり、普通の劇場で演劇を見るのとはやはり違うイメージが大きかった。
(そしてかつ、私は職場ではオタクということを隠していきているので、大変行きにくかった…ということもある)

年間、小劇場系の舞台公演に10本ほど行く環境ながらも、2.5次元に食指が動かなかったのは、
①ビジュアルが受け付けない。不自然なウィッグや濃すぎるメイクへの違和感
 →舞台照明で飛ぶからだということはもちろんわかっているが…
②ミュージカル形式、誇張した芝居が苦手
 →スポーツものなのになぜ急に歌い躍りだすのか…?!
上記2点がどうにも受け入れられず、いままでは積極的に観ていなかった。
(ミュージカルの楽しさもわかってはいるつもりなのだが、、)

いままで、2.5次元といえるのかは不明だが、宝塚の「ポーの一族」と、

成井豊脚本・演出の「おおきく振りかぶって 夏の大会編」を、友人に誘われて観に行っただけだった。

「おおきく振りかぶって」は成井豊脚本・演出ということもあって、キャラメルボックス公演に近いかなと期待して見に行った。が、高校野球の話にもかかわらず、オープニングにダンスがあり、私は早速辟易してしまったりしていた。(本編や野球シーンの演出はとても良かったけれど)


そんな人間が、今回自らはじめてチケットを買い、住まいのある関東から遠征して福岡の劇場までに足を運び、完全に魅了されて翌日の公演まで観てしまったのが、
「あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ ~Memory of Marionette~」
大千秋楽は、人生初のライブビューイングのチケットも買った。自費でひとつの舞台を短期間に三回も観劇するのははじめてのことだった。

なぜここまでこの作品に魅了されたか?
自分でも驚いているこの事態を言葉にしておこうと思う。
そして、同じく魅了された方、あんスタはわかるが観ていない方はもちろん、願わくば、舞台関係者、2.5次元に興味がなかった人にも、この公演の素晴らしさを知ってもらえるようにまとめたい。


というのも、後述するつもりだが、諸般の事情が重なったようで、元々のコンテンツのファンを回収できず、かつ興行回数や場所などのマネジメントがうまくいかなかったのかプロモーションに大変苦戦していた。興行の後半は空席が多かったために、作品の完成度の高さとセールスが一致していないように感じられたからだ。

以降、まずは原作のアプリゲーム「あんさんぶるスターズ!」についての説明からはじめたいと思う。説明が不要な方は下記点線部分はぜひ読み飛ばしてください。

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原作「あんさんぶるスターズ!」は、男性アイドルを育成するための高校に、プロデュース科というものが新設されるにあたって、はじめて入学したたった一人の女の子の視点からはじまるストーリーアプリゲーム。かわいらしさを兼ね備えたクオリティの高いグラフィックと、アイドルを目指す10ほどのユニットからなる50人ほどのキャラクター色ゆたかなアイドルたちが魅力。(※2020年春に5周年を迎えてリニューアルし、学園ものではなくアイドル業界が舞台になりました。いまは簡単な操作でストーリーを楽しむためにプレイできる「Basic」と、新機能のリズムゲームができる「Music」にふたつのアプリゲームに派生した)


表向きの明るそうなビジュアルとは裏腹に、ゲーム内の青春ストーリーは結構重たい設定も多く、辛いことも抱えながら青春を駆け抜けていく高校生たちの学園群青劇ものとして、中高生から大人の女性まで多くのファン層がついている。
シナリオは小説化、漫画化もされ、そして実際にプロの音楽プロデューサーがつき、声優による各アイドルユニットの楽曲も発売。ヒャダインやALI PROJECT、最近ではナオト・インティライミなどからも楽曲提供を受けていて、高いクオリティの楽曲もファンを集客できる大きな魅力となっている。その楽曲を声優たちが生身で歌うライブイベントもあれば、ライブ会場に演奏家とスクリーンだけがあり、スクリーンでキャラクターたちが歌って踊る「バーチャルライブツアー」もあり、メディアミックスは多岐にわたっている。

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2.5次元舞台化は2016年が初演、2020年8月現在は計7作。主なメインストーリーの舞台化が終わり、エクストラステージとしての2作目が、今回書き残したい「Memory of Marionette」、通称「MOM」

以下、今回のMOMの魅力について

1)ビジュアルの再現度の高さ

私にとって「あんさんぶるスターズ!」は知り合いにすすめられるままにはじめた初の女性向けアプリゲーム。最初こそ好きな声優目当てだったものの、今回舞台化されたストーリーの主軸である「追憶*マリオネットの糸の先」を読んで本格的にはまることになり、主役ユニット「Valkyrie」たちの魅力にもひかれるように。
このユニットはアプリリリースから2年後に追加されたキャラクターたち。その時点ですでに30人ほど学園のキャラクターが存在したので、ビジュアルパターンもある程度出尽くした上での新規キャラだからか、ビジュアル、喋り口調ともに、かなり癖がある。(シナリオを読む上で、キャラの喋り口調はキャラ判別のために重要)
特に、このユニットリーダーである3年生の斎宮宗は、ピンクのショートカットヘアに、「ノンッ!」「~なのだよ!」など平常時から芝居がかった癖のある喋り方で、歌い方にも独特の癖があり、極めつけには衣装作りが趣味で女の子の人形を片手に腹話術まではじめてしまうキャラクターで、生身の成人男性に演じさせるのは不可能に思えた。
また、追加キャラクターであるが故に、他のキャラクターのほとんどはフルボイス化がされているストーリーがあったり、モーションキャプチャーによるCGのダンス映像があったりするのだが、舞台初演時にはこのふたりに関しては前情報がほとんどなかった。
だから、一体どうなるのか検討もつかず、大事故にならないといいな程度にしか思いつつ、元々観る気がなかった2.5次元舞台のことは年末の忙しさにすっかり忘れ去っていた。
しかし、一月中旬、Twitter上のプロモーションでムービーを見て、衝撃を受けた。

イラストが現実の人間になったらこうなるのか、というのを初めて実感した。
逆に、黒髪オッドアイが特徴でビジュアル化はさほどむずかしくなしそうな影片みかの方が、成人体型でがっしりして見えてしまって少し違和感があることが不思議なほどだった。しかし、この二人の身長差はゲームの元絵通り。

そして、Valkyrieを演じる山崎大貴さん、猪野広樹さんは、ヴィジュアルだけでなく芝居でも、ファンたちが「本物」と認めるクオリティを確立していた。
猪野さん演じるみかは、いつもは大阪弁で少し頼りなさを感じるくらいのへらへらっとした喋り方のキャラクターだが、ひとたびライブパフォーマンスになれば、斎宮の操る素晴らしい人形になりきろうとして完璧に踊るという二面性が垣間見えるキャラクター。
いままでフルボイスのセリフもありつつも、斎宮との絡みのあるセリフは多くなかったのだが(舞台当時)、今回、猪野さんは、みかの狂気的ともいえるお師さんへの愛を、平常時のかわいらしい関西弁と、急に声をオクターブ下げる等して狂気的な部分を演じ分けて表現していた。

2)声について

前述したように、ほぼパーフェクトの容姿。ただし、キャラクターのおきまりの台詞や、特にあんステの2.5次元のミュージカルシーンについては、すでに発売されている楽曲(アプリの担当声優が歌っているもの)を聞き慣れている場合、「これじゃない…」という違和感が起きやすいように思う。

Twitter上の販促ムービーは、CDでも流してるのか?というくらい、ほぼ同じ声に聞こえていた。半信半疑のままで行った公演で、激しいダンスを披露しながらの生の歌声を聞いても、CDを流してるのかな?と思ってしまうくらい、高い完成度で度肝を抜かれた。

容姿に関してはもうどうしようもないことの方が多いが、発声に関しては役者さんの頑張りでしかない。声が聞き慣れたゲームアプリとほぼ変わらないというのは異常なほどの安心感で、このことは「本物」と感じるために非常に大きな要素だったように思う。

3)舞台美術、演出のちから

プロジェクションマッピングが多い舞台を生で観たのはおそらくはじめてのことだった。ハイキュー!!のハイステなどは、プロジェクションマッピングあっての舞台になっていることは知識としてあった。
今回観劇して、2.5次元において、プロジェクションマッピングの力は、特にライブシーンなどの盛り上がりを演出する上で必要に思えた。
いくつかのシーンでは、ゲームアプリで使われている背景が投影される。いままでの舞台なら、こういった説明的なプロジェクションは邪魔とされる場合が多いと思うが、ゲームからの2.5次元舞台の場合には、世界観を作る上で必須なのかもしれないと感じた。
特に今回の芝居の冒頭のシーンでも、人形使いが人形を操るというイメージビジュアルを、糸がたくさん張り巡らされてる背景をプロジェクションすることによって再現していた。
そのプロジェクションが多い舞台に対応する舞台美術も、とても良かった。
Valkyrieというユニットが歯車をモチーフにしていることから、今回の舞台美術もそれを踏襲し、上から歯車型のスクリーン用の板を吊るし、舞台左右には歯車を横にしたようなかたちの階段つきの雛壇があり、それがしかも回転するというものだった。(ライブシーン「魅惑劇」の回転演出は最高でした)
ほかにも、場面によっては教会のようなたて込みにして、その奥に階段をつくって敵対するキャラクターを登場させたり、歯車の中央に小道具(糸電話)をからくりのようにしかけたり…と、金額面はそう高くないかもしれないが、細やかなメンテナンスが必要そうな凝った舞台装置だったように思う。
計5都市で公演してるので、これを毎回それぞれの箱に持っていくのはすごいことではないかと感心した。舞台美術さんもこの公演に愛をもって作り上げたことがわかる舞台だった。

一番今回の演目で感動した演出についても書かせてほしい。

まず、あんさんぶるスターズのゲームにて、学園内では高校生アイドルたちによるライブイベントが多く行われる。ライブイベントにはいくつか種類があるが、なかでもストーリーのなかで重視されるのがライブバトル。
ふたつのユニットが順番にライブを行うのだが、お客さんに「サイリウム」(ペンライト)を持ってもらい、チームカラーの光の応援の多さが加味されて勝敗が決まるというもの。
これは、実際の公演のグッズとして、ペンライトが各会場で販売されている。
観客は公式応援グッズとして、このライトを買って、ライブシーンに限って応援できるということになっている。
私はこの文化をあまりわかっていないままに観に行ったので、暗転中にまわりのペンライトが急に光りだした時は驚いた。観客は何度も見ている人が多く、次の展開を予期して先にペンライトを用意しているようだった。

大きな音楽ライブにしか行ったことがなかったので、ライブであれば声をだしたり手拍子で応援したいと思ってしまうのだが、観客は黙々とペンライトを振り続け、曲が終わればライトを消し、曲がはじまるよりも少し早いタイミングでペンライトが点灯する。すごい。
余談だが、この応援方法はすごく日本的に思えた。映画も、観劇も、おとなしくすべきだという教育がされているなかでも、目立ちすぎを避けつつもみんなで応援ができる。
ペンライトでの観劇・応援の文化に驚いた話が長くなってしまったが、今回の演出にはこのペンライトが上手く使われていたのが一番印象的だった。

公式ホームページのあらすじにもあるが、
この物語は、かつてのトップユニットが陥落し、メンバーの一人が脱退してしまい、その後の復帰はなるのか、という話である。

評価が失墜するきっかけは、大きなライブで音響の事故(と、表向きはされている)でライブ中の音楽が止まってしまったことによる。
このトップユニットは、実はソプラノの声をもつ男子高校生が声変わりを迎えたために口パクでのライブをしていたのだが、音楽が途切れたことにより、それが観客にあらわになってしまう。
舞台では実際に、このValkyrieのライブ2曲目の2回目のサビ、盛り上がっているところで音楽が切れる。
それまで会場では、開場時の客入れからひっきりなしになにか音楽が流れているが、それが急にしんと静まり返る。
その際、ライブシーンが止まってセリフがはじまるため、多くのペンライトが消灯する。
ここで思い出してほしいのは、「ペンライトの数がライブの評価に関わる」というこの学園内のルールだ。
客側としては、「ライブシーンでのみ、ペンライトは使用可能」というルールを忠実に守っているだけなのだが、この観客席の反応も物語のなかに組み込まれているように感じた。つまり、ライブの評価につながるペンライトがどんどん消えてしまい、負けてしまう…という、まさにいま目の前で物語がおこっているという錯覚が起き、ぐいっと深く引き込まれたシーンだった。

4)応援したくなる要素

先述したように、この物語はトップアイドルの座から墜落し、そしてメンバー一人まで脱退してしまったユニットが復帰していくまでの話である。
大勢のファンの前で、いままでが口パクだったことがばれてしまうシーンが描かれ、見ていて辛くもある。ネタバレになってしまうかもしれないが、エンディングは決して晴れやかな終わりではなく、しかしそれだけこのValkyrieの力強さを感じ、かれらのこの先の活躍を願わずにいられなくなる終幕になっている。原作3本分のストーリーを原作の良さを損なうことなくつないでいて、脚本としてもとても素晴らしかった。

ただ、今回、私がこんなにはまったのは、このあとの理由が一番大きいように感じている。

《①役者の病気による休演》
大阪公演の途中、大阪千秋楽までの三回の公演が急遽休演となった。
その前日の公演では、役者1名がドクターストップで急遽代打キャストでの公演となり、大幅な演出の変更が行われていたが、翌日には主演キャスト1名がドクターストップとなり、代打はさすがにできずに休演となった。
本来、役者として、病欠で休演や代打キャストというのはあってはならないことだ。役者として、だれかに代わられてしまったり、もしくは自分のせいで休演&払戻となれば、悔しい以上に、非常に情けなく感じずにいられない出来事だと思う。多少の風邪なら大抵の役者は舞台に上がってしまうが、おそらくこの時期特有のインフルエンザだっただろうと思う。

私は、大阪公演直後の福岡の初回公演を元々予約していた。本当に公演はあるのか?当日まで半信半疑で関東から北九州に向かった。役者は大丈夫なのか?と心配していたが、その不安を払拭するようなライブシーンに圧倒された。そして、役者の熱演に涙した。
なにより、13人の役者が、揃って芝居をできていることにとても喜びながら、ひとつひとつの芝居を大切にしていた。(その後2回みたが、この北九州初演は甘噛みが多かったが、ほぼ台詞の間違いがなかったように思う)
カーテンコール(以下、カテコ)は病欠した二人の役者からの謝罪からはじまり、泣きながらの心からの謝罪に思わずもらい泣きをしてしまった。
そんな事情もあり、あの日の北九州初演の舞台には圧倒的な熱量があり、この日ここでしかみれない舞台を、観客と舞台で分かち合えるという演劇特有の素晴らしさを実感できるものだった。
同時に、なぜこんなにも素晴らしい舞台ができているのに座席があいてしまっているのか?とも思い、この感動の正体を見極めるためにも、もう一度みたいと思い、その日の夜に翌日のチケットを買った。北九州の2日目マチネを観劇して、はじめて昨日の病気復帰後の猪野さん(みか役)のダンスが本調子でなかったことを知った。それでも私はあんなに感動したのは、他の役者たちが舞台を支えていたからではないかと思った。2日目は、舞台頭から旧Valkyrieは前日以上の絶好調にみえた。この日は特に、なずな役の大崎さんが一番好調で、猪野さんはその好調につられているのか、Valkyrieは絶好調で、この公演は二人が引っ張っているようにみえた。

元々、私自身、数年前まで10年近く舞台にあがる役者をしていたこともあり、正直役者病欠でこんな実感をもつことにちょっと釈然としない感じもある。が、そのマイナスの事態への立ち向かい方と、カンパニー全員支え会う姿勢に応援したくなった。

というのも、もうひとつ応援したくなった理由があった。

《②カンパニー(座組)と脚本のシンクロ

二回公演をみて、千秋楽のライビュまでにいままでのレポを読むなかで、今回の公演がはじまる前からあんステファンの間で役者に関する不満が募っていたことを知った。それが、先述した元々のファン層を獲得できなかった原因で、あんなに空席がでていた原因でもあったらしい。たしかにファンとしての気持ちはとてもわかるが、問題の多くは制作会社側にあり、今回の役者にはほとんど関係ないことで逆境から始まっていたことを知った。それは、奇しくも、舞台のなかで語られる、一度評価が下げられたユニットが再び大きなステージにたち、評価の復活に挑む…という舞台の脚本の内容と重なるものだった。おそらく役者たちはこの芝居を演じながら、自分達の状況を重ね合わせ、一致団結したチーム力を発揮したのではないかと、(これはただのいちファンの想像でしかないが…)そんな舞台をみて、更に応援したくなり、この文章を書くに至った。少しでも多くのひとに、この舞台をみてもらえたら嬉しい。

5)あんスタ、あんステというコンテンツの強み

この舞台がなぜ良かったか、ということについて語ってきたが、やはりコンテンツとしての強みも大きいと感じた。
冒頭、2.5次元ミュージカルではなぜスポーツものなのに、歌いだしたり踊り出したりするのか、その違和感がぬぐえないと書いた。その点、この舞台はみなアイドルたちなので、踊ったり歌ったりが当たり前だったために、この舞台は違和感なく受け入れやすかったのはあった。
ただ、今回の舞台を何度も反芻するなかで感じたのは、あんスタがユニットソングとして声優が歌って発表していた楽曲は、元々ミュージカル要素が高いのではないかということでもあった。ユニットソングは、アプリ内のイベントに沿った歌詞や楽曲のものが多く、歌詞も非常に物語やアイドルたちの感情に沿うようなものになっていたことに、観劇を通して気がついた。
特に、今回のMOMの舞台でライブがとまってしまうシーンで流れる「砂上ノ楼閣」という曲では、「描いていた完璧が儚く消えるとき」という歌詞があったり、「糸のない人形の重ねた歌声が静かに響いてく」という歌詞が、音楽が止まって評価が落ちた瞬間の独白のあとに悲痛な声で歌われたりと、舞台のシーンにはこれ以上ないほどシンクロし、さながらこの公演のために制作されたミュージカル楽曲のようだった。
他のユニットに関しても、すでに発表されている曲のなかに今回の七夕のライブとストーリー上でぴったりのものがあり、メディアミックスにも非常に強いコンテンツになっているということに驚いた。

以上5点、私が考える舞台「あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ ~Memory of Marionette~」の魅力でした。
他にも、日替わりネタのキャストたちの頑張りとか、紅月の太鼓パフォーマンスの完成度の高さとか、Rabitsのコスチュームが最高にかわいいとか、fineキャストの成長とか…語り尽くせないほどに魅力があるのですが、自分でも驚くほど長くなってしまったので、今回はここまでにします。


BD、DVDともに発売されていますので、もし興味を持たれた方はこちらから


Youtubeの公式のCMもリンクを貼っておきます。


驚くほどの長さになってしまいました。ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、ありがとうございます。

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