米国株、ダウ反落し50ドル安 債務上限で合意も議会承認待ち ナスダックは9カ月ぶり高値

米国株、ダウ反落し50ドル安 債務上限で合意も議会承認待ち ナスダックは9カ月ぶり高値

米国・欧州株概況

2023年5月31日 5:26



【NQNニューヨーク=戸部実華】30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、3連休前の前週末と比べ50ドル56セント(0.2%)安の3万3042ドル78セントで終えた。バイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長が27日、連邦政府の債務上限問題を巡って合意に至った。ただ、市場の一部には議会の承認を巡って慎重な見方も残り、ダウ平均の重荷となった。米利上げが続けば景気を冷やすとの観測も、景気敏感株や消費関連株への売りにつながった。

今回の合意で、債務上限の効力は2025年1月まで停止する。合意案は31日にも下院で採決される見通しだが、民主、共和の両党ともに不満を抱える議員がいる。イエレン米財務長官は6月5日に政府の資金繰りが行き詰まると予測する。「議会が分断しているだけに、承認を得るまでは解決したとはいえないとみられている」(マーフィー・アンド・シルヴェスト・ウェルス・マネジメントのポール・ノルティ氏)との声が聞かれた。

米利上げ継続観測が高まっていることも、相場の重荷となった。リッチモンド連銀のバーキン総裁は30日のイベントで、インフレが「多くの人々が想定する以上に頑固に続きそうだ」との考えを示したと伝わった。前週末に発表された4月の個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率は市場予想から上振れした。インフレ高止まりへの懸念が強まり、米連邦準備理事会(FRB)が6月に追加利上げを決めるとの見方が広がった。

消費関連株や景気敏感株の一角が売られた。クレジットカードのビザやスポーツ用品のナイキ、建機のキャタピラー、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)が安い。ディフェンシブ株も売りが優勢で、製薬のメルクや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が下げた。

半面、米長期金利が低下し、相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株に資金が向かった。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルが買われた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、前週末比41.738ポイント(0.3%)高の1万3017.426で終えた。1万3000台を回復し、昨年8月以来ほぼ9カ月ぶりの高値を付けた。新製品の発表などが好感された画像処理半導体のエヌビディアが3%高で終え、時価総額は初めて1兆ドル台に乗せる場面があった。電気自動車のテスラやネット通販のアマゾン・ドット・コムも買われた。

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