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044 民主主義指数

 民主主義とは何かについての議論が貧弱である。ロシアで選挙が行われて大統領が選出された。しかしながら、ロシアを民主主義国という人は少ない。何故なら、公正な選挙が行われていないから、というのが主たる理由のようだ。では、日本はどうか。胸を張って民主主義国であると言えるだろうか。
 英国のエコノミストグループの研究機関が各国の民主主義指数というのを発表している。選挙、行政、国民の政治参加、政治文化、人権擁護などを指数化している。その指数に基づいて、各国の政治体制を完全民主主義、欠陥民主主義、混合政治体制、独裁政治体制の4つに分類する。これを世界の国数でみると、完全は14.4%、欠陥29.9%、混合20.4%、独裁は35.3%となっている。人口では、完全は7.8%、独裁はほぼ4割である。
 第1位はノルウェーである。ニュージーランド、アイスランド、スウェーデンと続く。台湾が10位に入っているのが目を引く。日本は16位である。国民の政治参加が低く評価されている。一方、人権擁護が比較的高く評価されているのは疑問である。韓国は22位、フランス23位と続く。
 さて、驚きは米国の29位、欠陥民主主義に分類されている。民主主義の仕組みというよりは民度の低さを反映しているのであろうか。中南米、アフリカ、中東などの国々が続く。ロシアは144位、中国は148位となっている。ミャンマー、アフガニスタンが最下位である。2023年の指数として示されているので、自民党の裏金問題などが反映すると大きく順位を下げそうである。
 注目したいのは、この民主主義指数と、一人当たりGDPの相関度である。一人当たりGDPの第1位ルクセンブルクは民主主義指数第11位、第2位以下はノルウェー、アイルランド、スイスと続く。残念ながら日本は32位。一方、ロシアは63位、中国70位である。GDPは資源や教育、国土などによっても左右されるので断定は難しいが、民主主義指数が高い国の多くは豊かであると言えるのではないだろうか。
 日本は民主主義指数ほどには一人当たりGDPは高くない。何故だろうか。それは、日本の民主主義が外形以上に未成熟であるから、と言えるのではないか。一党独裁ではないが、一強独裁を許容してしまう国民性がある。民意を反映しないような選挙制度でも良しとする度量?があるようだ。その辺にしっかりとメスを入れないと、豊かな日本は実現しない。

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