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東京原人Part.2(9月エッセイ②)

 こんばんは、土曜の夜、ダノです。2021年9月11日になりました。今週のダノの表裏noteを公開します。今回も前回の続き、北海道に逃避行したことについて書いています。 

1.北海道に到着

 シートベルト着用サインの音で目が覚める。疲れて寝ていた。視線を地面に落とすと広大な自然が広がっていた。地平線の奥まで緑が広がっている。空とのコントラストにも感動。緑が迫ってきたと思うと、滑走路が機体を吸い込んだ。地面と車輪が接すると体に衝撃が走る。とうとう北海道にやってきた。

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 私にとっては初めての北海道、未開の地である。飛行機の窓から見える空港の景色は東京の空港とそっくりだったので見るのをやめた。機内もそうだが、みんなが同じ服装で、同じような動きをし、同じようなアナウンス。東京化が進んでいる。違ったのは、CAさんのタイツが黒ではなくベージュであること。こりゃたまらん。その方が足が綺麗に見える。あとは、CAさんの出身が大阪なのだろうか、「ありがとうございました」を「ほんまおおきに」としていたのは東京ではないなと感じた。

2.ちゃんと味噌ラーメンを食べる

 機内預け荷物があるほど長居はしないので、颯爽と到着ロビーを後にする。時刻は10時20分。10時間の東京逃避行が始まった。全ての東京から離れてやる。東京にはない店、場所にとにかく行ってやろうと思って、職場の同僚に聞いた「白樺山荘」という北海道で有名な味噌ラーメンが美味しい店に行った。調べてみると空港内にあるらしい。北海道らしい捻りのない「ラーメン道場」たるフードコートがあり、その一角にその店はあった。

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 店員が仲良く並んでまあまあな声で歓迎の挨拶をしている。そんなにせんでもええのにと思いながら、席に座る。水が出てきた。飲んでみると、東京の水より美味しい。北海道の長閑な環境が水を美味しくしているのだろうか。味噌ラーメンを注文すると、「ご自由にどうぞ」と、ゆで卵が6個も入った入れ物が来た。何個食べてもいいらしい。私が慣れない自炊で作ったゆで卵とは質が全く違う完璧なゆで卵だった。ちょうど良い感じの半熟加減で、口の中で黄身が溶ける。そうしているうちにラーメンが到着。思っていた2倍の量がある。

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 メニューではもっと控えめに写真が撮られていたのに。この写真を撮ったカメラマンに私のアイコン写真を撮ってもらったらもっとカッコよく撮ってもらえるかなとか思いながら、ラーメンも顔も素材が命だと諦める。うちのキャンパスの近くにある脂っこい豚骨ラーメンじゃないものは久々に食べたが、かなり美味しい。もう年なのか、ジトジトした脂っこいものはそんなに食べられなくなったので、それに比べたら味噌ラーメンはあっさりしている。野菜もしっかり入っていて体にも良さそうだ。また食べに行きたい。東京にはない味だから。

3.羊に癒される①

 その後、青春18切符が使えるJR線の快速に乗り、恵庭駅に向かう。ここには、「えこりん村」という、羊を見ることができる癒しの場。駅からバスに揺られること10分。この街の風景は東京にはない感じの田舎で良い。岡山よりも田舎で、なんだかほっこりする。多分、都会に向いていないんだろう。村に着いた。東京にも〜村みたいな観光スポットが点在しているが、その村とは全く違う。ここは本当の村なのだ。生え散らかした雑草も大して手入れをされていないし、羊は放牧されている。最初はヤギか羊かどっちか分からなくて、本人に聞いてみたが、当然返事はない。ただ、地図を見ると「羊を放牧しています」と書いてあった。羊だ。かわいい。尻尾を揺らしながらのんびりと草を食べている。動物がそこまで好きではなく、動物園にもここ10年行ったことがない私でも、「美味しい?」「楽しい?」と話しかけてしまうほどだ。私の声掛けもつゆ知らず、むしゃむしゃとひたすらに草を食べている羊を20分ほど眺めた。ストレスがなさそうで何より。

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4.羊に癒される②

 うちのわんちゃんの方が何倍も可愛かったが、羊もかなり可愛い。毛も柔らかそうだし。そんなことを思いながら、札幌駅までの快速に乗る。寝不足が響いたのか、意識が飛んでいた。それからバスに乗り換えてクラーク博士像で有名な「さっぽろ羊ヶ丘展望台」へ。このバスの中でも意識が飛んでいた。やっぱり、寝不足の北海道は、車窓からの景色をなかなか楽しめないので、おすすめはしない。もっとのんびり来るべきだったと反省する。バスから降りて、550円の高いとも安いとも言えない絶妙な価格設定の入場料を払い、中に入る。羊がいた。可愛い。なでなでしたい。顔を上げると、目の前には広大な絶景が広がっていた。北海道だと、コンクリートジャングルも映える。同じ灰色のコンクートだけでも、北海道のそれは緑とのコントラストが鮮やかだ。大手町とか丸の内みたいに高いビルが集中しているところもほぼないため、絶景を邪魔しないように立っている淑やかさも好きだ。ずっと見ていられる。東京よりもコンクリートが目に優しい。

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 垢抜けて自信がついたのだろうか。あんまり写真で笑顔を見せず、怖いと言われ、卒業アルバムでは体育祭の砲丸投の際の死んだ顔を乗せられた”黒歴史”を持つ私にとって、こんなに笑顔な写真は見たことない。ここまで笑顔にさせてくれる羊と北海道は素晴らしい。

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 さらに、#北海道 の投稿には欠かせない存在のクラーク像とも写真を撮った。ピースしかポーズができなかった私も、大衆を迎合させるこのポーズができるようになっている。社会に馴染むってこういうことなんだろう。

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 今回も2,000字を超えてしまったので、次回で最終回にしたいと思う。

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