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新一か、コナンか。〜考察:コナン編〜

『名探偵コナン』は、ご存知の通り、主人公が小学生の江戸川コナンになってしいまい、高校生の工藤新一には容易に戻れなくなってしまうところから物語が始まります。
いつか来るであろう最終巻で彼がどんな決断をするのかは分かりませんが、黒ずくめの組織を打倒して元の新一の身体を取り戻すのを目標に、『名探偵コナン』の物語はここまで続いてきました。
しかし、最終的にコナンが新一に戻る可能性もあれば、新一には戻れず(戻らず)にコナンのまま最終回を迎える可能性も十分考えられます。
(少年漫画だしどうせ最後は新一に戻るんだろうみたいなメタ的な話は、今回の趣旨からはちょっとそれるので棚に上げておきます。)

では、「新一に戻る」と「コナンのまま新一には戻らない」それぞれのシナリオになるにはどんな条件や状況が考えられるのか……。
気になりませんか? 少なくとも私は気になった。
というわけで、条件分けをしながら個々のシナリオの可能性について考えてみることにしました。

※少し長くなってしまったので、1回目:「コナン」シナリオ、2回目:「新一」シナリオに分けて書こうと思います。

最低限必要な3つの要素

『名探偵コナン』が最終回を迎える時、最低でも以下の3つの要素が決まっている必要がありそうです。

【1:新一に戻る/戻らない】

恒久的に新一の身体に戻るか、コナンの身体のまま生きていくかの2択と考えてください。
不完全な解毒剤しかできなかったために普段はコナンで生活しているが、任意のタイミングで一時的に新一に戻れる(が、時間が経つとコナンに戻ってしまう)といったパターンもありえますが、今回はシンプルに考えるため「新一とコナンのどちらの身体で生きていくのか?」という視点で考えていきます。

【2:黒ずくめの組織が崩壊している/していない】

そもそもコナンが蘭に正体を隠しているのは、新一が生きていることが発覚すると組織から命を狙われる可能性があるためなので、組織が崩壊しているかどうかは、新一に戻る決断を彼がする際に大きな影響を与えると考えられます。
ただ、組織が存続していたとしても新一に戻る、という決断も考えられるので、【1】と【2】は包含関係にはないと言えます。

【3:APTX4869の解毒剤が完成している/していない】

身体を小さくしてしまう薬APTX4869の効果を完全に無効化する解毒剤は今のところ作中に登場していません。
【1】との関連も考えていきたいので、今回はシンプルに、「新一に確実に戻れる(APTX4869の効果を完全に無効化する)手段」が存在しているかどうかの視点で考えます。
つまり、【1】が「新一に戻る」となる場合、【3】は確実に「解毒剤が完成している」となり、この2つの要素は包含関係にあります。

ベン図から見えてくる6つのシナリオ

【1】〜【3】の要素を包含関係などを考えながらベン図に落としこむとこうなります。

名探偵コナンをベン図でかいてみる

こうすると、3つの要素の状況に応じて、6つの領域(6つのシナリオ)に分かれることが分かります。それぞれ考えてみましょう。

①:コナン×組織存在×解毒剤未完成

最初に一番外側の領域です。

①:コナン×組織存在×解毒剤未完成

ここは【1:コナンとして生活】し、【2:組織は存在】しており、【3:解毒剤は未完成】という状況です。
雑に言えば、連載中の『名探偵コナン』の状況そのままですね。
この領域については「原作を読んでください!」と言うのが一番な気がするのでこのくらいで……(笑)

②:コナン×組織崩壊×解毒剤未完成

②:コナン×組織崩壊×解毒剤未完成

ここは【1:コナンとして生活】し、【2:組織は崩壊】しており、【3:解毒剤は未完成】という状況です。
黒ずくめの組織を打倒することはできたものの、ATPX4869に関する資料が組織崩壊の際に焼失したなどの理由によって解毒剤の完成には至らなかった場合です。

コナンくんが新一に戻ることを諦めることなく、解毒剤完成に向けた模索を続いていく可能性もありますし、新一に戻ることを諦めてコナンとして今後の人生をどう生きていくか?を模索する可能性もあります。

個人的には後者の新一に戻ることを諦めた場合、コナンくんがどんな選択をしていくのかは非常に気になります。
組織が崩壊して、周りの人間に危害が及ぶ心配は無くなったので、蘭や少年探偵団に自分の正体を明かしやすい状況にはなっています。
ただ、コナンと蘭のように、新一のままだったらあり得なかった人間関係をコナンとして築いています。その人間関係をぶち壊すかもしれないのに、コナンは存在しない・新一こそが自分だと伝えられるのだろうか。
伝えると決断するのであれば、その決断までの過程でどんな葛藤が彼の中であったのか。
逆に、正体を明かさないまま今までの生活を続けていくとしたら、それはそれで、蘭をはじめとした新一の帰りを待っている人たちを裏切っているような罪悪感に襲われたりしないのだろうか。
正体を明かすかどうかを考えるだけでも、こっちまで胃がキリキリしませんか……!?

③:コナン×組織崩壊×解毒剤完成

③:コナン×組織崩壊×解毒剤完成

ここは、【2:組織は崩壊】しており、【3:解毒剤も完成】しているが【1:コナンとして生活】を続けているという状況です。
新一に戻るための障壁(組織と解毒剤)が全て解消したにも関わらず、あえてコナンのままでい続けている場合です。

新一が社会的に抹殺されて新一に戻ってもろくな人生は送れないことが分かりきっているから、みたいな可能性も考えられなくはないですが……。
新一やコナン側の理由よりも、灰原さんの存在が影響するパターンの方が現実味がありそうな気がします。

作中の描写で、灰原さんにとって「黒ずくめの組織の関係者以外」「宮野志保(元の身体)時代に親しかった」「存命中」の3つの条件をすべて満たす人物というのはほとんど登場しません。
(ほとんどというか、1人もいないはず……。そういう意味でも劇場版『黒鉄の魚影』に登場する直美は、志保と親しいとまではいかなくても、面識がある存命人物という時点でかなり珍しい存在ですね。)
また、彼女は組織を抜け出すときに宮野志保として築いてきた人間関係を捨てて、着の身着のまま米花町(コナンや阿笠博士が住んでいる街)に逃れてきています。
存命の身内や宮野志保の帰りを待っている親しい人がおらず、宮野志保の身体・生活に戻っても天涯孤独となる可能性が高い彼女にとって、元の身体に戻る魅力や理由はコナンほど強くないと考えられます。

彼女と同じ(APTX4869服用に起因する様々な)経験をしている稀有な存在であるコナンが、前述のような理由で志保に戻らず生きていく決断をした灰原さんになにかしら同調して、彼も新一に戻らないと決断する可能性はゼロではないと思っています。

※③のシナリオはいわゆる「コナン×哀」の視点でもっと掘り下げられる話ではありますが、それはまた別の機会にしようと思います。

④:コナン×組織存在×解毒剤完成

④:コナン×組織存在×解毒剤完成

ここは【1:コナンとして生活】し、【2:組織は存在】しているが、【3:解毒剤は完成】しているという状況です。
解毒剤は完成しているが、意図的にコナンのまま生活している点は③と同じですが、組織が存在している点が異なります。

すでに触れたように、組織が存在する限り、新一が生きていることが発覚して組織から命を狙われる危険がつきまとうので、組織が崩壊するまではコナンのままのほうが行動しやすいと判断した結果だと考えられます。物語的には「あとは組織を潰すだけ」という終盤直前のめちゃくちゃ盛り上がりそうな時期に該当しそうですね。

もしくは、組織に完全に雲隠れされてしまったが、命を狙われる危険性が高いままで不用心な行動ができないなど、組織崩壊ができない膠着状態に陥っているというパターンも考えられます。この場合は、解毒剤が使いたくても、危険すぎて新一に戻るに戻れないというもどかしい状況ですね。

残りのシナリオ2つは「新一編」へ

長くなってしまったので、【1:新一に戻る】のシナリオ⑤、⑥は、別記事にします。

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