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父を超える子供

30歳を超えて「ちょっとシャイなんで、、」と当たり前に言ってる奴はただの努力不足! バンビーノ石山です。

僕には子供がいる。男の子2人のヤンチャ坊主だ。

長男が5歳。次男は3歳。

男3兄弟で育った僕。 僕も2歳上にお兄ちゃんがいる。 

この2歳差というのが難しいところだ。身体能力がそこまで変わることもなく、喧嘩もかなり多い。 僕も、街でキレたらヤバイと有名だった兄と幾度も喧嘩をした。 詳しくは→『僕の生い立ち』の記事へ


子供達はプラレールブームから戦隊モノに移行し、しっかりとした男街道を走ろうとしている。戦隊モノに手を出すとやはり真似したくなる。さながら正義のヒーローは自分だといったところだ。 2人とも主人公の気持ちでいるから必ずケンカが生まれる。 そのケンカを止めることが僕の日課になっていた。

『はいはいはい、顔は殴るな! もうええ、やめとけ! 破れるっ!Tシャツ破れるって! 引っ張るな、分かった分かった。もうええって。どっちもや! どっちも悪い! おい、蹴るな! 蹴るんはちゃう!! どっちも悪い! もうパパが貰うわ、このオモチャなしっ!! 終了っ!!』

おもちゃの取り合いから起こる子供とは思えないしっかりとした男同士のケンカ。

喧嘩を止めると2人の刃はどこに向くのか? 

そう、僕だ!! 

この喧嘩を止められたことによるイリテートとおもちゃを奪われた恨みで、2人で掴みかかり容赦ないパンチを浴びせてくる。それを軽く当たっているように見せて、肘や拳などの関節の硬い部分に向こうのパンチを当てて逆にダメージを負わす。 小さい頃から硬い場所でケンカをしろと教えられた経験がここに生かされている。 

そ、その時だった!? 

次男 『コロッケ1年分パーンチッ!!』

思わず笑ってしまった。 

僕 『フフ、何それ?』

予想外の必殺パンチに女子大生みたいな返しをする僕。

完全に負けたのだ。 

父としてもお笑い芸人としても。 

彼の本気の『コロッケ1年分パンチ』は僕の芸人としてのハートを1発でノックアウトした。
見たことのない角度からのダメージは驚きと共に深い。

本当に自分は負けたのか!? そんなはずはない。もう一度、自分は死んだのかの確認も含めて聞いてみる。

僕 『なんて言ったん? どういうこと?』

次男 『コロッケを1年分食べてパワーアップした時のパンチだよ』

だと言う。 

屈託のない笑顔で。

本気だ!!彼は本気なのだ!!!

コロッケを1年分食べたことを想像してそのパワーを拳に宿し、真正面から僕の体と心を射抜いた。

2歳上の長男は幼稚園に通い始めて、小さい社会を経験し、だんだんと賢くなってきている。ゆっくりと大人へと近づいているのだ。その長男が『コロッケ1年分パンチ』に大爆笑している。 そして、長男はよく弟を褒める。 

『 どうしてそんな事思いつくの? 凄いねー!いつの間にそんな事ができるようになったの?凄い! 』

そして、長男は憧れてるかのように次男の真似をすることが多々ある。 普通の家庭は弟が兄の真似をすると思うのだが。。

次男の奇想天外な発想と突然始まる予想外の動きにいつのまにか家族全員が魅了されている。次男は、僕が見てもコイツは頭がおかしくなってしまったんじゃないか?というくらい衝動に任せている時がある。

そんな次男を羨ましく思うこともある。 ここまで自分を破壊させたいとさえ思う。自我を抑制せず解放してドゥルンドゥルンになってみたい。大人になった今、しがらみや常識に縛られて何かを抑えながら生活している自分が何かたりてないように思うのだ。 

2人のコロッケ1年分パンチをそこから受け続けて15年分ぐらいになった頃だろうか。

『そうか、そんな事が思いつく歳になったのか。いいじゃないか、ノビノビと想像力を広げていければ』

と余韻に浸りながら、自分は本当に負けたのかまだ認め切れてない自分。 そんな時だった!? 

次男が何かを思いついたように僕の体をこすり始める。 そして一言。

『大火傷3日』

カンカンカンカン!! 試合終了〜〜〜!! 

勝者 次男!!

白いタオルが投げ込まれ、汗を拭きながら負けを認めるキングオブコントファイナリスト。 こいつがコント作ったら面白そうやなーと上から目線で強がることしか出来ない自分。

時折、なぜ子供はこんな事を考えれるのだろう? 常識などがないからなのか、頭に入ってくる新しい情報に先入観がないからか。

子供の何気ない一言を忘れられない大人も多いのではないだろうか?

まだ長男しか生まれてなかった頃、ベビーカーを押しながら夜道を帰っていた時だった。

不思議そうに夜空を見上げながら

長男『パパ、月がずっとついてくるね〜?』

僕 『夜は月が出るんだよ。だから、どこにいっても月は見えるんだよ。』

長男『何で付いてくるんだろう? 僕のことが好きなのかなぁ〜』

と一言。 

僕 『そうかもねー!?』

とは返してはみたものの、これに対する正解は今のところ出ていない。 

大人にとって月は空にあることが普通なんだ。 夜になると月出るよね、はいはいはい。といった具合だ。月がついて来てくれてるという目線は月の気持ちを考えないと感じ取れない。 
周りにあるものが当然だと思っていた人には気づかない視点なのだ。 無論、僕も月は当たり前にあるものだと認識しており、改めて、月がなぜあるのか? などと考えたことはなかった。そういう意味では心の綺麗な人にしか生まれない疑問だったのかもしれない。

そんな事を思った帰り道だった。 


兄弟ゲンカの話に戻る。

いつもの泣き叫びながらの喧嘩中に怒りがMAXに達した長男が放った一言を僕は忘れない。

あれは弟への怒りがMAXに達した長男の心の叫びだった!

まぁ、当たり前の話だが

『死ね』『殺すぞ』などの言葉は極力子供の耳には入れないようにしている。

自分の持っている数少ないボキャブラリーの中で、長男も考え抜いたのだろう。簡単な言葉で罵れるところをグッと堪えながらも、どうしても怒りを伝えたい叫び。


『もうママのお腹に戻れっ!』 


これには爆笑してしまった! 必死に泣きながらもその想いを伝える様があまりに滑稽だったのだ。怒りを伝えたいのだが言葉をオブラートに包まなければいけないジレンマの間に、長男の優しさと怒りを同時に見た貴重なシーンだった。自分の脳ミソではあまり生まれることのない絶妙なラインのフレーズだったと思う。

実は、子供達の言葉や発想から実際にコントを作ったこともある。

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