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おじさんを集めるゲーム

僕が唯一しているスマホゲームは、簡単に言うとプロ野球選手を集めて育て、自分のチームを強くするゲームである。こどもの頃、将来の夢はプロ野球選手だった。しかし自分には才能も努力も大幅に足りず、夢は早い段階で諦めた。
そんな自分にとってプロ野球選手は今も昔もスターである。こどもの頃の夢をスマホゲームで埋め合わせるようにコツコツとゲームを進めて選手を集めてきた。課金するようなお金も無いので中々強いチームにはならない。そんな中でも自分の好きな選手が手に入った時はスマホを片手に喜び、友達に自慢したりもした。

しかしゲーム。やはり続けているといつかは飽きがくる。ゲームが飽き出すと「作業」になる。「作業」になると途端に楽しく無くなり面倒になる。そしてある時にこのゲームはおじさんがおじさんを集めて一喜一憂しているゲームだと気づいてしまう。このおじさんはアタリ、あのおじさんはハズレ。おじさんの数値をみて、やれパワーが高いと喜び、変化球が弱いと嘆いている。スターを集めていると思っていたが、よく考えると野球の上手いおじさんだ。そうするとおじさんを集める「作業」って何だ?となってしまい今はゲームと距離を置いている。

しかし、一生懸命おじさんを集めていたと気付いても、自分にとってはスター、愛しいおじさん達である。今までの苦労も考えると完全にゲームをやめるのも勿体無く、一応毎日ゲームにログインして集めたおじさん達を覗いている。自分の好きな選手をみるとレベルMAXで、能力値も高く、悠然とバットを構えてピカピカと光っている。しかし結局ゲームを進めないと、「ただピカピカ光っているおじさん」である。

おじさん達の中にはまだレベルがMAXになっていない、「育成途中のおじさん」もいて、このおじさんを育ててあげる為にゲームを進めたくなるのだが、いやおじさんやったら自分で成長してくれ、と思い結局毎日おじさんをチラッと覗いてはゲームを閉じている。次の日ログインすると「育成途中のおじさん」は全く成長していない。困ったおじさんである。

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