アニメの登場人物たちがどんどん年下になってゆく
俺はニート
高校で煙草やって停学になってそのままずるずる退学して
それからずっとひきこもり
親父はもう何も言わない
母さんはもう泣かない
３食昼寝つきの生活
まるで入院してるみたいだ
それならば一体俺はどこが悪いのだろう
かつての悪友たちはチンピラ街道まっしぐらで
でも頭悪りぃからろくなヤクザにはなれないだろうな
金が要る時は親の財布から拝借する
罪悪感なんてない
俺をこんなにした責任てもんを取ってもらわなきゃな
諭吉かっぱらっても昔みたいに怒られることもない
もう諦めたんだな俺のこと
そう考えるとまだ叱られてた時代が懐かしく思えて
言葉にならない寂しさを覚える
坊やだからさ
そう言ったあいつは２１歳
どうせ坊やだよ年上だけど
将来のことなんて何も考えちゃいない
親の脛をボリボリとかじれるだけかじって
後はどうとでもなれだ
当然のことだが俺は家族の食卓についたりしない
母さんが毎食俺の部屋の前に飯を置いてく
どんな気持ちなんだろうな
小さい頃から大好きで離されると俺は大泣きした母さん
きっと大きな期待はしてなかっただろう
健やかに育ってくれればそれでいいと思ってただろう
そんな息子が部屋にひきこもって
顔も見せなくなるなんて
たまに風呂場なんかでうっかり鉢合わせると
邪魔なんだよクソババアと思ってもいない言葉が口をつく
母さんは黙って下を向いてその場から立ち去る
その背中にごめんと声にならない声が届くことはない
たまに親父が母さんを怒鳴りつけてる罵声が聞こえる
きっと俺のことを全部母さんのせいにしてキレてんだろう
部屋を出て階段を降りて親父を一発殴りたい
でもそんな真似できないことは自分が一番よく知ってる
外界から遮断された空間でしか生きられないうじ虫だ
アニメの登場人物たちはどんどん年下になってゆく
坊やだからさ
そう言ったあいつは２１歳
いつまでも坊やなんだよどうしようもないんだ
誰か俺をこの薄暗い部屋から連れ出してくれ
好きでひきこもってるわけじゃないんだ
３食昼寝つきの入院生活
俺はどこが悪いんだろう
閉め切ったカーテンヤニで黄ばんだ壁紙
勇気を振り絞って家のドアを開けた
外の空気雲一つない青空
こっちがいい
俺はこっちで生きて行きたい
ハローワークでも行ってみるか