月のピアスを買った
あなたとのディナーの約束には気が早い
窓から見えるといいな
本物にも負けないきらめきを
手のひらの上に乗せておまじないをかける
どうかあなたが気が付いてくれますように
小さな三日月をそっとジュエリーケースに仕舞う
はやく出番が来ないかな
きっと素敵なお店を予約してくれる
好きなのは私だけかもしれないけど
ちょっとくらい期待してもいいよね
２年前に買って少々ドレッシー過ぎるかなと
クローゼットのこやしになってたワンピース
２年前と比べて太らなくてよかった
実はハイヒールが苦手だけど
あなたは腕を組んでくれるかしら
きっとそれが当たり前のように
好きとか好きじゃないとか関係なしに
してくれるんだろうなあ
ちょっと寂しいかも
でも大人の男の人の前では
私も大人の女じゃなきゃならない
メソメソさめざめしてらんないわ
メイクはあえてナチュラルに
香水はたおやかに香る程度に
ああ待ちきれないの
あなたのことばっかり考えてるのよ
お願いだからこっち向いて
私だけを見てくれたなら
もう何もいらないから
ジュエリーケースを開けて
三日月を取り出した
もう一度おまじないかけとこう
何度でも何度でも
あなたが耳たぶに揺れる月に気づいて
可愛いねってたった一言
それだけの為に恋する女は何だってする
ハンガーにかけたワンピースが
気合いの入り具合を比例してる
あんまり大食いだと思われないように
その前に何かちょっと食べてこう
着々と計画は進む
あなたのあずかり知らぬところで
だって私恋をしてる
つまり病気なんだから