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広い公園に1本だけ佇む冬の桜を見て

降り始める私のカラダ


雨意(うい)の空に花びら咲き
舞って散って
踏みつけられる
君の友に僕がなろう

表面しか見えていない
君らに何がわかるんだよ
そんな言葉を舞年(まいねん)吐き捨ててるのが聞こえた

夏には私を頼りに
ものが集まる
どうぞ使ってくださいな
どこにも行けないカラダだけども

さぁ 降り始めた
私のカラダを伝う
指先まで足先まで
土砂降り
まだ生きてんのかって風が笑う

そろそろ衣替えか
眠りにつく準備が始まる
鮮やかな朱色や山吹の色に
群がってる またウンザリ

もぅ 眠るわ
全ての服を脱ぎ捨てて
寒気凛冽
また また 1本きりね

満開の頃は
心底から信じられない
捻くれな 泣き虫な 私に
冬の頃 全身で寄り添ってくれたの

さぁ 降り始めた
私のカラダを伝う
指先まで足先まで
土砂降り
共にいよう 葉っぱの相合傘
もぅ 眠るわ
全ての服を脱ぎ捨てて
寒花晩節
そろそろ 後悔はどこにもないわ

晴天の空には枯れ果てた枝
散るものも残らない
儚げな生命(いのち)
君の友に僕はなった


ある冬の日、ぼーっとタクシーに乗っていたら1本きりで立っていた桜を見つけました。

桜って、春にしかあんなに衆目されないじゃないですか。
それがいいとか悪いとかではなくて、桜は人間みたいだなと。
生きる7.5割程は春ほど注目されることなく、ひしひしと直向きに他の生き物達の力にもなりながら、病気にもならず頑張るんです。
そして1年に1回凄く綺麗な姿になって沢山の人に愛でてもらう。それを何度も繰り返して死に向かうんです。

それでふっと思ったんです。
桜にも人間に対する反抗期みたいな気持ちになる子はいないのかなって。
私だったら、あんな1本きりで何年も何十年も何百年も頑張って立ってたら捻くれちゃうなって。
なので、あの桜の木の友達になりたいなと思ってこの詞を書きました。
友達だったら相手がどんな姿でも、1年中そばに寄り添って話を聞いてあげられるでしょう?

春の季節です。
皆さんは桜のどんな声が聞こえますか?
ぜひ教えてください。

やひか

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