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「THE 20 YEARS DYNASTY」全曲解説

来たる2023年4月30日に前作「DELUX」から3年ぶり10枚目となる僕のアルバム「THE 20 YEARS DYNASTY」がリリースされます。

めちゃくちゃ良いアルバムなのでこの行を読んでしまった人は絶対に買ってください(一人100枚までは可)

今回はこちらのアルバムの全曲解説をしていきたいと思います。

01. Dream UP feat. Mari*F (Dynasty 20th ANNV RMX)

僕とDYNASTY RECORDSの守護神のような曲。2002年リリースのアナログ盤「FOREVER HARDCORE EP (DN-001)」に収録された「Dream Up (X-clusive Mix)」が初出。

当時の日本のハッピーハードコアシーン、レイヴァーたちの想いを詰め込んだ曲です。
もともとこの曲はJJ TributeのピアノにForce & Stylesのようなトランシーさと日本語ボーカル(当時はもちろんJ-coreとかそんな意識は全くなくてどちらかと言うと欧米文化中心のクラブシーンの中で新たな突破口を見出してくれたAyu-MixだったりELTのクラブMixを意識していたと思う)をミックスしたいと思って作った曲でした。

今回のこのバージョンは2021年3月くらいから作り始めてて、大好きな哀愁系のリードシンセがこのピアノとも相性良いんじゃないかなと思ってミックスしました。なのでめちゃくちゃリードが泣いてます。
制作当時はやっとコロナが少し落ち着いてパーティーが徐々に徐々に復活しだした時期(またその後も波はあったけど)だったと思います。
その頃の希望や期待、ダンスフロアへの夢が詰まっているような気がします。

エンディングは当初作っていた初稿そのままにしているのでDJで微妙に使いづらいんだけど、これは当初の閃きとかイメージをそのままにしたかったので、そんな終わり方になっています。
その代わり前奏はたっぷり48小節用意したのでいろんなミックスをして楽しんでもらえたらと思っています。

02. FOREVER TOGETHER feat. Lindsey Marie & Kent Alexander (Back 2 the 97)

2020年リリースのアルバム「DELUX (DNCD-015)」に収録されたオリジナルバージョンが初出。

コロナ禍で週末クラブに行くこともできなくなった時期に自分のルーツをゆっくり確認する時間ができて、その時に自分がハッピーハードコアにのめり込んだ96-98年くらいのサウンドがやっぱり熱いなと思ってその頃の音を再現&ブラッシュアップしてみようと思って作成したミックスです。

96-98年当時、自分はデザインを学ぶ高校生。J-POP隆盛の中、海外からはJUNGLEの波がやってきて、国内クラブシーンも音楽雑誌を見る限りどのジャンルも輝きに満ち溢れ若者のカルチャーがハイスピードで盛り上がっている印象でした。
そこに現れた異常にハッピーで異常に速い音楽。当時の自分にとって飛びつかない理由はなく一瞬でトリコになりました。

このバージョンはそんな熱い空気をそのまま現代にブラッシュアップした内容になっています。「昔を懐かしんで作った曲」じゃなくて「当時高校生の俺が令和の今、スキルや技術を持って作ったらこうなる」って感じです。スクラッチも気持ち緩めのSlipmattっぽい感じで入れてます。
ハードコアは、過去にもリスペクトするけど今もしくは未来に期待し続けるのが一番似合うカルチャーだと思っています。

03. WEEKEND RAVERS feat. MC STONE (DRUM&BASS VIP)

2020年リリースのアルバム「DELUX (DNCD-015)」に収録されたオリジナルバージョンが初出。

2021年に開催された《JDNBA at 渋谷WOMB》のメインフロアにDRUM&BASS SETで出演依頼をいただいて、それ用に制作したVIP。
WOMBでのドラムンパーティーはANDY C来日とか都度遊びに行っていたのでWOMBのメインフロアに似合う音像をイメージして作りました。
石くんの「今の俺たちに限界はない」ってリリックが週末クラブに居る人間の重要なスローガンだと思ったのでクローズアップしています。

当初はイベントで1発使って終わりかなと思ってたんだけど、そういうエディットとかがアルバム入っててもDJによっては使えるかもしれないなと思って各所ブラッシュアップして収録しました。

04. Luv U Anyway

コロナ禍は「パーティーもないし曲を掛ける場所がないなら新曲を作る必要もない」って思っちゃう性格なんですが、その中でもプリプロを作ったりしてた中の1曲。
ボーカル素材を聞いた時に思いついたプラックやピアノを打ち込んで行ったら「ブレイクスが良さそうだ」ってことになってレイヴブレイクス調のトラックにまとまりました。
イントロやビルドアップの最後に入って来る「Ahh..」のボイスサンプルはSub-State - Take Me Up (DJ Vibes & Wishdokta Remix)をイメージしています。

05. HEADZ UP! feat. MC RALLY (感染防止JUNGLE TECHNO)

RALLYさんが「加熱式タバコの回し吸いを注意喚起する曲を作りたい」って発案してくれて、そう言うメッセージ性のある曲はあまり作って来なかったから面白いと思って、じゃあどんなサウンドにしようかなと考えた時に、デモで歌ってもらった曲の後半のフロウがDiana King - Shy Guyモチーフだったから90年代前半のブラックミュージックっぽさ入れたいなと思ってJUNGLE TECHNO的なサウンドにしてみました。

これも初稿のアイディアをそのまま最後まで原型残してまとめているのでなかなか荒っぽい曲になっていて「高校生が勢いで作ったデモテープ」って感じもして個人的に気に入っています。

06. VITAL

ソフトシンセ「VITAL」が出た時にフリーだし速攻インストールして(のちに気に入って有料版にしたけど)、同時期にリリースされたMK君のプリセットパッチもめちゃくちゃ良くて、それで遊びながらブレイク部分を作ったのが初稿。浮遊感のある裏で鳴ってるシンセとかも、非常にデッサン時に遊んでるなーって感じがします。

ドロップどうしようかなと思ってた時にGAMMERの来日公演を渋谷CAMELOTに観に行って、そこで影響うけて1st ドロップはDUBSTEP的な展開にしています。
2回目のブレイクでも来るメインリードのリフは「本当に俺はこういうのが好きなんだな」って感じが詰まってますね。

07. KFQ (Kings Fear Queen)

Kniteforceの40-50番台が、その時代の当時の東京大阪京都のハードコアシーンと共にもっとも好きで愛して止まないんですけど「真っ暗でストロボとスモークくらいしかないようなクラブでLUNA-C来日公演だからってイケてるレイヴァーが集まって一晩中踊り狂ってる」そんなイメージでまとめてみました。

とはいえ「昔は良かった」とか死んでも口にしたくないしハードコアは常にフレッシュであるべきだと思うので現代的な解釈でミックスダウンしています。
その中に90年代当時のミックスバランスの良さやグルーヴを内包できたらなと思って仕上げています。
ピアノ連打は2種類のコードが交互に展開しています。
曲名はデモの時点で付けていた仮タイトルが最後まで生き残ったパターン。「Kings Fear Queen」は後付け。

08. GENER8OR feat. MC RALLY (DRUM&BASS VIP)

2009年リリースのアルバム「SX (DNCD-002)」に収録されたオリジナルバージョンが初出。

ブランドも機種も忘れちゃったけど、どこかの楽器メーカーが発表したハードウェアサンプラーのデモムービーで、生でサンプラーにビートやシンセ打ち込んでって速いブレイクスというかドラムンっぽいものを構成していくやつがあって、それがなんか超カッコいいというかストリート感もあって垢抜けてるなーと思ってそれに影響されて作ったVIP。

なので初稿のデッサンはRALLYさんのボーカルに大量の色んなヒットとかスタブを並べてコード感をひねり出して、その後にビートを組んでいます。
Fatboy Slim的な能天気な明るさのある高速ブレイクスをイメージしたドラムンベース。その底抜けの明るさがRALLYさんのボーカルと相性良いなと思っております。

09. WEEKEND RAVERS in JAMAICA feat. MC STONE

夏が大好きなんです。夏になるとレゲエが聴きたくなる田舎のヤンキーみたいな感性なので毎年夏には何かしらレゲエエディットを作ってる中の1曲。
夏というか、自分にとっては毎年夏の大阪の恒例イベント《レイヴ大戦》が入るとそれ用に、真夏の大阪城公園野外音楽堂で鳴らしたい曲を作っている気がします。
ここまでアルバムを聴いて来て最後にレゲエが入ってて「私は何のCDを買ったんだろう」という気持ちになってもらおうと思って最後に収録しました。

まとめ

こうやってテキストにしてみると前回のアルバム「DELUX」リリース後にコロナの波がやって来て、その時期に自分と音楽というものを振り返る時間がたくさんでき、そこで「自分は思いの外音楽やそれに付随するカルチャーが好きなんだ」と気づいた結果「自分の作りたいものを自由に作る」というのが今回のアルバム全体に流れるテーマになったような気がします。

最先端もカッコいいけど自分の歩いて来た道に散らばったクラシックスや断片たちもやっぱりカッコいい、その両方を詰め込むことができた点でも「THE 20 YEARS DYNASTY」というタイトルに相応しい内容になったかと思います。

マスタリングとジャケット

マスタリングを担当してくれたDJ Norikenちゃんもめちゃくちゃ良い仕事をしてくれています。
曲ごとに傾向がかなり違うものを上手いことまとめてくれていて、しかも流行や主要リスニング環境がどんどん変わる現代においてその辺のトレンドも抑えたマスタリングにしてくれています。感謝!

ジャケットデザインはいつものDJPoyoshi!
間違いない感性と、僕と同時期から音楽やデザインカルチャーにのめり込んでる人間だから話が早い。
創設当時からDYNASTYのことを見て来ているから、そんな男が構成するデザインにも20年分の思いが詰まっていると思います。ありがとう!

さあ、あとは売れるだけ!みんな買ってくれー!!!!
DJはパーティーで掛けてくれーーー!!!!

CD情報とか

2023年4月30日リリース
同日開催「M3-2023春 at 東京流通センター」にて先行頒布
スペース:第一展示場「Q-21b」DYNASTY RECORDS

M3では僕のロゴのフラッグも頒布予定!

【取り扱いストア】
TANO*C STORE

DIVERSE DIRECT (AVAILABLE FROM OVERSEAS)

メロンブックス (全国店舗でも購入可能)

とらのあな (全国店舗でも購入可能)

DJ Shimamura - THE 20 YEARS DYNASTY [CD]
2023 / DYNASTY RECORDS / DNCD-016

01 Dream UP feat. Mari*F (Dynasty 20th ANNV RMX)
02 FOREVER TOGETHER feat. Lindsey Marie & Kent Alexander (Back 2 the 97)
03 WEEKEND RAVERS feat. MC STONE (DRUM&BASS VIP)
04 Luv U Anyway
05 HEADZ UP! feat. MC RALLY (感染防止JUNGLE TECHNO)
06 VITAL
07 KFQ (Kings Fear Queen)
08 GENER8OR feat. MC RALLY (DRUM&BASS VIP)
09 WEEKEND RAVERS in JAMAICA feat. MC STONE

DYNASTY RECORDS創設20周年記念盤!
2001年にスタートしたDJ Shimamura率いるDYNASTY RECORDSが2021年に20周年を迎え2年の制作期間を経て遂に記念盤をリリース!

おしまい

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