YUU∞

小説(短編、長編)、ポエム、朗読脚本を更新していきます。

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最近の記事

フリー小説【タイトル:月夜のたゆたう】

「満月になったらまた会いましょう」 君は月夜の光が照らした下で寂しそうに言った。 僕は頷くことしかできなかった。 君の手が離れる。 「また会えるよね?」 僕は問うと 「きっと会えるわ」 君は夜の闇に消えていった。 君と出会ったのもこんなキレイな満月の時だった。 水面(みなも)が風で揺れて月の光が漂う。 君は岸辺に立って月を眺めていた。 月明かりが照らす君はとても妖艶に見えた。 水辺の方に歩いて行かないか不安になり僕は話しかけたのがきっかけだった。 僕と君は社会に溶け込めず傷

    • フリー台本【タイトル:叫べ】

      さぁ、この空に一筆書きで夢を描いて行こう。 さぁ、手を伸ばして。 青い青い空に叫んで見た。 好きな言葉、 好きな格言、 夢、希望、未来 周りには誰もいない。 1人だけの世界で叫びまくった。 巡り廻る世界で時の早さに振り回されているけど 一旦立ち止まって空を見てみるのも必要だと思う。 雲の流れに身を任せて。 大きく深呼吸。 さぁ、前を向こう。 歩き出そう。 未来へと。

      • フリー台本【タイトル:今日もいい日】

        葉桜が舞う中、僕は公園を歩いている。 お日様が降り注ぎすごしやすい季節でひなたぼっこがしたくなる。 そんなことを思いながら海が見えるベンチに座った。 木々たちが風で揺れる音と波の音が聞こえる。 僕は本を開く。休日はここで本を読むのが日課だ。 誰にも邪魔されない空間。家にいるよりかは集中できる。 自然の音が僕を包んでいく。 お日様の匂い、 風で木漏れ日が揺れる音、 虫の合唱。 本の世界に入り込んでいても体でも自然を感じる。 ふと、目線を水平線に向ける。 海は日差しでキラキラと輝

        • フリー台本【タイトル:永遠の夢】

          永遠に咲き続ける花は存在しない。 いつか枯れてしまう。 永遠を願っても いつか終わりが来る。 それがこの世界の摂理だ。 大人になっていくにつれて夢も希望も無くなっていく。 夢を語っても諦めろ、こっちの方が利口的なんじゃない? と否定してくる。 無視すればいいけど言葉は心を侵食する。 忘れようと思っても忘れられない。 ずっと残っていく。 傷ついて生きていく。 でもまだ夢を追いかけてもいい世界でしょ? どんなに歳をとっても新しいチャレンジしてもいいでしょ? 前を向いて歩いて行

        フリー小説【タイトル:月夜のたゆたう】

          フリー台本【タイトル:大丈夫だよ】

          「私、笑えてるかな?」 そう僕に問いかけてきた。 「私ね、感情がわからないの。みんながなんで笑ってるんだろうとかなんで泣いてるんだろう、なんで怒ってるんだろうといつも思うの。だからさ、みんなに合わせてるの。でも君はそれを肯定してくれた。とても嬉しかった。だからね、君の事が好きだよ。この感情は多分、好きっていう感情なんだと思う。だから君に告白するね」 そう君は笑いかけた。 僕は返事に困っていた。 心の中で自問自答している。 「僕なんかでいいの?」 つい僕は口に出してしまった。

          フリー台本【タイトル:大丈夫だよ】

          フリー台本【タイトル:春の手紙】

          拝啓 あなたの歌声が未来まで響きますように。 私が手紙を書こうと思ったのは彼女を思い出したからだ。 数年が経っているけど私の事を覚えているだろうか。 彼女との思い出が蘇ってくる。 彼女のことを知ったのは講師達の噂話からだった。 「声の質は良いんだけどな」 「そうそう。歌声は良いんだよ。でも言うこと聞いてくれないんだよね」 「だねー。あれは問題児すぎる」 私は聞き流しつつ少しその生徒の事が気になった。噂によれば色々講師にたらい回しされているらしい。 少し月日が経ち、その噂話

          フリー台本【タイトル:春の手紙】

          フリー台本【タイトル:自分という存在証明】

          この空を真っ白な翼で飛んでいきたい。 心は自由なはずなのに 目には見えないものに縛られている。 社会というしがらみに溶け込んでいる。 慣れて諦める。 その繰り返し。 自分を傷つけ傷つけられ 傷つけられた心は真っ白に戻らない。 雑踏の中、灰色の街を見上げても自分は存在していない。 もし仕事をやめてもどうせ忘れられる。 もし関係をすべて断っても数か月経てば心に残っていない。 もしこの街から出て行っても誰も覚えていない。 自分という存在証明を記していこう。 誰かの心に居座れるよ

          フリー台本【タイトル:自分という存在証明】

          短編小説【タイトル:夜に響く音色】

          ・プロローグ 少し冷たい風が僕の身体に当たる。身体を震わせて「寒い」と呟いた。 「もう秋だな」 僕は秋の訪れを感じつつ、夜の公園に来ていた。誰かの面影を探している。暑い夏の夜に誰かとここで会っていた気がして、懐かしさを感じる場所。それはリラックスしながら、ふと口ずさむ音色にも同じ感覚があった。どこか懐かしさがある場所と音色。でも僕は思い出せなかった。ふと空を見上げる。 「今日は満月か・・・・・・」 月明かりが道しるべのようだった。 思い出すのを諦めて僕は公園を後にしようと思

          短編小説【タイトル:夜に響く音色】

          フリー台本【タイトル:季節は巡る】

          何回、君の事を思うことができるだろう。 何回、君の名前を呼べるだろう。 何回、君の笑顔を見れるのだろう。 そんなことを思いながら長い坂を上る。 学校に続く坂道は桜並木になっている。 春になるとピンク色に染まって別世界にいるように感じた。 君と手を繋ぎながら歩いて満開の桜並木で一緒に写真を撮った。 「桜の季節は一瞬だけど、私たちはずっと一緒にいたいよね」 そんなことを君は言っていた。 夏になるとセミの大合唱が響く坂道になる。 夏空は遠く、雲はもくもくと大きい。 暑い中、汗を

          フリー台本【タイトル:季節は巡る】

          フリー台本【タイトル:桜の空】

          春の空を眺める。 暖かい気温になり、過ごしやすくなってきた。 ひとひらの花びらが空に昇っていく。 僕は手を伸ばすけど、花びらに届かなかった。 川沿いの桜並木を歩く。 川を見ると水面に桜が敷き詰められていた。 僕は 「こういう時の言葉なんだっけ?」 と考える。 そうだ花いかだと思い出した。 「うわっ」 と声が出るくらいの風が吹いた。 目をつぶる。 強い風が僕を追い越す。 目を開けると ひらひらと桜が舞う。 ピンク色に染まった世界は桃源郷に居るみたいだった。

          フリー台本【タイトル:桜の空】

          フリー小説【タイトル:私の物語は反転する】

          1 ”私は友達を殺した” 「こんな写真いつ撮ったんだろう」 桜川 道子(さくらがわみちこ)は一枚の写真を見ながら思い出していた。 二人で肩を組んでピースをしていた。 「こんな時代あったのね」 そう思いながら自分の罪を心の中で告白していた。 「あなたが悪いのよ」 そう写真に語り掛けた。 私は捕まっていないし疑われてもいない。 記憶から人を殺した感覚は消えないだろう。 もがき苦しんだあなたの表情も忘れないだろう。 「あなたの分まで楽しんで生きるわ」 そう呟きながら 私は憎き敵のこ

          フリー小説【タイトル:私の物語は反転する】

          フリー台本【タイトル:ファインダー】

          君にカメラを向けると恥ずかしがって顔を隠す。 「やめてよ」 と君は言う。 君の思い出をカメラに収めたいんだけど君は嫌がる。 「君と撮りたいんだけどなー」 「それは嬉しいんだけどね。私、写真写り悪いから」 そう言いながら顔が赤くなっている。 「君との思い出残したいんだけどなー」 と意地悪そうに言うと 「もう。わかったわよ。撮っていいよ」 君は観念したよ、という表情になった。 僕はカメラを構える。 ファインダーには僕の好きな人が写し出されている。 シャッターを切った。 僕はアル

          フリー台本【タイトル:ファインダー】

          フリー台本【タイトル:未来の音】

          僕はふとなんで物語を書いているんだろうと思う。 過去の自分に説いてみた。 昔からしゃべることが苦手で上手く言葉にすることができなかった。 よく誤解もされてたし嫌われたりした。 文章を書くことも苦手で自分には無理だと思っていた。 でも小説を読むと、自分が知りえない世界を見せてくれる。 主人公の挫折や葛藤を見ていると自分みたいだなと共感をしてどこか救われた感じがあった。 もし僕にそれができたなら、文章で物語で寄り添えたらいいなと思う。 僕を知らない人達が救われていたらそれは生き

          フリー台本【タイトル:未来の音】

          詩【タイトル:縁】

          今年最後の1日。 もしこれが地球最後の日だったら世界は阿鼻叫喚になるんだろうなという 妄想しながら浮き立っている街を歩く。 来年はどんな年になるんだろう。 自分はどんな日々を送っていくんだろう。 今年以上に充実にしたいなとは思う。 今年は大切な出会いが増えた。 相談できる仲間 バカをやれる仲間 笑い合える仲間 支え合える仲間 精進し合える仲間 来年はどんな出会いがあるだろうか? この縁を大切にしながら来年も 歩いていこう。 進んでいこう。 終わりがあるとしても未来は明るいは

          詩【タイトル:縁】

          フリー台本【タイトル:秋桜の花言葉】

          僕はスマホを片手に写真を撮っている。 気分転換にと思い、近くにある公園で散歩をしている。 カメラ越しで見る景色は 新しい季節の訪れを感じる。 木々たちが赤く染まりつつある。 スマホに表示された画像を見て 「どう表現したものか」 と、文章を考える。 僕は作家だ。 そんな仕事を君に打ち明けると、 「素敵、素敵。あなたの作品読んでみたい」 と言ってくれたことを覚えている。 スマホの画像をスライドしていると君とのツーショット写真が出てきた。 僕は心がざわつき、写真をスライドした。

          フリー台本【タイトル:秋桜の花言葉】

          短編小説【タイトル:僕と少女のインターリュード】

          1 プロローグ               永遠に夜が続く世界。 寒くもないし、暑くもない。 風が草花を揺らしている。 見上げると星空が広がり、その灯りは僕たちを照らしていた。 常森 鈴音(つねもり りんね)はとある少女に出会っていた。 その少女は白いワンピースで床一面に広がっている彼岸花の上に立っている。 記憶の片隅にしかないけど、どこかで出会った気がする。 少女は 「常夜にようこそ」 と白いスカートを摘んでお辞儀をした。 これは僕と少女の不思議な旅物語である。 2 帰

          短編小説【タイトル:僕と少女のインターリュード】