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ヤニック・ネゼ=セガンのシベリウス

 正直に言いますとネゼ=セガンさんとは相性が悪いみたいで、オペラはいいんですが、交響曲ではその表現意欲がどうもあざといと感じてしまい醒めてしまいます。
 COEとのシューマン、メンデルスゾーン、ベートーヴェンでは勢い重視のピリオド・スタイル、まもなくブラームスもリリースされるみたいですが、フィラデルフィアでのライブ(第三番)とはかなり変えてくるんでしょう。

 モントリオールのメトロポリタン管弦楽団とはマーラーの第4番、第10番(クック版)、ブルックナー交響曲全集など、こちらは角の丸い流麗でよく歌うアプローチで、師匠とされるジュリーニに相通づる感じで随分と印象が異なる。
 で続いてシベリウス 、両翼配置で一貫しているのはめでたい。まず第一番で、やっぱり丸くておっとり。第1楽章の主部などベルリンドやオスモ・ヴァンスカとは同じ曲には聴こえないかも。さすがに3、4楽章はメリハリがありますが。続く第三番、第四番も基本的に同路線、第三番終楽章のアクセル=ブレーキもなだらか。第四番は第3楽章などかなりゆっくりでもだれずにひそやかさが感じられる。
 今回新たにリリースされたのが第二番と第五番でした。第二番は演奏時間で見ればさほど遅くないのですが歌重視流麗さ重視は同様。どうも第一から三番までと第四番以降で意識的にアプローチを変えているのではと感じました。ベルリンドやオスモ・ヴァンスカらが後期作品に近づけようとするかのように第一、二番を強引なまでのハードボイルドさでまとめてしまうのとは対照的かも。
 第五番は第1楽章前半の弦楽器の刻み、うねうねとした動きがとても明快に聴かれるのがとても印象に残る。ギリギリ木管楽器より少し大きいくらいのバランスに聴こえる時もあります。第3楽章のコントラバスは最近の録音で流行っている様に、指板のノイズがするくらいはっきり弾かせてました。細かい所では勇み足(第1楽章弦楽器の付点音符のモチーフを二回目は合間に休符を入れて区別して書いてあるのに、わざわざ一回目にもブレスを入れて同じ様に聞こえるようにしたり)に感じるところや、第五番の終結部が走り気味だったり色々ありますが、今回ヘッドホンで聴き直してかなり見直しました。イイね。
 残るは第六番第七番、奇しくもサントゥ=マティアス・ロウヴァリと競合しますが、楽しみです。


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