Das Augenlicht

アントン・ウェーベルンやジャン=リュック・ゴダールと同じ12月3日が誕生日で、それと知…

Das Augenlicht

アントン・ウェーベルンやジャン=リュック・ゴダールと同じ12月3日が誕生日で、それと知る前から彼らに惹かれていたのは奇遇に思います。えっと、北海道在住の田舎者す(自慢)。la lumiere des yeux

最近の記事

ルネ・ヤーコプスのカルメン

 とうとうそうきましたか…  1874年バージョンと銘打っていますので、初演(1875年)以前、自筆譜に則ってという事なんでしょうがルネ・ヤーコプスなので油断出来ない。ええっていう大胆な新機軸が隠れていることがあるんで。一聴しただけでは分かりませんけど。  序曲やジプシーの歌などでは慣習的な煽りを排しているので結果、ちょっとだけアンゲルブレシュトの録音と似てるかもって思う瞬間が。ディスクもリリースされるんでしょうかね。残念ですが一番印象に残ったのはヤーコプスさんのご様子で

    • クラウス・テンシュテット(1926/6/6 - 1998/1/11)、あるいは響きと怒り その2

       そして1985年、病の発表がありその治療を優先して活動は中断されました。後にリリースされた大地の歌は1982および1984年とクレジットされている。他にも頓挫した録音計画は山ほどあったと聞く。1986年マーラーの第六番で指揮台に復帰したと記憶する。そして同年の第八番のセッション録音。冒頭からこの大編成で細かなアゴーギグ、それがこの上なくピタッとハマり説得力が凄い。展開部で突進する寸前の“アッ(ブレス)チェンデ”のブレス。再現部に向け次第にテンポを落としていきながら壮大にクレ

      • クラウス・テンシュテット(1926/6/6 - 1998/1/11)、あるいは響きと怒り その1

         大作を構想中いき詰まり、さらっといけそうな題材をみっけたんで始めてみますが、あら、結局はトリスタンとイゾルデになっちまうかも。  日本で初めて紹介されたディスクはベルリンフィルとのシューマン交響曲第三番(1978)、東ドイツから亡命の指揮者がアメリカでセンセーションを巻き起こした評判に続いて遅れた現れた新人とかカラヤンに後継者と目されたとか、独墺音楽の本流を行く、なんて惹句ですが本盤については伝わってくる実演での評判とのギャップが大きかった。ボストン響でのブラームス、ブルッ

        • シューベルトのピアノのための舞曲

           さすがはピエール=ローラン・エマール、目の付け所が。こんなに沢山、一つのアルバムとしてまとめるのは前代未聞では。期待します。  これらの曲を楽しむいちばんの方法は、自分で弾くことだとおっしゃるのはごもっともですが… エマールさんのアルバムには取り上げてない様子ですが、以前取り上げたD820の6曲のウェーベルンによる編曲版なんてのもありました。  私がまとめて聴けたのは、何と言ってもマルセル・メイエ(1897/5/22 - 1958/11/17)です。 今日の耳からしても

        ルネ・ヤーコプスのカルメン

          ペレアスとメリザンド その6

           ブルーレイ四題です。 ステファヌ・ドゥグー(Br ペレアス) エレナ・ツァラゴワ(S メリザンド) ヴァンサン・ル・テクシエ(Br ゴロー) フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(Bs アルケル) アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms ジュヌヴィエーヴ) ジュリー・マトヴェ(S イニョルド) ジェローム・ヴァルニエ(医師) パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団 フィリップ・ジョルダン(指揮) 演出:ロバート・ウィルソン 演出補:ジュゼッペ・フリジェーニ 衣装:フリーダ・パルメッジャー

          ペレアスとメリザンド その6

          ストコフスキーのハチャトゥリアン「交響曲第三番」

           これに興味を持って検索してたら驚愕、こんな録音が残されていたとは知らなんだ、しかもシカゴ交響楽団!  アラム・ハチャトゥリアン(1903/6/6 - 1978/5/1)、交響曲第二番とかピアノ、チェロ、ヴァイオリンそれぞれの協奏曲やラプソディはいい曲ですよ。ただ交響曲第三番(1947)はねえ…トランペット15本にオルガンて、正気の沙汰ではない上に、ムラヴィンスキーは録音が古すぎるしコンドラシンはともかくだけど金属的なロシアンブラスで頭痛が痛いし、極め付けチェクナヴォリアン

          ストコフスキーのハチャトゥリアン「交響曲第三番」

          ベルリオーズの呪いあるいは何故南西ドイツ放送局傘下のオーケストラは一つに統合されたのか

          問い:何故シュトゥットガルト放送交響楽団とバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団は2016年に南西ドイツ放送交響楽団として一つに統合されたのか? 答え:二年続けてベルリオーズの「レクイエム」をそれぞれが演奏したりなんかしたもんだから(※個人の感想です)。  意外と真実のような気もする。 サー・ロジャー・ノーリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団、SWRヴォーカル・アンサンブル・シュトゥットガルトおよびライプツィヒ放送合唱団、テノール独唱トビー・スペンス(200

          ベルリオーズの呪いあるいは何故南西ドイツ放送局傘下のオーケストラは一つに統合されたのか

          新・東海道五十三次 目まいのする散歩

           このところ武田泰淳がちょうど良く読める。「貴族の階段」を短時間で読了できたのがきっかけでしたか。「士魂商才」も面白かった。「ひかりごけ」は團伊玖磨さんのオペラを聴いてみたくて探しています。今のところ劇団四季の舞台化まで留まり。いずれ「富士」にはと思いますがまだ歯がたちません。「快楽」も。  今や奥様の武田百合子さんの方がむしろ大人気みたい。確かに「富士日記」など魅了されますね。タイトルに挙げたような泰淳の特にエッセイには奥様ネタが大部を占めているので、それとの共鳴もあって余

          新・東海道五十三次 目まいのする散歩

          ラフマニノフのピアノ協奏曲第三番

          ホロヴィッツ:アルバート・コーツ指揮ロンドン響(1930) ラフマニノフ:オーマンディ指揮フィラデルフィア響(1939)   同じカットがあります。 ギーゼキング:メンゲルベルク指揮ACO(1940)   この時代にしてカットがありません! ホロヴィッツ:フリッツ・ライナー指揮RCAビクター響(1951)   これ初めて聴けましたが凄まじい演奏でした。 ホロヴィッツ:オーマンディ指揮NYP(1978)   TV中継? 初めてこの曲に接した演奏でした。 J・P・コラール

          ラフマニノフのピアノ協奏曲第三番

          ヤニック・ネゼ=セガンのシベリウス

           正直に言いますとネゼ=セガンさんとは相性が悪いみたいで、オペラはいいんですが、交響曲ではその表現意欲がどうもあざといと感じてしまい醒めてしまいます。  COEとのシューマン、メンデルスゾーン、ベートーヴェンでは勢い重視のピリオド・スタイル、まもなくブラームスもリリースされるみたいですが、フィラデルフィアでのライブ(第三番)とはかなり変えてくるんでしょう。  モントリオールのメトロポリタン管弦楽団とはマーラーの第4番、第10番(クック版)、ブルックナー交響曲全集など、こちら

          ヤニック・ネゼ=セガンのシベリウス

          アルチュール・オネゲル(1892/3/10 - 1955/11/27) 「交響曲第二番(1941年)」

           音楽之友社最新名曲解説全集の交響曲 IIIで読んで存在を初めて知ったんでは、多分。最初に聴いたのはカラヤン・ベルリンフィルか。遅れてミュンシュ・パリ管の様な記憶があります。どちらももちろん心のある熱演、実はカラヤンもびっくりパッショネートです。お二人ともそれぞれの実体験からか他人事でない心がこもった感じ。戦時下、またパウル・ザッハーの委嘱作ということもあり弦楽オーケストラだけで演奏可能ですが最後の最後にサプライズがあります。  第一楽章、陰鬱な序奏から走り出した軋んだ響き、

          アルチュール・オネゲル(1892/3/10 - 1955/11/27) 「交響曲第二番(1941年)」

          イリヤッド-入矢堂見聞録

           マルコ・ポーロで思い出した。調べたら五年くらい連載してたんですね、月二回楽しみにしていました。  何しろテーマが大き過ぎて最後まで保つんだろうか(失礼)という感じで、終盤はやや端折った感はあったけれど充分でした。何しろ人間のいわば「原罪」をテーマにしてましたのでね。  少し影響を受けたかも、死海文書とか、ヴォイニッチ写本とか、カタリ派とか、あまり読んだことのないものに興味を持つきっかけだったかな。カタリ派はサヴァールさんがこんなアルバムを。 やっぱ凄いな。

          イリヤッド-入矢堂見聞録

          Orient - Occident (東方 - 西方)

           東洋-西洋の訳では勘違いが生ずる気がして敢えてこの表記で。オリエントといえばオリエント文明。あとはマルコ・ポーロかな。  リンク先の記載に何も付け加えることもない。極めて個人的な感想ならばお気に入りの冒頭一曲目を聴くとギリシア料理を連想してしまうことくらい。  それにしても2012年当時と現在の世界情勢で一体何が変わっているというのか。  多彩なイスラム圏等各国の楽曲に加え、アルフォンス10世のカンティガやセファルディ、トルコのカンテミルオウルなど、サヴァールさんたちが既

          Orient - Occident (東方 - 西方)

          脱獄の映画

           脱獄そのものがテーマの映画に限ってみますが…  抵抗 (レジスタンス) - 死刑囚の手記より Un condamné à mort s'est échappé ou le vent souffle où il veut (1956年):ロベール・ブレッソン(1901/9/25 - 1999/12/18)  原題は直訳すれば、ある死刑囚は逃亡したあるいは風は思いのままに吹く。後半はヨハネの福音書3章8節の引用、劇中主人公に自身囚われの身である牧師が紙片に記した言葉でもありま

          ペレアスとメリザンド その5

           1963年のアンゲルブレシュト盤、とうとう拝聴しました。何より生々しいステレオ録音の良さはもうもう歴代いちばんです。やっぱ硬直的に同じ解釈でグラン・オルケストルしとる。さらにカミーユ・モラーヌさんほんとに良かったです。  アンゲルブレシュト様、ここまで解釈がぶれないというかもう決まっているとこっちが本家家元だったんすねとしか言い様がないんす。私はデゾルミエールさんで初めて聴き通せた人間なんで、むしろ異端な耳でしょうか。  で、真の問題作はフランシワ=グザヴィエ・ロト指揮レ

          ペレアスとメリザンド その5

          ロベルト・ロッセリーニ(1906/5/8 - 1977/6/4)

           第二次世界大戦直後の所謂ネオ・レアリスモの時代ばかり有名ですが… 白い船 La nava bianca (1941年) ギリシャからの帰還 Un pilota ritorna (1942年) 十字架の男 L'uomo dalla crose (1943年)  以前wowwowで放送してました戦中の作品です 無防備都市 Roma, città aperta (1945年)  世界にその名を轟かせた傑作の森が始まります 戦火のかなた Paisà (1946年)  オムニバ

          ロベルト・ロッセリーニ(1906/5/8 - 1977/6/4)