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火刑台のジャンヌ

 ポール・クローデルと最も近くにいて多数のコラボレーションがあるダリウス・ミヨーよりも、アルテュール・オネゲル作曲「火刑台のジャンヌ・ダルク」一曲の方がポピュラーなのは皮肉な事です。確かにオネゲルの作風の方がとっつき易いのは否定できないですが。
 オンド・マルトノが効果的に使用されるなど大編成で多数の声楽陣、主役の女優さんなど上演は簡単ではないと思いますが、映画音楽の経験も豊富なオネゲルの音楽はとても効果的です。
 ジャンヌ役にはすでに二度挑戦していたというイングリッド・バーグマン(ブロードウェイの舞台とそのヴィクトル・フレミングによる映画化)、新たなパートナーとなったロベルト・ロッセリーニとの最後のコラボレーションがオネゲル作品の映画化でした(1954年)。
 特殊撮影の連続でミニチュア、スクリーンプロセスなど、またロッセリーニ初めてのカラー映画です。それまでの所謂ネオ・レアリスモのロッセリーニ映画とは別物に見えます。無理矢理に言えばロッセリーニ自身による舞台化のドキュメンタリーと…無理ですね、むしろ一見ドキュメンタリーの様な生々しさなどと評価されていたこれまでの作品にも、実は周到な演出、演劇性があって、それが今回全面に押し出されたと思います。
 イタリア語ヴァージョンのみ公開され興行的不振からフランス語ヴァージョンは公開されなかったとの記載がありましたが、今観られるのはフランス語ヴァージョンです。


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