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ベルリオーズの呪い、あるいは何故南西ドイツ放送局傘下のオーケストラは一つに統合されたのか

問い:何故シュトゥットガルト放送交響楽団とバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団は2016年に南西ドイツ放送交響楽団として一つに統合されたのか?

答え:二年続けてベルリオーズの「レクイエム」をそれぞれが演奏したりなんかしたもんだから(※個人の感想です)。
 意外と真実のような気もする。

サー・ロジャー・ノーリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団、SWRヴォーカル・アンサンブル・シュトゥットガルトおよびライプツィヒ放送合唱団、テノール独唱トビー・スペンス(2003)

シルヴァン・カンブルラン指揮バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団、オイローパ・コール・アカデミー、テノール独唱ポール・グローヴス(2004)

 対照的なアプローチです。前者は所謂ピュア・サウンド、テンポ設定は部分ごとに定められデジタル的ですがフレーズ毎にはリタルダンドもたまに見せる。合唱、オーケストラとも力演です。ホスティアスの木管とトロンボーンによる中間音を欠いた合いの手でトロンボーンは音が割れるほどクレッシェンドするなど、細部の強調にも騒音性があってノーリントンらしい。

 後者はいつもながら遅めのテンポで響きを大事にした美しさ、合唱も極めて優秀だと思います。カンブルランにかかればどんな不協和音でも美しく響く気がする。
 ミュンシュやインバル、ベルトラン・ド・ビリーなどドイツ系放送オーケストラの音盤が多い。こんなコストのかかる曲は国家権力がバックにないと演奏しにくいか。実際初演からしてそうだった訳で。

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