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ペレアスとメリザンド その6

 ブルーレイ四題です。
ステファヌ・ドゥグー(Br ペレアス)
エレナ・ツァラゴワ(S メリザンド)
ヴァンサン・ル・テクシエ(Br ゴロー)
フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(Bs アルケル)
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms ジュヌヴィエーヴ)
ジュリー・マトヴェ(S イニョルド)
ジェローム・ヴァルニエ(医師)
パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団
フィリップ・ジョルダン(指揮)
演出:ロバート・ウィルソン
演出補:ジュゼッペ・フリジェーニ
衣装:フリーダ・パルメッジャーニ
照明:ハインリヒ・ブルンケ
収録時期:2012年3月
収録場所:パリ、バスティーユ歌劇場(ライヴ)
収録時間:169分

 オリジナル・プロダクションは1997年ジェラール・モルティエが総裁のザルツブルク音楽祭で、指揮はモルティエの盟友シルヴァン・カンブルランでした。出来ればそちらが残っていれば。カンブルランならばロバート・ウィルソン独特の広大な空間を響きで満たして未聞のペレアス体験が…とか妄想に過ぎないですがカンブルランの演奏記録に触れられないのはかえすがえすも残念。ただフィリップ・ジョルダンは聴き直してみてとてもいいと思い直しました。彼のトレードマーク的細かなクレッシェンド・デクレッシェンドもそっと忍ばされたメリハリの効いた、バランスの良い演奏です。私がどうしてもアンゲルブレシュトに欠けている様に感じる軽さ、柔軟性も申し分ないと思うんです。演出も改めて観ると色合いが「キリク」「夜のとばりの物語」「アズールとアスマール」のミシェル・オスロ作品みたいで、これはオスロが影響を受けたってことなんでしょうかね。

ジャック・インブライロ(Br ペレアス)
ミカエラ・ゼリンガー(Ms メリザンド)
ヴァンサン・ル・テクシエ(Br ゴロー)
ヴィルフガング・シェーネ(Bs アルケル)
ドリス・ゾッフェル(Ms ジュヌヴィエーヴ)
マテウス・カバラ(Bs 医師)
アールト劇場オペラ合唱団
エッセン・フィルハーモニー管弦楽団
ステファン・ゾルテス(指揮)
演出:ニコラス・レーンホフ
装置:ライムント・バウアー
衣装:アンドレア・シュミット=フッテラー
照明:オラフ・フレーゼ
収録時期:2012年
収録場所:エッセン、アールト歌劇場(ライヴ)
収録時間:151分

 シュテファン・ショルテス率いるエッセン・アールト音楽劇場の評判を伝え聞いていたので、レーンホフなのですが手に取りました。演出に関しては…何故シンメトリー? ヴィデオ画像演出としての合成映像の紗がねえ…今更印象派ですか? これと比べりゃロバート・ウィルソン演出で彼が愛用する本物の紗が、いかにアホみたいに凄いのかが分かってしまう。音楽は評判通りでこれはいい。さくさくとスピーディで明晰、第一幕を重苦しくしがちな巨匠達よりも断然好ましい。その結果第二幕冒頭が不自然に早すぎる印象も生じない。歌い手たちも生き生きしている。邪魔な演出ではないんでそれに惑わされないとも言えますが、演奏を中心に鑑賞したいです。第三幕第3場穴から脱出後のキラキラ音楽が聴いたことがないほど印象的でした。

マルク・モイヨン(Br ペレアス)
ジェニー・ダヴィエ(S メリザンド)
ローラン・アルヴァーロ(Br ゴロー)
スティーブン・ブロンク(Bs アルケル)
エンマ・リレン(Ms ジュヌヴィエーヴ)
ジュリー・マテヴェ(Ms イニョルド)
ステファノ・オルチェーゼ(Bs 医師・牧童)
マルメ歌劇場管弦楽団&合唱団
マキシム・パスカル(指揮)
ベンジャミン・ラザール(演出)
アデリーン・キャロン(装置)
アラン・ブランショ(衣装)
マエル・イガー(照明)
収録時期:2016年5月
収録場所:スウェーデン、マルメ歌劇場(ライヴ)
収録時間:170分

 フランス・バロックのレパートリーの演出で既に知られたバンジュマン・ラザールと若手注目のマキシム・パスカル、歌い手も若手中心のフランス人歌手が多く楽しめます。大きすぎない親密な劇場(とはいえ1510席だそう)の雰囲気(ちなみにバスティーユ2745、アールトとチューリッヒは1100だそう)。色々とラザール自身が書いてますがなんだかよく分からん、挙げているのが本劇場で演出をしてたイングマール・ベルイマン、写真家Alessandro Imbriacoの写真集“The Garden”、タルコフスキーの”ストーカー“、1970年台初頭のファッション、パゾリーニの”テオレマ“、キューブリックの”シャイニング“。ト書きを無視した演出では基本ないのでまあねいいとしましょう。

コリーヌ・ウィンタース(S メリザンド)
ジャック・インブライロ(Br ペレアス)
カイル・ケテルセン(Br ゴロー)
ブリンドリー・シェラット(Bs アルケル)
イヴォンヌ・ネフ(Ms ジュヌヴィエーヴ)
ダミアン・ゲーリッツ(ボーイソプラノ イニョルド)
シャルル・デケイゼル(Bs 医師)
チューリッヒ歌劇場付属合唱団
チューリッヒ歌劇場女声合唱団
フィルハーモニア・チューリッヒ
アラン・アルティノグリュ(指揮)
演出:ドミトリー・チェルニャコフ
衣装:エレーナ・ザイツェヴァ
照明:グレブ・フィルシティンスキー
収録時期:2016年5月
収録場所:チューリッヒ歌劇場(ライヴ)
収録時間:165分

 チューリッヒは以前にもヴェルザー=メストとベヒトルフのマネキンと雪だったし。
 その後の有名どころの演出ったら実際観てはいませんが例えばヨッシ・ヴィーラー&セルジオ・モラビト、シュトゥットガルトでのジークフリートの演出はお気に入りですが…

うーん。見た目だけならチェルニアコフと近いか? あとはヨアヒム・シュレンマー、シュトゥットガルトでのラインの黄金はお気に入りですが..,

もう20年も前かって話ですね。シュレンマーは切り口が全然違いそうで興味ありますが、写真からは少々暴力的な匂いがする。
 でチェルニアコフなのでね、あとは割り切って楽しむかどうかしかない。指揮のアラン・アルタノグリュは結構シンフォニックかも。彼は現在ラ・モネでロメオ・カステッルッチとの指輪四部作に取り組んでますんでご活躍ですね。カーテンコールでチェルニアコフにあんまりブー無いのが意外。

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