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国産ジーンズを育てる-第3章『冬はやっぱりヘビーオンス』

『冬はやっぱり寒い。』

これまで育成しているフラットヘッドとフルカウントのジーンズは14oz(オンス)前後(記事はこちら)のため、これで冬を越すには少し心許ない。そこで、今年の冬シーズンはヘビーオンスといわれる厚手のデニム生地のジーンズに切り替えて育成を進めてきた。

ちなみに、oz(オンス)というのは1平方ヤードあたりの生地の重さの単位で、デニム生地では一般的にこのozという単位を使用する。ozが大きいほど重く、つまりは生地が厚いということになる。

一般的なジーンズは7~13ozとされており、ヘビーオンスとは14oz以上のデニム生地を使用したジーンズのことをいうそうだ。生地が厚いということは、それだけ履くのも大変で、馴染むまでに時間もかかる。

そんなヘビーオンスジーンズと過ごした今年の冬は『児島ジーンズ』と『サムライジーンズ』というブランドからノンウォッシュの生デニムを1本づつ選定し、2本のジーンズで越冬した。

冬とはいえ熟成には匂いはつきものだ。5月も過ぎた今では、すでに洗濯を済ませ、その役目を終えて来冬の出番を待っている状態だ。それでは早速紹介していこう。

児島ジーンズ:セルビッチヴィンテージデニム【23oz】

ジーンズの聖地として知られる岡山県の児島、そんなジーンズファンなら誰もが知る地名をブランド名に掲げるブランドが「児島ジーンズ」だ。ちなみに英語表示は「KOJIMA GENES」となり、ジーンズの「JEANS」ではなく、遺伝子の「GENES」となってる。今回は直販のオンラインショップで購入した。

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その児島ジーンズの極厚のヘビーオンスデニムはなんと23oz!これは、一般的なアパレルメーカーのジーンズの約2倍ほどの重さの生地を使用していることになる。濃いインディゴの染め具合もワイルドさを感じる。

セルビッチとは、レッグの両側の縫い目の裏にほつれ止め処理がされているデニム生地のことで、旧型の織り機で織られた証でもある。リーバイスの赤耳の部分のことといえば聞いたことがある方も多いだろう。

そして、ファーストウォッシュを終えると写真の通り、ジーンズが立つ!ほどの厚みと硬さがある。ここで心によぎるのは、これを果たして履けるのだろうか?という不安だ…。

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やはり最初に履くのは簡単ではない、カチカチのデニムに脚を通し、ウエストをギュッと押し込みフロントボタンを留めようとするも、その生地の厚差でなかなか留められない。。

悪戦苦闘すること5分程度だろうか、握力もなくなりかけた頃にようやく止めることが出来た。だが、、今度は外せない。。このまま永遠にこのジーンズを履き続けることになるのだろうか?

そんな初対面を終え、数回は履き込むと自分の足腰に馴染むようになり、シワもいい具合に出来始めた。厚さや硬さは慣れるまではもちろん窮屈な部分もあるが、慣れてしまえばそれも個性として受け入れられる。苦しみが多い分、その愛情も大きくなるというものだ。

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色落ちはまだ弱いが、ヒゲも出来てきてシワもしっかり残っている。これから履き込んで行くことで、どのように落ちて行くのか更に楽しみになる一本だ。ヘビーオンスが初めてという方には流石に大変かと思うが、ヴィンテージデニムと向き合うなら一度は試して置きたい一本だろう。

サムライジーンズ:零 大戦モデル【17oz】

そして、もう1本は「サムライジーンズ」の零 大戦モデルだ。日本製のヘビーオンスといえばサムライジーンズを思い浮かべる方も多いだろう。大阪発でジーンズを中心に人気のアパレルブランドだ。ラベルも個性的で国産への強いこだわりを感じる。今は閉店してしまった京都の直営店で購入した。

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腰回りがゆったりした太めのジーンズで、履きやすく肌触りも良い。サイズを今までの33から32に落とすきっかけになった一本でもある。生デニムを購入する場合に縮みを過度に意識しすぎてワンサイズ大きいものを購入していたがお店のスタッフさんからのアドバイスもあり32で購入し、今ではそれでも大きく感じるほどになっている。

この大戦モデルとは、リーバイス・S501XXの大戦モデルが起源となっている。第二次世界大戦中の1942年〜1946年の間、アメリカのリーバイス社では、物資統制によりジーンズの素材や製造を簡略化するために様々な部分が変更された。これにより統一性のない多様で個性的なジーンズが生まれたことからファンが多く、この年代のモデルを大戦モデルと称して復刻版や他のブランドからも多くのレプリカが生まれている。

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このサムライジーンズ、これまで履いたジーンズの中でピカイチと言って良いほど生地の履き心地がすごく良い。17ozというヘビーさによる違和感などはほとんどなく、ザラ感やジーンズの無骨さがありつつ、履くほどに柔らかくなってゆく生地の心地良さは格別だ。

色落ちも早い印象で、縦落ちもしてきている。これから育てるのを楽しみつつも、サムライジーンズでもう1本違うモデルも試してみたいと思っている。

今回は23ozと17ozというヘビーオンスデニム2本を紹介させていただいた。現在はヘビーオンスから衣替えし、14ozあたりを履いているが、ジーンズを履いた感じがしなくなっていて既に恋しさを感じている。すっかりヘビーオンスの魅力にハマってしまった。次の冬に向けて新たな1本を探したいと思う。

まだヘビーオンスをお試しでない方は、ぜひお試しいただきたい。

(おしまい)

走りながら考える