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[Diamond League Rome/Florence] Men 5000m Preview

今季の5000m

今季の5000m World Leaderは、昨日のGolden Games in Nobeoka (Heat B)で記録された

Richard Etir(東京国際大学,Kenya) 13'00”17

まさかここまでの走り(展開、タイムどちらにおいても)をするとは、、、
大学長距離界に激震が走ったレースだった。
終始先頭集団に位置取り、ラスト500mからのスパートで同じケニアの先輩である実業団選手を寄せ付けない走り。
これが1年生だというのだから、今後日本人大学生の恰好の目標となるだろう。

彼以外にも現時点(6/2)での今季5000mトップレコードは、5位までがGGNで記録されている。

Benard Kibet(Kenya) 13'00"38
Emmanuel Kiplagat(Kenya)  13'00"90
Michael Temoi(Kenya) 13'01"48
Benson Kiplangat(Kenya) 13'02"74
Abdihamid Nur(USA)   13'05"17

(GGNに関して
個人的には、Jacob Krop(Kenya)のGMO参入後初レースだっただけに、(現地には行けないが)まさしく世界レベル(5000m:ドーハ世陸6位、オレゴン世陸2位)の走りを観たかった。オレゴンで見せたようにラストのスパートにも強い。今回のGGNに彼がいれば、さらに試合展開は面白くなったはずだ。)

6位は先日世界選手権標準を突破したNAU出身のAbdhamid Nur(USA)。
アメリカで開催された[Los Angeles Grand Prix]でマーク。
試合展開は調べた限り見当たらなかったので、分からないが後続とのタイム差を見るに中盤までそこそこに(記録が狙える程度に)レースが進み、ラストでNurが飛び出していったといった具合だろうか。
(この大会も上位4名が今シーズンランキング10位内に入っている。)

ここまでが”タイム”での世陸出場資格記録(13’07”切り)を達成している。

しかしながら今季は未だ12’台が出されていない。
昨シーズンはすでに[Prefontaine Classic]があったため、5月末には
Joshua Cheptegei(UGA)が12'57"99
Berihu Aregawi(ETH)が12'50"05を記録していた。
※今季は[Pre Classic]が[Final]として開催されるため、9月になっている。

今季DL行程表

今季は既にDohaで3000m、Rabatで1500m・3000mSCが行われ好記録が出ている。(以下その上位3位をまとめたもの)

[Doha…3000m]
①Lamecha Girma(ETH) 7'26"18 ☆PB【世界歴代8位】
②Barega Selemom(ETH) 7'27"16 ☆PB【世界歴代14位】
③Berihu Aregawi(ETH) 7'27"61【世界歴代18位相当】
[Rabat…1500m]
①Jakob Ingebrigtsen(NOR) 3'32"59
②Yared Nuguse(USA) 3'33"02 ☆PB
③Oliver Hoare(AUS) 3'33"39
[Rabat…3000mSC]
①Soufiane El Bakkali(MAR) 7'56"68 ☆PB【世界歴代8位】
②Getnet Wale(ETH) 8'05"15 ☆PB
③Abraham Kibiwot(KEN) 8'05"51 ☆PB

これらの大会から見るに、やはり例年通りDLはトップ選手にとって”勝つ”と同時に、”好記録を狙うチャンス”でもあるのだろう。
そして、今回のRome/Florence5000mは世界選手権の前哨戦になること間違いなしのスタートリストになっている。

出場者一覧

Men 5000m

Pickup

私なりの”注目度”で選手をフューチャーしていく。

[Joshua Cheptegei]

やはり彼を語らずして今の長距離界を何というか。

今シーズンは、ハーフマラソン・世界クロカンの2本のみ。
とはいえ、昨シーズンも3月に10kのロードレース1本の後にPre Classic5000mと世界陸上5000m/10000mに出場。12月に10kのロードレースにまた出場。
あまりトラックシーズンだからと言って「転戦・連戦」するタイプではないのかもしれない。
(2021シーズンは1500m・3000m・2mileと短い距離のレースにも出場していたが、いずれの距離も1・2本ずつでシーズンを終えている。)
トラック初戦だからといって、無調整の心持で来るような柄ではないし、彼が出るレースはそのほとんどがハイペースに持ち込まれ好記録が続出する。
世陸では見られなかった12'台のレースをどう演出するか。

[Mohamed Katir]

今年2月にマークした[3000m(indoor)…7'24"68は室内世界歴代2位
昨シーズン世界陸上1500mに絞り、見事3位を勝ち取った。

彼の5000mベストは12'50"79(2021)でスペインのNational Recordとなっている。しかも樹立したレースは[2021DL Firenze]でCheptegeiに先着している。
(1着はJ.Ingebrigtsenで12'48"45(Area Record)を樹立)
そして彼もCheptegei同様ピーキング(シーズン単位)がとても上手いように感じる。2021シーズンは5000mにフォーカスし、東京五輪でも8位入賞。昨シーズンは1500mでオレゴン世陸3位入賞と、シーズンごとのターゲットが明確で確実にそれぞれの種目の特異性に合わせてくる。
このレースに限らず、今季の動きには目が離せない。

[Luis Grijalva]

昨年オレゴン世陸5000mの決勝進出。
彼は間違いなく中南米の長距離界のホープとなった。

[2022DL Bruxelles]では序盤から果敢に前を走り、13'02"94のNRをマーク。決してレース展開がクレバーなわけではないが、気迫のある走りには、もしかしたらいけるのか、と期待させられる。
3000m(indoor)…7'33"86は今年2月の[Millrose Games]で記録。
室内OneMileの3'53"53を上回るScoring Table:1240を叩き出し、今季の好調具合がうかがえる。
また、5月の10000mにも出場し27'42"56と、あっさり28'を切ってくる潜在能力は底が知れない。
このレースをうまく制すれば、ブダペスト世陸でも決勝進出に留まらず、入賞圏内にグッと近づく。

[Jacob Krop]

昨シーズン5000m世界歴代6位となる12'45"71
オレゴン世界陸上5000m2位で速さだけでなく、強さの証明までした。

こちらも[2022DL Bruxelles]で上記の記録をマーク。ラスト400mまでKejelcha/Kipkorirと競り合い、ホームストレート100mでさらにスピードを上げ1着でゴール。タイムだけでなく、レース展開のクレバーさもかね備える。
また、今季GMOへの所属を発表し来年のニューイヤー駅伝での出走が期待され、戦力を格段に上げるだろう。
2月には3000m(indoor)で7'31"35、3月には5kのロードレースを13'13"で走っている。いずれも3・4着と勝ち切れていない印象を覚えるが、昨シーズンを見るとロードから合わせ、シーズンを通じて調子を上げていく選手のように思える。いかにこのメンバーのなかで戦えるかを貴重な材料としてブダペスト世陸へとつなげるか。

全く読めない。

4人の選手をピックアップしたが、彼ら以外にも本当に世界陸上の「プレ」と言っても過言ではない顔ぶれがそろっている。
BTCのFisher/Ahmedと脱退しGrijalva&NurとトレーニングをしているKincaid(かなり今シーズン調子を落とさずに走れている。いいやむしろ絶好調なのでは?)、OACのKleckerと今季On契約選手となったHaile Bekele、今季3000mをDohaで既に好記録で走っているBarega/Aregawi、Adidasスポンサード勢はKejelcha/Kipkorir/スペイン国籍になり、KatirらとトレーニングをするNdikumwenayo、Doha3000mを途中棄権した不安材料のあるMcSweynもいる。
本当にハイレベルで誰からも目を離せない一戦となる。



(了)


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