「深大寺恋物語」第六集を読みました。

上村は「深大寺恋物語」に応募するので、参考に読んでみました。
大賞の「かなしい赤色、しあわせな闇色」は、「くやしいふりをしてやった。」というのが、二人の関係性がわかっていいなと思いました。
相手の職業はほぼ最初からわかったので、オチには驚きませんが、「時間は綺麗だった。」というように、「時間は濃密」という一般的な表現をずらしているのが、そういう手もあるのだなと思いました。過去をさらりと書くことで、粗筋にならないようにすることは、そこに執着したい上村にはできそうにありません。
「象のささくれ」は、上村がフォローしている清さんの作品で、静かな、けれど内面ではいろいろなことが渦巻いている小説です。選評にあるように、このタイトルを思いつくのは難しいと思いました。
「日照雨 ーそばえ」 浮気物ですが、「とうに飽いた体に執着することで、一緒にいる意味を何度もなぞった。」うわー 関係や思いを一行で表現するのがすごい。
「桜」 ここは花見に来るところというのは観光客の価値観で、地元の人間からすれば、よそ者が来て渋滞で混雑して排ガスで臭くて、店も混んでいるというのは、本当にやめてほしいので、地元民であろう若い人を蔑視している視線が上村には不快でした。それなのに、いい人だと分かった途端に掌返し。久々に腸が煮えくり返る主人公を読んでしまったー。最後にそば屋に行ったのはいつだも何も、一回しかなかったという浮気の疑惑が回収されていないようなのですが、上村にわからなかっただけかな。 
「深大寺そば部」 これが上村は一番好きで面白かった。コント調がおしいという選評なんですが、なにがいけないのでしょう、上村は好きです。大好きです。タイトルがオチとつながっているのも、作風の親近感を覚えて、好感を持ちました。たしかに選評が言う「恋の情感のはぐくみ」がなかったのは残念だけど、10枚でそこまで書くのはもはやプロかなと思いました。
「お竹さんはいるかえ」 口調が最初は気になるのですが、読み進めていくうちに気にならなくなるんですよね。ほぼ語りで小説と言うか、劇中劇の物語ですね。女性の思いが伝わってくるという選評は本当にそうで、参考にはなるんですが、上村の技量でできるかな。

いろいろと参考になるところがあって、やっぱり応募する前に書き直そうと思いました。

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