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インド放浪記 vo1~死ぬまでにやりたいことを死ぬまでにやることについて~

 前の記事を読んでもらえばわかる通り、僕は映画が大好きだ。幼少のころに見たブラッドピット主演、デビッド・フィンチャー監督作の「ベンジャミンバトン~数奇な人生~」という映画がある。この作品の中で主人公のベンジャミンバトンは老人として生まれ、年を取るごとに若返っていくという内容の作品である。

 そこでブラッドピット演じる主人公がある大きな決断をする。映画というのは不思議で、数時間の短い時の中で他人の人生を生きているような感覚になる。数年前にこの映画を見ていた僕ももちろんブラッドピットが熱演する主人公が自分の哀しき運命に家族を巻き込みたくないと、妻と子供を棄てるシーンを自分の人生の一部のように夢中になっていた。

 彼は、一人インドに向かう。インドの熱気漂う風景と共にブラッドピットのクールなナレーションで、愛娘への人生のメッセージを送る。もちろん映画なので、その愛娘へのメッセージは映画を見ている僕たちに向けられたものだ。「人生何をやるにも遅すぎることはない、人生最悪にも最高にもできる」

 これを見た後から、インドという国に、ブラッドピットが旅をしたあのインドに行きたいと心から思った。

 大学になり、世の中のことを以前より少しずつ理解できてきた。それでもまだ、あの映画とブラッドピットは変わらずお気に入りの映画とムービースターだった。

 ある日、猛烈に感じたことがある。人生は思ったより短いし、ほとんどの人がやりたいことを、できるのにやらずに死んでいく。

 ルート66を横断したい、バンジージャンプをしたい、留学をしたい、インドへ行きたい。

 全部が全部、やろうと思えば一年で準備できるのにやらない。きっとそれは、人はやりたいことをやり通す力がない、又はそんなにやりたくないのにやりたいと口に出す人が多いのか。

 僕は、やりたいことは本当にやりたい。人生は短いのだから。そう決めたなら行動あるのみ。成田発インド着チケットを購入し、準備を進めた。

 数多くの友人から、「大丈夫?」「危ないんじゃない?」「汚いんじゃない?」という言葉を受けた。この国は行ったこともない国を固定観念で決めつける、きっと大半の日本人は行ったこともないのに、インドはカレーとカースト制度のイメージだろう。

 だからこそ、死ぬほどやりたいことは死ぬ前にやろうと決めた。

 深夜の成田空港は「まだ見ぬ世界へ飛び立とう」とする人々の鬱憤とした情熱が蔓延している。これから僕だって、見たことがない国へと旅立つ。そう思いながら成田空港のベンチに持っているスリーピングバックを敷き眠った。


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