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-前編-とあるブースターの視点からの横浜ビー・コルセアーズ航海記:Bリーグ5年目(2020-21)

前回↓はBリーグ4年目のビーコルを語ってみました。今回はBリーグ5年目(2020-21)を前/後編で。


コロナの渦中でのBリーグ5年目

新型コロナウイルス感染拡大への対応を迫られながらリーグを存続させなければいけないという難しい命題を課せられたリーグは、20-21シーズンを前にして大きな変化を見せます。

チェアマンの交代

Bリーグ誕生後、チェアマンとしてリーグを主導してきた大河正明が2020.06.30付けでチェアマンを辞任し、代わって千葉ジェッツふなばしの会長だった島田慎二がチェアマンに就任します。コロナ禍という未曾有の事態に対処しつつ、2019.07.01に発表されたエクスパンション型リーグへの移行も進化させていかなければならない難しい舵取りを求められます。

オンザコートルールとアジア特別枠

外国籍選手の最大登録数は3人、オンザコートは最大2人は変わらないものの、ベンチ入りが最大3人に変更になりました。
また、中国、チャイニーズ・タイペイ、インドネシア、フィリピン、韓国の5ヶ国の国籍のプレイヤーがアジア特別枠選手として登録が可能に。帰化選手orアジア特別枠選手が登録およびオンザコートで最大1人可能となります。

地区制と昇降格の変更

コロナの影響で前シーズンはB1→B2への降格がなくなり、B1が20チーム、B2が16チームとなったことで、3地区制ではなく東西の2地区制に。
また昇降格についても変更され、B2→B1へ2チームが自動昇格し、降格はなくなりました。

コロナ対応

東京オリンピックが1年延期となり、新型コロナウイルスの感染状況がどう推移するか読めない2020.08.25、リーグは上限5000人での入場制限(会場キャパの50%)付きで新シーズンを開催すると発表します。
このシーズンから会場でのマスク着用、大声での応援禁止、飲食の制限などが適用されます。

コロナにどう対応していくか、リーグ全体で模索が続いていました。
ではこの時期のビーコルを取り巻く状況はどうだったのでしょうか。

経営面における20-21シーズン前夜のビーコル

時間を少し前に戻して2019.11.25、ビーコルから2019年6月期決算(2018-19シーズン決算)が発表されます。

過去のクラブ決算概要は↓のPDFへのリンクから参照可能です。

リーグのライセンス制度として、債務超過(純資産がマイナス)もしくは3期連続赤字(収入<支出)の場合はライセンス不交付とされています。

Bリーグ開幕以来2シーズンに渡って赤字と債務超過を回避してきたビーコルですが、3シーズン目でついに赤字決算となります。

チーム・試合関連経費の大幅増加に加え、顧客サービスの向上を目的としたスタッフ人件費や、イベント経費の負担等が重く、大幅な営業損失を計上。加えて、旧経営陣に対する貸付金の貸倒償却が発生したことから2018-19シーズンは1億円を超える大幅赤字を計上する結果となった。

株式会社横浜ビー・コルセアーズ 決算報告(第15期)について

旧経営陣に対する貸付金の貸倒償却が具体的に何を指すかよくわかりませんが、営業外費用約4460万の大部分がこれに該当するようです。
この費用の発生が不可避であるならば債務超過によるライセンス不交付の可能性もありましたが、去る2018.12.05に横浜トヨペットによる資本参加が発表されていました。

これによりなんとか債務超過は回避できたビーコルですが、翌2020年6月期決算(コロナ禍でシーズン打ち切りとなった2019-20シーズンの決算)では赤字および債務超過となります。

 昨シーズンは約1億円の赤字を計上していた横浜ビー・コルセアーズも、今季が通常通りに終了していた場合、「黒字がギリギリのところで見えていた」という。
 「スタッフの頑張りもありました。新しいスポンサーも年々、増えてきていますし、大きなスポンサーもついてきていたっていうのがありますので、 (黒字が)見えていた部分はあったんですけど。まあ、たらればです」と植田社長は残念そうに語る。

しかしこのシーズンはコロナ禍により半数のB1クラブが赤字となります。
リーグからはコロナ禍での救済措置として、ライセンス不交付の要件である債務超過については21-22シーズンまで許容することと、3季連続赤字については19-20、20-21シーズンはカウントしないことがライセンス規則に盛り込まれました。

B1ライセンスは交付されたものの、財政的に盤石ではなかったビーコルにコロナ禍によるダメージが襲いかかる中、クラブ創設10周年となる記念すべきシーズンがやってきます。

ビーコル10周年

2011-12シーズンからbjリーグに参戦したビーコル。bj2シーズン目での優勝と経営破綻寸前の危機、奇跡のB1参入、続く3年連続降格の瀬戸際をなんとか乗り越えてクラブはついに10周年を迎えます。
10シーズン目の航海に向けて記念ロゴが作成されました。

数々の伝説を作ったOBたちからはお祝いの言葉が。あの人の名台詞も。

会場を盛り上げてくれたB-ROSEのOGたちからも。

開幕戦ポスター「未来を歴史に。歴史を未来へ。

今でも寝室に飾っています

10周年記念誌もまだ購入できます。お持ちでない方は是非!
「B-CORSAIRS 10thANNIVERSARYーTHE PAST, THE PRESENT, THE FUTUREー」 

海賊の物語 Bリーグ編 第2章の開幕

岡本さんが去り大海賊タクとの別れがあった19-20シーズンは、ビーコルにとって大きな転換期となったシーズンでした。ただ、転換の渦の中で各々が奮闘したものの、進むべき航海の針路は見つけられずに終わった気がしました。
しかし20-21シーズン、おぼろげながらも海賊の物語 第2章と呼べる航路が描き出されます。

新船長、カイル・ミリング

2020.05.19、ビーコルは福田将吾HC(福田HC)との契約満了を発表し、福田HCは新潟のHCに就任します。トムHCとの契約解除後、ビーコルを変貌させクラブ初の神奈川ダービー勝利に導いた福田HCの続投を多くのブースターが期待していただけに、この別れは心に重くのしかかってきました。

そして同日、カイル・ミリング(ミリングHC)とのHC契約が発表されます。USA出身。現役時代はサンロッカーズ渋谷の前身となる日立でプレイしたことも。プレイヤーとしてはフランスを主な舞台として活躍し、引退後にプロクラブのコーチとして選んだのもフランスリーグLNB。2013年からLNBでAC/HCを務め、少ない予算でいいチームを作る手腕が評価されてきましたが、2018.11.にLimoges CSPとの契約解除が発表され、以降はフリーとなっていました。

これまで日本国内で実績を上げてきたコーチをHCとして起用してきたビーコルですが、オフシーズンが始まって間もない時点で、日本でのHC経験のないミリングHCとの契約はかなり唐突だった印象があります。これはあくまで推測ですが、下記のインタビュー中でミリングHCが語っているように、ビーコルがbj時代に優勝した際のコーチであるレジー・ゲーリーと友人の仲なので、その関係でビーコルに縁ができたのかもしれません。

インタビュー中にあるミリングHCのHP、kylemilling.comは現在閲覧できないため彼の哲学を検証することはできませんが、大項目として3つのポイントを重要視していたとのこと。

『CREATE A TEAM(チームを作る)』『BUILD CONFIDENCE(自信をつける)』『STATISTICAL OBJECTIVES(統計的目標)』

身長204cmのイカツイ風貌のHCがチームにどんな影響を与えるのか、ブースターは期待と不安が入り混じりながら行末を見守っていました。

スタッフ陣の変更

前シーズンGMを務めていた河内敏光(河内さん)の役職がエグゼクティブアドバイザーに変更となり、GMは代表取締役の植田哲也(植田さん)が兼務することとなります。
また前シーズンはチーム編成・強化担当兼アシスタントコーチだった山田謙治(謙治)は、アシスタントゼネラルマネージャー兼アシスタントコーチという長い肩書の人になりました。チーム編成のバトンは河内さんから植田さん&謙治の手に委ねられます。

「BE HUMBLE BE HUNGRY」

前シーズンにクラブ史上初のスローガンを掲げたビーコルは、新シーズンに向けて新たなスローガンを発表します。

「BE HUMBLE BE HUNGRY」

「BE HUMBLE(ビー ハンブル)=謙虚であれ」、そして「BE HUNGRY(ビーハングリー)=現状に満足するな」

ミリングHCはスローガンの意味をこう語ってくれました。

チームスローガンは"BE HUMBLE BE HUNGRY"です。個人的にも色んな意味合いがこのスローガンにあります。今の世の中では一般人、アスリート、そして、プロフェッショナルと全ての人々が誰しもが共通して成功を願っています。
けれど、それと同時に大事なのは、慎重であることや相手をリスペクトする気持ち、また、自分自身をしっかり省みること。それが謙虚であるということです。それは皆さんにとっても色々な意味で捉えられると思いますが、チームとしては謙虚さを大切にしていきたいし、自分に忠実であり、他人を尊重することを大事にして欲しい。
また、それと同時にハングリーさは持ち、「もっと成功するんだ」「試合に勝つんだ」という貪欲な気持ちは忘れないでほしい。

謙虚に物事を吸収しながら貪欲に勝利を目指す。海賊の物語 第2章が始まります。

旅立っていった海賊

  • ジェームズ・サザランド(サザ)→ 無所属

    • 平塚の神奈川ダービーでクラブ史上初の川崎からの勝利を奪った立役者のサザ。普段のシーズンであれば半分にも満たない試合数ながら、数々の思い出を作ってくれた魂の海賊ともお別れです。。ビーコルの後はしばらく無所属が続きましたが、ポルトガル、Gリーグ・イグナイトでその後プレイしました。

  • 橋本尚明(ナオ)→ 島根スサノオマジック

    • 2年間、ディフェンスで数々の名シーンを生み出してくれたナオは島根へ。前シーズンは出場した30試合中29試合でスタート。正直、前シーズンはナオの怪我さえなければ初のビリ4からの脱却も叶っただろうと思えるほど、チームディフェンスの根幹を支える存在でした。島根の後は福島へ。23-24シーズンは静岡への加入が発表されています。

  • 赤穂雷太(雷太)→ 千葉ジェッツ

    • ビーコル時代は青山学院大学(青学)のバスケ部に所属しつつアマチュア契約での特別指定選手(特指)だった雷太は、青学バスケ部を退部して千葉とプロ契約での特指の道を選びます。センセーショナルなデビュー以来、ビーコルの未来を支えて欲しいと期待を集めていたオールラウンダーを失い、強豪チームとの格差を感じました。が、22-23シーズンはまさかのビーコル復帰!しかし23-24シーズンは秋田へと旅立っていきました。。

  • ホール百音アレックス(モネ)→ 越谷アルファーズ

    • 最終盤で特指→本契約に移行したモネは、特指としてB2越谷へと移籍。ビーコルではあふれる才能の片鱗は見せたものの、多くのプレイタイム獲得にはいたりませんでした。越谷時代に飲酒運転による過失運転致傷を起こし契約解除。法的責任を果たし終え、深い反省の時期を経て青森へ。23-24シーズンも青森との契約が発表されています。

  • 菅原暉(テル)→ 筑波大学4年生 → 群馬クレインサンダーズ

    • ビーコルでは特指として2試合のみの出場のテルは筑波大学に戻り、4年次には主将としてチームをインカレ準優勝に導きます。その後、特指として群馬に加入。23-24シーズンも群馬との契約が発表されています。

  • 牧全(牧全)→ レバンガ北海道

    • ビーコルで1シーズンを過ごした牧全は古巣の北海道へ戻っていきました。得意のアウトサイドと意外性のあるリバウンドで存在感を見せた牧全でしたが、不運な形のTOが多く、ビーコルではその力を十分に発揮できたとは言い難かったです。21-22シーズンを最後にセクシー海賊は引退を表明します。

  • 田渡凌(リョウ)→ 広島ドラゴンフライズ

    • 前シーズンはキャプテンを務めたリョウは「テラスハウス」への出演に加え、コロナ禍で外出自粛を余儀なくされる中、みんなの心を少しでも明るくしようとSNS上でエアロビチャレンジの動画を投稿し大きな反響を呼んだことが評価され、B.LEAGUE AWARD SHOWで19-20シーズンのMIPを受賞しました。シーズン終了後は広島に加入。その後は三遠→熊本と移籍し、23-24シーズンは福島への加入が発表されています。

  • ウィリアム・マクドナルド(ウィル)→ 無所属

    • JウォッシュとGGとの契約解除の後を埋める形でビーコルに戻ってきたウィル。出場試合数は6試合にとどまりましたが、小原翼をして「19-20シーズンの個人的なMVPはウィル」と言わしめる程、コート内外でチームを陰ながら支えてくれました。インサイドのインパクトとして活躍してくれたレジーは、調子と気分に波があり、乗らないときはすぐファウルしてベンチに戻ってくることもしばしば。そんなとき、ウィルがすかさず声をかけてレジーを叱咤激励する姿を何度も目にしました。レジーのキャリアを考えて必要なことを伝えていたと、シーズン終了後のインタビューでウィルが語ってくれました。ありがとうウィル!

  • ハンター・コート(ハンター)→ 無所属 → トライフープ岡山

    • 18-19シーズンに負った左膝の大怪我からの復帰を目指したハンターですが、8試合の出場にとどまりました。前シーズン途中での契約解除が発表された後1シーズンは所属がなく、古巣のTokyo Samuraiなどでプレイしていましたが、21-22シーズンにB3岡山と契約します。翌シーズンはB3岐阜に移り、23-24シーズンも岐阜との継続が発表されています。

  • ジョルジー・ゴロマン(GG)→ 山形ワイヴァンズ

    •  2019.12に契約解除が発表されたGGは、2020.01に山形と契約します。山形加入直後に右肺気胸の手術を行い1ヵ月程療養しますが、復帰後はエース級の活躍を見せます。その後、ベルギー、ハンガリーのクラブを渡り歩き、直近ではリトアニアでプレイ。またハンガリー代表として2022年のEuroBasketや2023年のワールドカップ欧州予選にも出場しています。

  • ジェイソン・ウォッシュバーン(Jウォッシュ)→ 無所属 → 琉球ゴールデンキングス

    • ビーコルの英雄Jウォッシュ、無念の契約解除後は治療に専念します。翌20-21シーズンの序盤に「外国籍選手追加契約ルール」の下、コロナの影響で合流が遅れている外国籍が来日するまでの間、琉球と短期契約を結びます。その後、新潟、福島と移り、直近では台湾のクラブでプレイしました。

継続海賊

  • レジナルド・ベクトン(レジー)

  • アキ・チェンバース(アキ)

  • 秋山皓太(AK)

  • 竹田謙(タケさん)

  • エドワード・モリス(エド)

  • 生原秀将(シュウ)*キャプテン

  • 小原翼(翼)

やってきた海賊

  • パトリック・アウダ:通称"パト"or"アウダ"。背番号1。206cmのPF。チェコ共和国出身。
    高校時代はスペインのカナリア諸島にあるCanarias Basketball Academyで過ごし、大学はNCAA D1 Big East Conferenceのシートン・ホール大へ。大学1、2年次は、アルバルク東京と契約したもののメディカルチェック後に契約解除となったジョーダン・セオドアとプレイ。大学4年次には27試合中21試合でスターターを務め、平均9.6点4.5リバウンド。
    大学卒業後はポーランドのリーグを皮切りにスペイン、イタリアと移り、直近はフランスでプレイ。
    大学卒業後からチェコ代表に選出され、日本代表とも2度対戦。2016年のオリンピック世界最終予選(OQT)セルビア・ベオグラード大会では8点6リバウンド5アシストの活躍、2019年ワールドカップのグループリーグでは6得点し、いずれもチェコを勝利に導きました。
    ピックアンドロールからボールをもらって一気にスピードに乗ってゴールへアタックしていくプレイがアウダの一番の武器。また変態フックとも呼ばれる、左利きを活かしたゴール近辺でのオフバランスのフックショットも入らないようで入ります。長短のパスにもセンスあり。フリースローの確率とリバウンドは弱点。

  • 森川正明:通称"森川"or"モリリン"or"ハマの母さん"。背番号9。191cmのSF。福井県出身。
    福井商業高校から愛知学泉大学に進学後はNBL2部のNBDLに所属する豊田合成スコーピオンズへ。15-16シーズンにはNBDLのシーズンベスト5に選出される程の成長を見せます。Bリーグ初年度の16-17シーズンにはトップリーグでのプレイを目指して脱サラし、声をかけてもらったシーホース三河へ。
    金丸晃輔、比江島慎といった日本代表クラスのプレイヤーと同ポジションということもあり出場機会は限られたものでしたが、19-20には平均プレイタイムは10分未満ながらFG%は.588、3FG%は.613を記録。しんたろうさんが導き出した19-20シーズンの得点期待値ランキングでは、なんと全プレイヤー中の1位に。
    この攻撃力を買われて海賊の仲間入り。魅力はなんと言っても柔らかで確率の高いアウトサイドショット。そしてベンチにいても、イライラして戻ってきたレジーの腕をナデナデして気持ちを落ち着かせたり、不思議な踊りを踊ってチームを盛り上げたり、タイムアウトとなるやすかさずベンチを飛び出してみんなを出迎えたり。かいがいしくも温かい対応を見せる森川をブースターは"ハマの母さん"と呼びました。

  • 森井健太:通称"森井ちゃん"。背番号18。178cmのPG。石川県出身。
    三遠ネオフェニックスHCの大野篤史や千葉ジェッツの大倉颯太などを輩出したバスケの名門の野々市市立布水中学校時代には、飛び級でU16日本代表候補に選出されます。高校ではこれまた名門の洛南高校へ。高校2年次には1つ上の伊藤達哉(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)と共にインターハイ準優勝、ウインターカップ3位に輝いています。3年次にはU18日本代表に選出され、洛南ではキャプテンとしてインターハイはベスト8、ウインターカップはベスト16の成績。大学は当時関東2部だった早稲田へ。その後チームは1部へ昇格を果たし、4年次にはキャプテンとしてリーグ戦でのアシスト王に輝きました。
    大学3年次の16-17シーズンには特別指定選手として新潟アルビレックスBBで活動し、大学卒業後は新潟とプロ契約。新潟では五十嵐圭に次ぐ2番手PGとして年々アシストとプレイタイムを伸ばして、19-20シーズンは平均20:37分、3.7アシストを記録します。
    私自身、これまでのビーコルにいないパッシング・ガードとして獲得を切望していた森井ちゃんがついに海賊に!一番の強みは天才的なボールハンドリングからのアシストと強靭な脚力を活かした激しいディフェンス。またターンオーバーの少なさでも定評があります。弱点は長年の課題のシュート力です。
    北陸地方出身の森川とはすぐに意気投合して、"モリモリコンビ"と言われる仲の良さでも知られています。

ハンドルをミスらない男、森井ちゃん!

  • 須藤昂矢:通称"コーヤ"。背番号30。186cmのSG。ビーコルの地元、神奈川県横浜市出身。
    港南中学校から桐光学園高校に進学し、1年の時の3年には齋藤拓実(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)が1学年下には植松義也(琉球ゴールデンキングス)がいました。大学は先輩の齋藤拓実が進んだ明治大学へ。大学4年次にはエースとして関東大学リーグ戦で得点3位を記録しました。
    19-20シーズンには特指としてB2西宮ストークスへ。そして今シーズンから地元横浜へ帰港です。コーヤの良さはフィジカルを活かした強靭なディフェンスとアウトサイドショットの安定性。オフコートでは同期の森川、森井ちゃんとの仲睦まじい姿を目にします。

  • ロバート・カーター:通称"ロブ"or"カーター"。背番号4。206cmのPF。USAジョージア州出身。
    コロナの影響で契約や入国が例年に比べ後ろ倒しになっていたこのシーズン。08.05にアウダとの契約が発表された後は、最後の外国籍選手の情報がなかなか出てきませんでした。もうすぐ開幕なのにとブースターがしびれを切らしてきた09.18、カーターとの契約が発表されます。
    高校時代にUSA U18代表候補に選出されたカーターは、地元の名門ジョージア・テック大に進学し、1年次からチーム2位の平均得点をあげる活躍を見せUSA U19代表候補にも選出されます。同大で2年まで過ごした後、転校してメリーランド大へ。15-16シーズンは12.3点、平均得点チーム3位の活躍で、23-24シーズンのシーホース三河入りが発表されているジェイク・レイマンなどと共にチームをNCAAトーナメントのエリート8まで導く原動力となります。
    このシーズン終了後にアーリーエントリーでNBAドラフトに臨んだものの指名はなく、イタリア、リトアニア、トルコなどの欧州リーグを渡り歩き、19-20シーズンにはB2から昇格してきた島根スサノオマジックと契約し、21.2点10.2リバウンド1.4スティール。島根のエースとして大活躍した後、海賊船に乗船です。
    カーターの良さはスキルとバスケIQの高さ。中外どちらも高い水準でこなすオフェンス力はもちろんですが、ディフェンスでも19-20シーズンのスティールはリーグ6位。クイックネスはないものの、先を読んだディフェンスに優れています。弱点としてはオフボールの動きが少なくボールをもらってからのオフェンスになりタフショットが多いことです。
    ビーコルでもエースとしての働きが期待されていました。

  • ケドリック・ストックマン・ジュニア:通称"ストックマン"。背番号2。183cmのPG。神奈川県横須賀市出身。
    08.24、突如練習生としてストックマンの加入が発表されます。高校時代は横須賀基地内にあるNile C. Kinnick High SchoolやTokyo Samuraiでプレイし、高校卒業後はScotland Prep Schoolに進学していたとのことですが。。一体彼は何者か。
    やがて正体が判明します。2017年に史上最年少の15歳で日本代表候補入りを果たした田中力がアメリカ挑戦のオフを利用して、横須賀米軍基地つながりの幼馴染たちと、当時専修大学に通っていたキング開、米山ジャバ偉生とで逗子アリーナでバスケをするCS Parkの動画がYoutubeで流れます(下リンク参照)。その中でキング開から"メチャクチャ上手いよ!緑の服の人"、田中力から"横須賀米軍基地の伝説"と言わしめたのがストックマンでした。
    そして09.29、開幕を前に怪我のためシュウがしばらく離脱したこともあってかストックマンの特指契約が発表されます。07.05にCS Parkの動画が公開されてから約3ヶ月、あれよあれよという間に海賊戦士に。
    ストックマンの良さはなんといってもトップスピードの速さと身体能力。一方、ディフェンスに強く当たられたときにリスクを回避する先を読む目と技術は向上する必要があるでしょう。アウトサイドショットの上達も不可欠です。

  • キング開:
    先ほど話に上げたキング開も09.24、練習生として参加します。キングに関しては後ほど。

これからのビーコルを支えてくれる予感でいっぱいの森川、森井ちゃん、コーヤにストックマン、チェコ代表のアウダに、島根のエースだったカーター。今までのビーコルとは1つ次元が上がったロスター陣でシーズンを迎えようとしています。
このメンバーが加わったことで、海賊の物語Bリーグ編の第2章が始まります。

開幕を前にした09.25、コロナ禍の影響で声出しができない中で、ビーコル運営陣が工夫を凝らして出港式のイベントを開いてくれました。

個人的にはB-ROSEの「Side To Side」は尊すぎて涙なくしては見れません。。
それに比べて初のYセレブレーションの戸惑い感たるや(笑)。。当時は今の盛り上がりを誰も想像できませんでした。

さぁ、いざ新しい航海へ。

コロナ禍をゆく

ビーコルの通常のシーズンであれば8月からチーム練習を開始して、8月下旬にキャンプ、9月からプレシーズンゲームも入って10月に開幕というスケジュールになります。が、このシーズンはコロナの渦中。今までにない対応が求められます。

まず新規外国籍選手の上陸が日本の出入国管理及び難民認定法において拒否されていました。前シーズンに日本国内でプレイした選手以外については大島和人さんの記事によるとこのような状況でした。

しかし新規の選手は状況が違う。長友氏はこのような見解を述べる。
「新規の外国籍選手は、実務面から見て入国できないのではないかと思います。新規はプロ野球もそうだし、プロレスも来ていない。10月開幕(までの入国)は現実的でないですね」

8月時点でも状況は変わらず、リーグは外国籍選手追加契約ルールなどの新たな措置を打ち出し、なんとかシーズンの継続を図ろうとします。

(1)外国籍選手追加契約ルール
既契約済みの外国籍選手・アジア特別枠選手が入国制限により入国できない場合、新たな外国籍選手・アジア特別枠選手と契約が可能になった。追加契約選手の登録期限は入国から1カ月後を最長とし、入国制限下の選手が入国した場合は、その選手の登録完了をもって、追加契約選手の契約を終えることになる。

Jウォッシュはこのルールの下でシーズン当初は琉球でプレイしました。

そして09.14、ついにスポーツ庁より外国籍選手等の新規入国について条件付きで入国が認められました。

依然として現地出発前72時間以内での新型コロナウイルス感染症検査の陰性証明および入国後14日間の待機が必要となるため、10.02のリーグ開幕後のどの時点で選手登録できるかは不透明なままですが、大きなハードルはクリアされました。

ビーコル関係者でも、この時点で入国できている外国籍は継続のレジーのみ。レジー入国がツイートされた後のビーコルブースターの歓喜たるや(下ツイートのコメント欄参照)!この時期の外国籍の入国がいかに厳しく不安定なものだったかがわかります。

ミリングHC、アウダ、カーターは新規となるためまだ入国できていませんでした。特にカーターの契約発表は、条件付き入国に関するリーグの発表の後だったため、合流が長引くことが予想されました。

20-21シーズン開幕!

様々な困難を乗り越え、ついに20-21シーズンが開幕します。
しかしシーズン開幕前に数名の負傷者が。。タケさんとコーヤの負傷は開幕には間に合う予定とのことですが、今シーズンからキャプテンに就任したシュウが膝蓋骨骨折で復帰予定は開幕後の10月上旬。。この負傷が発表された08.24時点で契約済みのPGは森井ちゃんしかおらず、おそらくストックマンの加入はこの状況下によるものだったのではないかと推察されます。

クラブ創立10周年の開幕

ビーコルのシーズン初戦は10.03アウェイ新潟。
カーディングの話題としては、前シーズンにビーコルを途中から率いた福田HCが新潟のHCとして相対することになります。Bリーグ初年度にビーコルを率いた青木勇人も新潟のアソシエイトコーチとして海賊を待ち構えます。
一方、新潟からビーコルへ森井ちゃんが移籍。シュウの負傷により、スタートPGとして五十嵐との初の子弟対決も見ものです。また、AKの地元凱旋試合でもありました。

ビーコルの外国籍はレジーのみ。しかしレジーも3週間前に入国したばかりで14日間の待機もあり、実質的な合流は開幕1週間前。正直なところレジーはまだ仕上がっておらず、わがままボディで開幕節を迎えることになりました。

ミリングHCは入国できたものの待機期間のため加藤翔鷹ACがHCを代行。
ビーコルのスタートはレジー、エド、アキ、森川、森井ちゃん。
インサイドの要のレジーは本調子にはほど遠く(それでも15点10リバウンドでしたが)、外国籍2人の不在をエドが獅子奮迅の活躍で埋めてくれました(11点9リバウンド)。師匠五十嵐との対決では森井ちゃんが3Pを3/4決める12点!成長を見せつけました。そして日本人エースのアキが18点9リバウンド3スティールの活躍で、なんとBリーグでのビーコルとして初となる開幕戦勝利を飾ります。

翌Game2、ホームで開幕2連敗はできない新潟が牙をむき10-0のランをきめます。ビーコルはストックマンが2Qで9点を入れ盛り返しシーソーゲームへ。残り32秒でアキの3Pで3点差に追いすがるも捕えきれず、開幕節は1勝1敗で終えます。この試合、森井ちゃんは10アシストと奮闘してくれました。

モリモリコンビ炸裂!見よ森井ちゃんの森川へのノールックパス。

カイル・ミリング見参!

第2節からついにミリングHCが合流。ドスの効いた力強いGo!B-COR!でチームとブースターを鼓舞します。

10.10、アウェイ滋賀戦Game1。1Qは滋賀が優勢でしたが、2Q3Qでビーコルが突き放し13点リードで4Qへ。ここから滋賀の狩俣が13点入れる活躍を見せ、ビーコルはレジーが残り4分弱でファウルアウト。滋賀が5点差まで追い上げてきた残り1:16、森井ちゃんのパスからきれいな弧を描く3Pをきめたのは小原翼!過去に1本しかきめたことのなかった3Pをこの日は2発。レジーのファウルアウトの穴を埋める翼砲の威力絶大でビーコルが勝利します。

牧田もりかつさんのエモーショナルな実況がイイ。

翌Game2は前半終了時でビーコルが16点リードするものの、4Qで8点しかとれず大逆転負け。レジーは2試合続けてのファウルアウト。。Bリーグになってから初の貯金2までもう少しでした。

ホーム開幕戦

10.17、ホーム開幕戦。相手は17-18/18-19と2シーズン続けてリーグを制覇したチャンピオン、アルバルク東京(A東京)です。
Game1。A東京の強度の高いディフェンスを崩すことができず全てのクオーターでリードされ、57-83で惨敗。
開幕前の怪我の影響かプレイタイムが少なかったコーヤが、地元横浜でのデビュー戦で今季初の2桁の出場時間で7得点できたことは、数少ない良かった点でした。

コーヤのBリーグ初のFG!

Game2。前日とうってかわってビーコルは粘りを見せます。前半を3点差で折り返し、4Q残り48秒まで3点差で追いすがりますが最後突き放されて金星ならず。
レジーが17点9リバウンド。アキが15点。ストックマンが20分で9点、翼が13分で6点と、ベンチメンバーの活躍も光りました。

リバウンドで須田を弾き飛ばすストックマンの雄姿!

パトリック・アウダ参上!

14日間の待機が明け、ついにアウダがコートに現れます。試合前日には柔らかな口調でブースターの応援を求めてくれました。

10.21の水曜ゲーム。相手は強豪千葉ジェッツです。
結果から言いますと、57-79で全クオーターでリードを許し完敗でした。
レジーは22分の出場でファウルアウト。。初登場のアウダは9点で、合流直後のため本領発揮には至らず。古巣対決のアキは14点と気を吐くも届きませんでした。

続く10.24のアウェイ秋田戦Game1。大接戦の展開となり残り5秒での森川の3Pで同点に追いつくも68-70で惜敗。。
来日2試合目のアウダが得点力を見せつけFG7/9の19点の活躍。森井ちゃんが10アシスト3スティール。ただレジーが、、12分の出場で0点のファウルアウト。。代わりにエドが30分弱出て14点のがんばりを見せてくれました。

ハチマキ装着のアウダ。必殺のペイントアタック炸裂!

翌Game2は良いところなく48-68で惨敗。レジーのみならずアウダもファウルアウトし、チームのFGは.360の渋さで、ターンオーバーは22。これでは勝てません。

次戦は水曜のアウェイ富山戦。ビーコルマガジンさんによると、ビーコルはファウルとターンオーバーでリーグ最下位とのこと。。

しかしこの試合でもレジーが13分でファウルアウト。。さらに森川も0点でファウルアウトで64-84の2試合続けての20点差負け。。FGはまたも3割台でターンオーバーは19。これで2勝8敗。ついに7連敗の沼に陥ります。

最後のピース、ロバート・カーターの登場とキャプテン・シュウの復帰

11.07、ホームでの名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦を前についに全海賊戦士の乗船が完了します。
エースと目されていたカーターは14日間の待機明け、キャプテンのシュウは膝蓋骨骨折からの復帰戦とどちらも万全とは言い難いですが、この2人がいるのといないとではチーム力に雲泥の差があります。

名古屋相手にはいつも接戦にはなるのですが、勝利したのは過去1度のみ。
Game1も激しい競り合いを繰り返し残り2分で同点。1点差を追いかける中、ラストショットは今季初登場のカーターに託されます。が、決めきれず8連敗。。最後カーターが少なくともファウルをもらえるようなプレイをしてくれたら。。勝敗の責任を彼だけに負わせるわけにはいきませんが、クラッチタイムで勝利を手繰り寄せるエースの働きとしてはどうしてもそれを期待してしまいます。
この試合、チームのターンオーバーは6。シュウの復帰でチーム全体が締まった気がしました。

翌Game2は10点差をなかなか追いつくことができず71-79で敗北。
カーターが4本の3Pで17点11リバウンドと実力を発揮し始めたものの、チームのFG%は4割に届かず9連敗。。

過去のシーズンであればこれだけの連敗を重ねると、ブースターも不満を露わにし、すわ指揮官の交代や外国籍選手の交代など不穏な動きが出るのが常だったビーコルですが、このシーズンは外国籍の加入が遅れたり、シュウが怪我で出れない時期もあったりで、ブースター目線ではカーターが加入したここからが開幕なんだと気持ちを切り替えることができたので、連敗はそれほど気になりませんでした。
また、降格がないシーズンだったことも経営的にもブースターの精神安定的にも大きかったと思います。

ヨキヨキ!ホーム初勝利!

11.11、水曜ホームゲームの相手はレバンガ北海道。レバンガもここまでビーコル同様3勝9敗と苦しんでおり、ビーコルにとっては絶対に勝利したい1戦。
北海道が前半終了時で17点差をつけるも、後半ビーコルが巻き返し4Q残り5:27でレジーのバスケットカウント&1ショットでついに同点に。その後ビーコルが3点リードして残り11秒、カーターのシュートチェックも届かずジャワッド・ウィリアムズに同点3Pをきめられます。最後のジョーダン・テイラーのドライビング・レイアップをアキがファウルせずギリギリで守って決着はオーバータイムへ。オーバータイムではカーターが12点をもぎとる圧巻の活躍でついに今季ホーム初勝利の瞬間がやってきます!

この日の立役者はカーター、そしてレジー。
カーターは3P3/6で37点リバウンド11ブロック2の大活躍!
そしてレジーもFG100%の23点10リバウンド2ブロック!

勝利後のYセレブレーションとミリングHCの"ヨキヨキ"も初披露!
みんなの笑顔がまぶしい!

森川の涙

次節はホームでかつての大海賊・川村卓也を迎える三河との2連戦。また森川にとっては古巣との初対決となります。

ホーム初勝利を上げノリにノッているヨキヨキのミリングHC。

三河との対戦の意気込みを語る森川。ミリングHCとの仲の良さも👍

11.14、Game1。1Qでつけられた9点差を取り返せず75-85で敗北。
AK秋山が3P4/7の14点。カーターが17点9リバウンド4アシスト2スティール2ブロックのオールラウンドな活躍。アキも18点入れましたが届かず。

翌Game2、昨日とは逆にビーコルが1Qで9点リードします。が、そこから三河の逆襲に会い4Qはシーソーゲームに。三河3点差の残り17秒、タイムアウト後の1プレイをビーコルは森川の3Pに賭けます。が、きめきれず84-88で敗北。

試合終了後、古巣に対し勝負をきめる3Pを託してもらったのにきめきれなかった森川は終了後の挨拶で悔し涙を流します。

森川が自信を持ってあそこで打ったこと。ミリングHCはそこを評価していました。

今回ああいう涙を見せてしまいましたけど、今後は見せないように。
次は嬉し涙を流せたらいいなと思います。

前編はここまで。後編に続きます。




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