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新人さんこそトリガーポイントを知ってほしい!~メリット・デメリットを含めて~

こんにちは!とある理学療法士です!

今回は僕があるセラピストの方に依頼をして記事を書いて頂きました!

とある理学療法士のとある出版社から記事が出ているようなイメージで捉えて頂けたら嬉しいです(何言ってんだ)

今回記事を書いて頂いた方は【やぎだい】さんです!


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やぎだいさんも僕と同じくトリガーポイント療法を勉強していて、トリガーポイントに関する素敵な記事を今回執筆して頂きました!

詳しくはTwitterで@ohagidaiki で検索をお願い致します!



それでは記事の方に移ります!(以下、やぎだいさん執筆。)



今回は就職したら何を勉強しようか悩んでいる新人セラピストの方にトリガーポイントをオススメしますよという内容です。


学生時代の勉強は基本的に経験が伴わないから暗記になりやすいと思います。記憶というのは、最初は短期記憶に保存されますが、繰り返し続けていくと長期記憶に保存されます。それ以降はなかなか忘れなくなるのですが、この長期記憶にする上で大切なのが、

経験

だと思います。


長期記憶はエピソード記憶とも呼ばれています。



エピソード記憶とは、「個人が経験した出来事に関する記憶」で、例えば、昨日の夕食をどこで誰と何を食べたかというような記憶に相当する。エピソード記憶は、その出来事の内容 (「何」を 経験したか)に加えて、出来事を経験したときのさまざまな付随情報(周囲の環境すなわち時間・ 空間的文脈、あるいはそのときの自己の身体的・心理的状態など)と共に記憶されていることが重要な特徴である。 臨床的枠組みにおいて、「記憶」という用語はエピソード記憶を指して用いられることが多く、 記憶障害という場合は、通常エピソード記憶の障害を指している。
引用:脳科学辞典 


つまり自身の経験によって記憶が保持されるわけです。


皆さんも学校で覚えた事って結構忘れるけど、実習でバイザーから教えてもらった事って案外覚えてたりしませんか?


あとは担当させてもらったケースの患者さんの疾患の事とかは実習が終わってもずっと覚えてたりしますよね?

学校で学んだことは実際にその知識を使う場所がないので、放っておくとどんどん忘れていきます。

それはまだその知識が短期記憶で留まっているからです。


自分がトリガーポイントを知ったのが臨床4年目くらいです。


新人の頃は、よしこれからは色々と患者さんのために勉強していくぞ!と張り切っていたので、色々と書籍を読んだりして主に徒手療法の勉強などを中心にしていまし た。


よく言われるのが、


「基礎が大切だから今のうちに基礎的な知識を勉強しておけよ」


私も同じような事を言われたことがありますし、入社してすぐ先輩に
「どんな手技を学んだらいいですか?」って聞いたことがあるのですが、
「そんな必殺技覚えなくてええわ。大事なのは解剖学と運動学だから」
と言われたことがあります。


確かに運動学は直接運動療法に使用したりするので、まだ勉強のやりがいがあるのですが、正直解剖学とか生理学という基本的な知識というのは、
いや国試勉強で散々やったよ。って思ってたので、なかなか手につきにくかったです。


それよりも試験のための勉強じゃなくてもっと実践的な勉強がしたいと思っていました。


今思えば、解剖学など基礎的な知識が一番実践的に使えるものだったと思うのですが、最初はそれがわからないんですよねー。

解剖学や運動学が大事だと思うようになったのは、私がトリガーポイントを知った後でした。

トリガーポイントを学んだことで、「あっ解剖学ってこうやって使うんだ!」という発見があっ たのと同時に、学生時代覚えていた解剖学の知識がうろ覚えになっていたことにも気づきまし た(^^;)


やはり日頃勉強している内容や使っている手技などを、いかに基礎的な知識のレベルで理解しているかが大切なんだなと思いました。



トリガーポイントとは

筋線維の短縮している部分

のことです。


そしてトリガーポイントをリリースするときは虚血性圧迫や横断マッサージ(筋繊維に対して垂直 方向へフリクションする)を中心に行うことが多いので、筋線維がどういう走行をしているのか理解していると比較的「楽」にリリースすることができると思います。


またトリガーポイントは筋線維の種類(紡錘筋や羽状筋など)によって出来方が異なります。これは結構うろ覚えになりやすいのですが、これを知っているとトリガーポイントのリリースをするときにフリクションをかける指の向きなどがわかりやすいので知っておくととても良いと思いま す。


トリガーポイントのリリースは特に難しい方法ではないので、筋の起始停止、走行、筋の種類、作用くらいまでが分かって入れば、ある程度使えるものであると思っています。

てか私がそれくらいしか分かってないけどなんとか臨床でも効果があると感じているので大丈夫です(笑)


私をはじめ、みなさん学生時代に学校で理学療法士になるために、筋の走行や形を必死になって頭に叩き込んだと思います。


意外と新しい手技など知らなくても、学生時代に積み上げてきた知識だけでも使い方次第で、かなり強い武器になると思います。


 ~知識を自分の武器にしよう~


これから理学療法士・作業療法士になる方や新人の方は頭に入っているうちにその知識をどうやって使うのかを知っておくと、せっかく入れた知識が無駄にならなくて済むと思います。

自分が将来進みたい方向によっては学生時代に覚えたものも使わないことはあるかもしれません が、筋の走行や作用なんかはどこでも使うことが多いので、トリガーポイントを使って今ある知識を自分の武器にしてみてはいかがでしょうか?


実際に今自分の持っている知識で変化が出せたりすると、それだけで臨床は「楽しく」なります。また、それをきっかけにより深い知識を学んでみたり、新しい手技にチャレンジしたりすればいいのかなと思っています。


続いては

トリガーポイントのデメリット

についてお伝えします!


実際トリガーポイントの概念を知っていると、様々なことに応用ができるため、かなり利点が多いと感じていますが、物事にはメリットがあればデメリットもあります。


トリガーポイントの知識を勉強してきた私が考えるトリガーポイントのデメリットを紹介していきます。


なぜわざわざデメリットを考えるのか。

なんで自分が好んで勉強している概念のデメリットを考える必要があるのか。

それは自分の考えが独りよがりの押し付けにならないようにするためです。


私は、全てにおいて完璧な理論というものはこの世の中には存在しないと思っています。


物事には長所と短所が混在していて、長所をどのように生かしていき、短所をカバーできるかが重要です。


書籍やネット上にある情報というのは、長所を全面に押し出して表現されていることが多いので、それだけを調べるだけでは、


「なんだ。これだけ知っていればいいんじゃん!」 と、短絡的な考えになってしまいます。 

そして勉強すればするほど、その概念や手技に適応しない人に対して 「やる気がない」「自分の適応外だ」と上手くいかない理由を相手に作ってしまったり、すぐに諦めてしまったりしてしまう可能性があります。


偉そうに言いましたが、これは私自身のことです。

以前私はある手技の勉強に没頭していた時期がありました。

その時は自分が思うような変化が出せない時に、「相手の緊張が高くて、上手く誘導できなかった」とか「これは自分の適応外だった」とすぐに決めつけてしまっていた時期がありました。


今思えば本当に情けないというか、傲慢であったと思います。

今自分が勉強していることの長所と短所を把握して、より強みを生かしていけるような使い方がないかを考えるきっかけにもなればと思います。



個人的に考えるトリガーポイントのデメリットは


・痛い

・理論的な背景がまだ曖昧な部分が多い

・トリガーポイントのリリースの方法が決まっていない 

・評価が主観的なものに偏りやすい

ざっくりですが、このようなものがあると思っています。


特に、評価が主観的なものになりやすいにことに関しては、客観的指標が不十分になりやすいので、相手に説明する時に説得力にかけてしまったり、相手の調子に左右されてしまうので、十分 な仮説・検証が行えない場合があります。


【トリガーポイントは痛い】


トリガーポイントをリリースする場合、ほぼ確実に痛みを伴います。


トリガーポイントはその周囲の神経が過敏になっている状態なので、軽い接触でも痛みが出るこ ともあります。


人によっては、この痛みがかなり強いのでトリガーポイントをリリースしたくても、防御性収縮が出てしまったり、痛くて「やめてほしい」とおっしゃる方もいます。


相手の状態を判断しないで、むやみやたらに行うと痛みを出現させるため、患者さんとの関係性が崩れてしまう場合もあります。


【理論的な背景が曖昧】

トリガーポイントは筋節内にできた硬結部位であり、その硬結部位が周囲の神経・血管を圧迫したりするため、痛みや痺れを引き起こすとされています。

と言われるとなんかしっかりしている感じがするのですが、このことに関してはまだ十分にわかっていない事も多いです。


特に関連痛に関しては、なぜ離れた部位に痛みが出るのかなどはわかっておらず、臨床経験に基づくものも多いとされています。


【トリガーポイントをリリースする方法が決まっていない】

トリガーポイントというのは、手技ではなく概念です。

そのため、トリガーポイントをリリースする方法というのは明確に決まっているわけではないので、

「この筋のトリガーポイントをリリースするためには、○○したらいいよ」 という具体的な方法が定まっていません。


書籍などでも、様々な方法が記されており、マッサージ系の手技もあれば、ストレッチ系の手技もあり、どれをやったら良いのかわからなくなってしまいやすいです。


【評価が主観的なものに偏りやすい】

トリガーポイントは痛みのある部位で、原因となる筋が特定できることが強みです。

しかし、痛みというのは主観的な感覚であるため、定量評価が難しいというデメリットがありま す。

痛みの評価にはNRS(Numeric Rating Scale)などの客観的な評価はあるのですが、尺度が順序尺度(指標同士の間隔が均等ではなく人によって異なる尺度のこと)であるため、やはり客観性には乏しいのではないかと思います。

そのほかにも痛みの場所を聞きすぎて、そこまで気にならなかった痛みを思い出してしまうこと で、痛みを逆に強くしてしまう可能性もあります。



以上、デメリットをあげていきました。 

このようなデメリットを克服するために、普段私が意識していることを紹介していきます。


トリガーポイントをリリースするためには、Dr.Pickという人が提唱しているリリースの階層の中でも治療層(リリース層)という部分でアプローチしていく必要があります。


Dr.Pickはリリースの階層を

・表層

・治療層(リリース層)

・ 拒絶層 

と分けています。


この時注意が必要なのが、

この階層は解剖学的な層ではなく、相手の主観的な感覚の層

であるとされています。

そのため、相手との関係性や自分自身の治療手技の習熟度によってこの治療層の範囲を広げることができるとされています。


上手く治療層でアプローチすることができていれば、「痛いけど気持ちいい」というような不快感が最小限に抑えることができ、かつ効果も高くなります。


トリガーポイントは痛みに対する概念であるとされることが多いです。
しかし実際は、筋節ごとに筋繊維が短縮している部位があるため、痛み以外にも筋出力の低下や伸張性の低下、協調性の低下を起こします。

この理論に関しては、解剖学・生理学・運動学で説明することができるため、痛みだけではなく、 同じ部位の筋力や関連する関節の可動域・協調性などを評価することで、痛みの理論の曖昧さを補えるのではないかと思います。



具体的なリリースの方法が決まっていないということは、逆に言うとどのような方法でもいいと いうことになります。


もちろん、リリースするためにはそれなりの圧を加える必要があったり、トリガーポイントをしっかり見つけるといった条件はあると思います。


ですが、それらを踏まえれば、何か新しい特別な技術の習得は必要がないため、すぐに取り組むことができます。


例えば、ダイレクトストレッチのような直接圧迫するような刺激は苦手という人にはストレッチ系の方法でリリースを行うなど。


最初のうちは自分の得意な手技を使って、トリガーポイントをリリースしていけばいいんじゃない かなと思います。


ちなみに私は、ダイレクトストレッチやストレッチ系の手技でリリースすることが多いです。逆にマッサージ系の手技やストローク系の主義は得意ではないので、絶賛練習中です(笑)


トリガーポイントを痛みに対しての概念だけではないと考えれば、姿勢観察や動作観察などの客観的な指標での評価を付け加えること で、より信頼性の高い評価になります。


姿勢観察などの客観的な指標を組み合わせることで、相手に痛みを無理に聞かなくても原因となる部位が絞り込みやすくなります。


そして、姿勢や動きとの関連性が見つかれば患者さんに説明するときに説得力も高まるので理解も得られやすいと思います。



最後に

物事にはメリットとデメリットという両面が存在してい ます。メリットを最大限に生かすためにはデメリットをいかに、他で補うのかが重要であると感 じています。


今回の記事をきっかけにみなさんの持っている知識に関して、振り返るきっかけになればと思います。

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