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「攻め」の冷凍と「守り」の冷凍で食産業の課題を解決できる(COO下村登壇レポート)

関東経済産業局主催のオンラインサミット「地域発!フードテック企業特集」が10/25に開催されました。情報提供やビジネスチャンスの発掘を目的としたイベントで、第2回のテーマはコロナ禍で急速に普及した「冷凍ビジネス」。冷凍技術を活用したビジネスの可能性や最新事例を紹介する本企画に、デイブレイクからもCOO下村諒、アートロックフード部門マネージャーの五十嵐圭佑が登壇しました。今回はそのレポートをお届けします。

世界的フードテックの盛り上がりの一方で、日本は15位以下。潮流を掴むべく地域フードテックを推進

イントロダクションでは、関東経済産業局 地域経済部次世代産業課長の石原氏から、開催目的が解説されました。石原氏は、「フードテックへの投資が世界的に活性化し、投資額が大幅に増加する一方、日本は上位15か国に入っていない」と指摘した上で、「世界的な時代の潮流を掴むために、関東経済産業局では地域フードテックを推進し、自治体や金融機関、大学と連携した活動を進めている」と主張。地域の中小企業やベンチャー企業の事例を紹介し交流する場として、イベントをスタートしました。

「冷凍ビジネスの現在地について」COO下村

トップバッターのCOO下村のトークテーマは「冷凍ビジネスの現在地について」。特殊冷凍の仕組みや特殊冷凍で解決できる食業界の課題を解説しました。

デイブレイクCOO下村諒

従来の冷凍商品のデメリットを、特殊冷凍なら解決できる

まずはじめに、冷凍産業の歴史に触れた下村。
下村「そもそも冷凍産業は100年前から存在している産業で、食産業の根本課題は賞味期限/消費期限に起因しています。冷凍によってこれらが解決されるということで重宝され、計画生産、ロスが少ない、安定供給ができるという点が評価されました。

しかし、その一方で、
・美味しくない
・値下げ前提の販売になっている
(冷凍食品売り場は半額セール等をよく見かけます)
・食材選定の制約が多い

などのデメリットがあり、冷凍食品のマイナスイメージに繋がっていました。我々は、これらのデメリットを、特殊冷凍を使うことで解決できると考えています」

特殊冷凍を使った新しい冷凍ビジネス

例えば、従来の冷凍では冷凍できなかった(品質が劣化してしまった)食材も、特殊冷凍であれば冷凍でき、食材選定の制約が減る。解凍前への再現性を高く仕上げられるなど、特殊冷凍を使うことでこれまで課題とされていた「冷凍のデメリット」を解決できると述べました。

「攻め」の冷凍、「守り」の冷凍

続いて下村は、特殊冷凍の2つの活用方法を「攻め」「守り」の冷凍で表現しました。

下村「守りの冷凍は、計画生産体制の構築やロス削減など効率化によって利益を向上させる方法です。例えば仕出し企業では、計画生産を取り入れて深夜早朝の業務を無くし、労働環境改善とコスト削減に繋げたほか、おせち料理や恵方巻などシーズン商材の売り切れ(チャンスロス)を無くすことに成功しました。

守りの冷凍と攻めの冷凍

下村「攻めの冷凍は、販売チャネルの拡大や、業態の多角化などにより売上を拡大させる方法です。冷凍専用セントラルキッチンを展開し業態を多角化した飲食店や、名店の味とれたて鮮度など、冷凍ならではの付加価値を付けた高単価商材の開発・販売などの事例があります」

特殊冷凍のユーザーゾーン

また、このように特殊冷凍の活用方法が多様化していることから、特殊冷凍を導入するユーザーゾーンも拡大していると、デイブレイクのユーザー傾向を元に解説しました。

25年前から存在した特殊冷凍市場。成長スピードが遅かった原因は?使いこなせている企業がわずか3%

食産業のあらゆる課題解決の可能性を秘める特殊冷凍ですが、実はこの技術(高品質に凍らせる機能を搭載された冷凍機)はおよそ25年前から存在しています。にも関わらずまだまだ食業界に根付いていない理由を、「ほとんどの企業が特殊冷凍機を使いこなせていない」と下村は指摘しました。

デイブレイクの調査によると、特殊冷凍機を最適化し、食材の品質の最大化に成功している企業は導入企業のうちわずか3%。「よい冷凍機なら冷凍がうまくいくわけでは決してない」と述べ、高品質のカギとなる5ステップを事例とともに解説しました。

高品質な冷凍を成功させるために重要な5工程

例えばこちらは、ローストしたチキンの事例。店舗で提供するレシピで調理後に凍結すると、解凍時にドリップが出て身がパサついてしまいました。これを冷凍専用レシピに変えることで、ドリップが殆どなく、しっとりした食感に改善できたといいます。(細かい改善レシピは企業秘密)

ローストチキンの冷凍レシピ改善事例

また、魚の刺身は、凍結時の形状によって、解凍したときの見栄えが大きく変わります。

刺身の冷凍事例

次の梨の写真は、保管と3ヵ月(左)と3年保管(右)の比較です。保管環境を最適化することで、変色しやすい食材も品質よく保管できる例として紹介しました。

梨の保存環境の違いによる比較

冷凍機の選定、食材選定、調理方法、凍結時の容器、保管環境、解凍方法。高品質な冷凍を実現するためには変数が多く存在し、前後工程まで最適化することが重要だと下村は解説しました。

最後に語ったのは、特殊冷凍の可能性です。
賞味期限/消費期限を添加物フリーで伸ばせる「ノンケミカルな食のロングライフ」や、計画生産体制の構築による「働き方改革」、地方で生産されたものを消費地に持っていくことで地方創生に繋げたり、生産者への還元ができる「食ビジネスの高付加価値化」、「サステナブルな食業界の実現」

特殊冷凍で実現できる未来を描き、「高品質な冷凍の市場がこれから一層広がることを期待している」と今後の期待と意気込みを述べ、プレゼンテーションを締めくくりました。

お疲れ様でした!

冷凍のこれまでと現在地、そして冷凍ビジネスの可能性を少しでも感じ取っていただけたでしょうか。詳しい話をご希望される方は、どうぞお気軽にお問合せください。

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