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【ショートストーリー】営業マンが影響マン!?

◼️はじめに

こんにちは&はじめまして、上田です。
今回もコントぽいショートストーリーネタを書かせて頂きました!

是非、ご覧下さい。

タイトル「営業マンが影響マン!?」

第1章:禿山部長と新人の田中

「私は営業部長の禿山(はげやま)50歳。
自分で言うのも恥ずかしいが頭もハゲ、名前も「はげやま」。勤め先の業界は飲食店用グラスの卸業者をしており各飲食店に提供している。

今日は今年新卒の営業マンこと田中くんの初の営業マンとして外回り。いきなりだが新規の顧客を彼1人だけに行かせた。これも経験だ。多分、契約は取れないだろうが失敗する経験として良い機会だ。」

表には見せない禿山の優しさたろう。

田中は取引先から戻ってきた。
「ただいま戻りました。」とても暗くもなく明るくなく冷静沈着であった。すぐに田中は営業報告の日報作業に入り禿山部長に提出した。

禿山は軽く目を通した。「彼は始めたてだから、契約は取れなかっただろう。どれどれ?えっ売れた!?取引先(飲食店)が買ってくれた!?俺なんか25年前、初めてたの営業1件も出来なかったのに田中君は出来たの?いや、すごくない?田中君、優秀じゃない?デスクではそんな姿見せないのに。」

禿山はすぐに田中の元に立ち寄り「田中君、グラス売れたの?すごいじゃない!」と褒めた。
田中は言った「いや禿山部長ぼく確かに取引先と契約したけど、グラス売ってないですよ。」

禿山は驚いた!!?
「えっ!?いや、どういうこと?」

第2章:新人田中が売ったもの

禿山は不思議に思った。
「(心の中:ウチは飲食店向けのグラスを卸してる会社。飲食店が買ってくれることでウチの売り上げが上がる。しかし彼はウチのグラスを売っていない。)そうだ田中くん、アレだろう?ただ単に取引先が気に入ってもらったんだろ?愛でしょ?それで、『またおいで』と言われたんでしょ?」と質問した。
田中は言った。「いや部長、きちんと商品を提供しましたよ。お金をもらいました。」

禿山「いやウチの商品を提供してなくてキミは何を売ったんだ?」

田中「野菜です。」

禿山「野菜!?ウチの商品じゃないぞ。」

田中「今回、郊外の飲食店なので道中に畑あって野菜販売してあったんです。売り切れる前に今晩の夕飯用の野菜で。そして取引先の飲食店に到着したら、店主が『アラ?それ、どこの野菜?欲しいわ。』ということで買った分の金額だけ貰って帰ってきました。ちなみに日報の最後に『野菜』って書いてありますよ」

禿山「え?ホントだ。結局、グラスは?」

田中「売ってません。野菜に夢中で名刺渡して、それだけで話し終わりました。」

禿山は呆れた。
「何言ってんだ!交通費かけてウチの商品買わず、そんな変な野菜を買ってもらった?そんなの帰り道に買いなさいよ。呆れた話しだ。お前は営業マンとして失格だ!」怒りがピーク手前に達した。

田中は落ち込むどころか、「(いや営業として商品売ったし利益得てないのになんで怒られるんだ?)」と不思議そうに思っていた。

第3章:1本の電話

2人のやり取りの中、別の部下が田中に声かけた。
「田中くん、電話だぞ。さっき訪問した飲食店さんからだ。」田中は電話に出て数分後、電話を切った。

田中は禿山に立ち寄り「禿山部長、グラス売れましたよ。後で注文書がFAXで届きます。」と伝えた。

どうやら野菜がとても美味しく主婦層の客から好評を得て、その野菜販売所を教え、お礼にグラスを買ってもらえることになった。

田中は言った「禿山部長、さっき怒ったの帳消しですよね?それと、禿山部長が僕くらいの時に営業取れたんですか?」

禿山は「も、もちろんだ。営業初日から契約とって私くらいの優秀でないと今、部長に出世できないからな。」と自信を持って言った。

第4章:ウソ発見!?

2人の会話の中、営業部に突然、専務が現れた。

禿山は「あれ、専務。お疲れ様です。今日はどうして営業部に?」

専務は「私も若い時は営業部に配属されたからな。昔を思い出すために立ち寄ったんだ。お、早速、注文書のFAXが届いてるじゃないか。この担当、田中は誰だい?おぉ、君か。君は若いな!配属して何年目だい?え、新人で今日が営業デビュー日!?一発目かい?それはすごい。おめでとう!禿山くん、田中くんを見習いたまえ、君は新人の時、全く契約取れなくて泣きながら私に相談してたな。懐かしいな〜」

禿山は固まり額から大量の汗が出た。

田中は「あれ?禿山部長、僕にウソついたんですか?さっき営業初日で売ってたって。」

禿山は何も言えなかった。むしろ泣きそうだった。

田中は専務に気軽に「専務、営業の仕事されたということで今度仕事のことで営業のことで相談したいことあるんですが、お時間良いですか?」

禿山は「おい、田中くん。新人で平社員の君が専務に声かけるなんて失礼だ!」

専務は「いや田中くんと言う名前だっけ?いいよ。それに禿山くん、ウチの会社内なんだし役職超えて相談してはいけないという就業規則はないはず。何か隠し事でもあるのかね?」

禿山は顔をあわてて横に振り、専務は営業部を去った。

第5章:地位逆転!?

禿山は田中に自分がウソついたことを専務に報告しないこと伝え心優しいは田中はそれを承諾した。

数日後、田中は営業先から戻ってきて日報を書き禿山部長に提出した。

禿山は「おい、田中くん!なんだこの日報は?取引先が喫茶店で暑かったからアイスコーヒー飲んで帰ってきただけだ!?グラス売ってない?ふざけるな!この前のはマグレだ。仕事しろ!」

田中はまたも聞く耳持たずであった。
すると営業部に専務がやってきた。「田中くん、この前の注文書の件だけど、実はあの注文してくれた飲食店の件で妻に『また行きたい!』誘われて行ってきたんだが、そこの野菜がとても美味しかった。店主に聞いたら、ウチの田中くんの名前が出て私、嬉しくてね。今日も外に営業に行って来たんかい?え、コーヒーだけ飲んだきた?実費でしょ?いいよ、いいよ。今度は営業取ってくればいいよ。あ、それとそのコーヒー美味しかったら後でスマホにメッセージしてね!またね!」

田中は禿山に見透かした態度で席に戻った。
禿山は「そんなアホな。なんで評価されてるんだ?でもさっきの喫茶店は発注なかったし一時的だろ。」

直後、田中宛に1本の電話がかかる。
なんと喫茶店からアイスコーヒーに合うグラスを相談してきたのだ。田中が飲む前にアイスコーヒーをスマホで色んな角度で撮影してるのを店主が見て「若い子がSNSをあげるようのオシャレなグラスがあれば良いかな」ということで相談にきたのだった。

これにより、そのグラスも売れて禿山自身、売れたのは良いが多少のイライラとムヤムヤして、おでこのハゲがより増して仕事どころでなくなった。

これはまぐれなのか?それとも営業力より影響力なのか?

おわり
最後まで、お読み頂きありがとうございました。

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