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神経をすり減らす日常 バス乗車編

私はよくバスを利用する。降りるバス停は終点のひとつ手前。終点は駅なので、ほとんどの人は終点で降りる。

毎回、「とまります」ボタンを押すのが怖い。バスの乗客のほとんどが終点で降りる。私がこのバス停で降りることで乗客の人たちが足止めを食らってしまう。乗客のみなさんだけじゃない。バスの後ろを走行している車にとっても迷惑になってしまう。

「とまります」ボタンを押すとき、私はいつも緊張してしまう。申し訳無さそうに座席横上部のボタンにおそるおそる手を伸ばす。

やっとの思いでボタンを押す。「次、とまります」のアナウンスが流れる。私は頭を下げて会釈する。運転手さんにお願いする気持ちと、乗客のみなさんへの謝罪の意を込めて。その会釈だってろくに出来ていない。ある人から見れば、バスが揺れて体が前面に動いただけに見えるだろう。

バスが停留所に到着しそうだ。さあ、降りる準備をしよう。Suicaは、2つ前のバス停を通過したときから手に持っている。すぐに降りられるように。次に動線を確認する。私が座っている席からバスの出口まで、どうすれば最速で出られるか。荷物であるリュックが大きめなので、体をどの角度にすれば物や人にぶつからずに出られるだろうか。想像する。

到着した。急がなくていいように色んなことを準備していたのに、そのときが来ると結局焦ってしまう。リュックを背負って右手にSuicaを持って出口に急ぐ。私は左利きだが、カードをかざす所は右側にある。だから右手にSuicaを持つ。かざした。あとは運転手さんに感謝の言葉を伝えるだけ。急いで私が降りないと時刻通りにバスが運行できなくなる。「ありがとうございました!」早口になってしまう。

無事にバスから降りることができた。バスに乗って降りるだけで私はくたくたになった。


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