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最近、表紙買いしたマンガ『ニセモノの錬金術師』が深い!

マンガが好き過ぎて、マンガの貯蔵量が60,000冊を越えながらも、毎月新しいマンガを買い漁る僕が、2024年1月に思わず表紙買いしてしまったマンガである『ニセモノの錬金術師』(©原作:杉浦次郎・作画:うめ丸/KADOKAWA)を紹介させていただきます。

ニセモノの錬金術師 概要・感想

『ニセモノの錬金術師』は、ざっくりとした概要でいうと「主人公のパラケルススは交通事故に遭って異世界へと転生させられ、その際に神的存在によって高度な錬金術とも呼べるチートスキルを2つ与えられ、そのスキルを使いながらも錬金術師としての生活が苦しくなっていたときに、気まぐれで立ち寄った奴隷商人の店内でノラという異国の少女と四肢も目も耳も、あらゆるものが失われ、かろうじて生きているだけの名無しのエルフの奴隷と出会い、錬金術で生活していくために、そしてエルフを元に戻すために2人と暮らす物語」です。

個人的にこの作品に引き込まれる要素は、錬金術や呪い、そしてパラケルススがもらったチートスキルに関する設定が詳細に作り込まれていている点と登場人物の性格というか人柄が愛せる点だと思います。

チートスキルを持っているとはいえ、それで「無双できる」いうわけではなく現実的なしがらみや能力自体の制限によって「ちょっとだけ便利」という程度なので使い方にとても頭を使いますし、メリット・デメリットを把握して慎重に策を練りながら、チートスキルを知られないように初心者の錬金術師として生活をしています。

彼が得た2つのスキルは「天地万物のレシピ」と「セーブクリスタル」というもので、「天地万物のレシピ」は何かを錬成する上での完璧なレシピを引き出すことができ、そしてその通りに作り上げれば最高のグレードのものになるというスキルで、「セーブクリスタル」は砕くと生成したタイミングまで時間が巻き戻る能力ですが、その代償として、自分が一番大切だと考えているものの記憶が失われるというもの…。

地味な作業を繰り返す高純度の回復薬や爆弾をつくるには、本来この世の理を明らかにして錬金の真理がわからないといけませんが、「天地万物のレシピ」のスキルがあることで理がわからないまま完璧な手法で錬成を行うことができるので、高く売れ、作る難易度も難しすぎず、保管も安全なものつくることをつくることになります。

「レシピを作れる」というたったそれだけのかなり地味なスキルも、レベルを度外視してやりすぎると悪目立ちしてしまうスキルであるため上手にコントロールすることが大事で、且つこの世界に浸透している「魔術」・「錬金術」・「呪術」の概念の解像度が高く、どうやって「魔法」が使えるのか、「錬金術」とは何をどうすることなのかなど、この世界独自の理論がしっかりとしているので物語へ一気に引き込まれる感じです。

そして登場するキャラが愛せるという部分では、主人公のパラケルススはとても優しくて善人すぎて世慣れていない雰囲気が漂っているので、少し頼りない感じがあって本当にこんな優男で大丈夫か?と思う部分がありつつも、めちゃくちゃ賢くて自分の大切にしたいものはぶれないんだろうなと思わせてくれます。

また奴隷として買われたノラは抜け目ないやり手の呪術師で、パラケルススを尻に引く強引さもあれば、彼の良い人すぎる部分に世話を焼くツンデレな部分あり、さらに極めつけは呪術師ということだけあってめちゃくちゃ賢く、理路整然と呪術に関する知識を語る姿も愛くるしいキャラです。

この2人がいる世界には様々なルールがあり、そのルールは「魔術」・「錬金術」・「呪術」ごとに少しずつ違ったと考え方や捉え方があり、奴隷制度にしても奴隷がちゃんと人権を得ることができる条件があって奴隷への報酬は収益の3%で感情によって額が変化するといったルールなどがあります。

この奴隷制度のルールでパラケルススは1日でノラに200万を支払うことになり、ノラは奴隷から解放される条件を満たしますが、奴隷のままいた方が稼げるという理由で奴隷はやめずにいますが、その背景には彼女なりの考えもありそうです。

1巻の後半ではノラと一緒に売られていた四肢を欠損しているエルフをココと呼び、ノラが呪術師であったことからココに呪いがかけられていることがわかり、その呪いは「自らの愚かさに嘆き、ただ苦しみ、痛み、辱められ、毎日に怯え震えて、生きることを命じる」という陰惨なものでした。

まだ1巻だけの情報ですが、このエルフ:ココが描かれるシーンがすべてトラウマ級の衝撃で、ココは四肢を切断され目と鼓膜と発声器官を念入りに損傷させられており、周囲の人々とのコミュニケーションを取ることもできず長い間その痛々しい姿でエルフとしてのすべてを搾取されてきたのではないかと思われます。

そんなココに呪いがかけられていることを察知したノラが、呪いを分析し自らココにかけられた呪いの一端を体験しつつ、その呪いの根本的命題へと深く探索したことで、ココにかけられた呪いがココを呪った何者かによるあまりにも深い慈愛からやってくるものであることを悟ります。

ノラはその事実に深く混乱すると同時に自らが学んだ呪術という技術体系は、呪いというものは誰しもの心に自然に生まれるもので、それは人間の心にとってひどく自然な営みであり、「誰かを呪う気持ちなくして人間は生きることなどできない」という自然な感情をコントロールし、時に人間の営為に役立てるために生み出された呪術に対する深い侮辱の念を覚え、その何者かに対しての憎悪を露わにします。

ココの呪いのことがわかった数日後、錬金協会からパラケルススのもとを訪れた幹部の女性錬金術師:アグノシア・デアがパラケルススやノラのココへの対応に感激するも、パラケルススたちはココに呪いをかけた張本人であることを察するところで1巻が終わります。

この物語には「人を愛すること」と「人を呪うこ」の2つの軸があり、いろんな感情を引き出される作品です。

錬金術師として生活していくために爆弾以外に資金を賄うことができるのか、これからココの身体はどうなるのか、アグノシア・デアの目的は何なのか、錬金協会に何かありそうな闇の部分など、散りばめられた要素が山盛り&超複雑で、今後の展開には期待しかないと思わせてくれる、読み応え抜群&次巻がとても気になる作品ですので、ぜひ興味のある方は読んでみて損はないと思います!

ニセモノの錬金術師 名言一覧

君はとてもきれいなので、怪我とか苦しい思いをしてほしくないと思った。それだけ。

パラケルスス

君は僕の財産なんだよ。明日もしっかり働いてもらうために清潔な服を着て休んでくれって言ってるんだ。いい仕事をしてもらうための投資だよ。

パラケルスス

確かにお金ないのは困るね。でもそれくらいの価値がある人がそばにいるのは幸運なことでしょ?

パラケルスス

これから話すことは錬金術師なら喉から手が出るほどほしい情報だ。悪いやつに知られて君が狙われたら大変だろ。

パラケルスス

お客があてにするのは錬金協会の証明書だ。
下手な場所で買うと証明書が偽物だから気をつけて。

パラケルスス

バカだろ?金貨でやればなにも死なずにすむのにさ。
人間って命を潰すことで効果が高まるような気がするんだよ。

パラケルスス

技術を盗まれるだけならまだいい。
1年に1人は有能な新人が行方不明になっている。
目立つのがどんなに危険かわかってくれ。

パラケルスス

どうしてちからしごと全部やろうとするのですか。

ノラ・ペタン

女にあまいです、気をつけて。
奴隷になめられます。

ノラ・ペタン

ノラは奴隷ですけど物乞いではありません。
仕事をしてお金をもらって自由になります。
おつりは返します。

ノラ・ペタン

なに言ってますか、ノラは奴隷やめませんよ。
1日で200万ゼニーのお金になる仕事他にありません。
ノラはここでがっぽり稼ぎます。

ノラ・ペタン

『市場価格』は見ないのですか?
そこがエスかエーのものから選んだらよくないですか?
ノラ儲けたいです。

ノラ・ペタン

ノラは拷問されても秘密は言いません。
仕事を選ぶのとした仕事に責任を持つのは違います!

ノラ・ペタン

呪術の話ですが、命を潰せば潰すほど…、その生命が失われる瞬間心が痛ければ痛いほど呪術の効果は高まります。錬金術師たちに呪術の信奉者がいるのかもしれませんね。

ノラ・ペタン

おかねもちのお得意様をつかんだ後は、その人に直接売ればいいから証明書いりませんよね?その分は利益になります!

ノラ・ペタン

だんなさまは不思議なことを言いますね。
人間だって水と草と生き物の寄せ集めでできていますよ。
大して変わらないとノラは思います。

ノラ・ペタン

呪術のはじまりは言葉通り人への呪いです。「どうかあの人に不幸に・不自由になってほしい」。そのさもしい祈りに人は力を持たせる方法を見つけました。「これではいけない」。そうも思いました。

ノラ・ペタン

人が人を呪うことはやめられない。
でもほんの少しでもよくありたい。
その想いが込められたこの呪いが私は好きです。

ノラ・ペタン

「この世のあらゆるものを少しずつ良いものに変える」。
錬金術の基礎であり、これは私の信条です。

アグノシア・デア

いかがだったでしょうか?

学校や会社、その他の組織に所属していて、「落ち込んでいるとき、疲れているとき、悩んでいるとき、そして、少しでもあなたが夢に向かって突き進むとき、壁が現れたとき、壁を乗り越えるとき」に、モチベーションを上げてくれたり、グサッと心に刺さったり、物事の見え方が変わるヒントを見つけてもらえたら嬉しいです。

それでは今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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