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【続巻マンガ紹介】『メダリスト 9巻』が熱い!

マンガが好き過ぎて、マンガの貯蔵量が60,000冊を越えながらも、毎月新しいマンガを買い漁る僕が、前回1~8巻までの名言を紹介したマンガである『メダリスト』(©つるまいかだ/講談社)の最新刊:9巻を紹介させていただきます。

メダリスト 9巻 感想

ついに全日本ノービスAの大会が終わり、いのりのノービス編が完結となりましたね。

4回転サルコウを習得し、注目の的となったいのりと司が挑む全日本ノービス。前巻ではいろんな子がここ一番の演技を披露した上で、五輪金メダリスト夜鷹純の指導を受ける光が、4回転トウループ・ラスト3回転アクセルをノーミスで成功させ、他の選手を圧倒し、全てねじ伏せる展開になりました。

光の演技に呑まれ、何度も練習して準備した自分のパフォーマンスを発揮できなかった美玖をはじめとする選手たちを見ながらも、ついにいのりの演技が始まります。

個人的に僕はフィギュアスケートのジャンプやステップ、構成などは全くの素人で凄さがわらならない部分もありましたが、その熱量というか気迫に絶句しました。

「私の強さを金メダルで証明する!」と、ここまで積み重ねた集大成となる演技が始まると、描写される演技はひとつのジャンプをとっても一挙手一投足が胸を打ってくるのと同時に、その一瞬のためにどれだけの時間を費やし、そして失われていくのがわかってしまう…。

ページをめくるたびに、『降りてくれ!』と叫んでいる自分がいて、冷たい予感を振り払うようにいのりが繰り出す技のシーンで祈っている自分に気づいたときは、まさかここまでの演技がこの9巻で描かれるとは思ってもいませんでした。

読者として今後のストーリー展開を予想してしまうと、1つのジャンプの失敗があったことで、この試合では負けてしまうけどこの成長を糧にまた頑張っていくんだろうなという姿とこの大会を2位で締めくくり、次はジュニアでライバルに勝つのかなと想像していましたが、なんと結果はまさかの4位で表彰台を逃します。

いのりの演技が始まってからずっと予想の斜め上をいく内容で、演技の素晴らしさや奇跡を起こさなければ勝てない状況に追い込まれて、演技構成をいのり自身が勝利のために変更する展開、そしていのりが評価されたステップや回転不足を取られたジャンプ、また他の選手の得点が伸びた要因をゲームでいうところのコンボ数に例えられて、納得させられる(これらかの成長の幅・足りない点を教えてくれる)審査結果が述べられました。

「金メダリストになる」ことを目指して、いのりが光に追いつくのではなく追い越すための演技をした、いのりにとって最初にして最後の全日本ノービスAは4位という悔しい結果で終わり、いのりは「悔しくない」とは言いましたが、夜になると本当は悔しくて悔しくてベッドの中で大泣きし、次のジュニア編に向かってノービス編は終了します。

いのりがいきなりライバルに勝つかに思わせて、まさかの表彰台落ちというドラマチックな展開だったが現実の試合でもありそうですし、蛇崩コーチが語った『こんな大勢の中で一人きりで転んだら痛くて冷たくて、失敗しても終わるまで逃げ出せなくて、そんな氷の上でも表情を作って滑り切る才能ある子供たちを、全員天才だと呼ぶことができないこのスポーツっていったいなんなんだろう』という言葉で泣きそうになりました。

大会後はライバルの光と司先生の「勝負のための犠牲論争」で、勝負事では何かを切り捨てなくてはいけないと考える光の強い言葉と、その想いに屈せず自分の想いを貫く司の言葉の応酬が、普段の仕事の中で完璧人間を装いながらも、切り捨てることが全てじゃないし、犠牲のうえに成り立つ結果でどうなんだろうと思いながら働いている僕自身に深く刺さりました。

既に天才たちが集う勝負の世界に、まだ小学生という心も体も未熟な状態で集っていることが当たり前で、さらにそこでの順位や失敗に対する孤独さ、悔しさをどう解消していいかもわからないまま受け止めないといけない姿は、マンガというフィクションでありながらも現実にある世界であることを改めて実感させてくれた9巻だったと思います。

メダリスト 9巻 名言一覧

金色を獲ってきます。

結束 いのり

先生に怪我させた3回転ルッツが跳べないまま大会に出るのは嫌だ。使わなくても全日本までに降りられるようになっていたいの。先生には秘密にしてね。

結束 いのり

光ちゃんを並ぶんじゃない、超えなくちゃ。私は司先生の夢を終わらせた。周りの人の話を聞いちゃって、段々わかっちゃったんだ。あんなキレイに滑る先生、スケートのために全部をかけた先生の夢は、あの日私が終わらせた。

結束 いのり

今日夜鷹さんに証明する。私だけじゃきっと足りなかった…。でも先生の分のお願いも懸けているから私は勝てるんだって。司先生にスケート辞めさせた事を後ろめたくなるのは絶対にいやだ!

結束 いのり

少し怖いけど大丈夫。
負けたら罰を受けるから。
だから、だから、全世界私に賭けろよ!

結束 いのり

負けちゃった悲しさより、4回転跳べていろんな人に天才って呼んでもらえたこと、本当は…、本当にずっと嬉しかったなって、私が一番を目指しても誰も変だと思わない事がすごく嬉しかったなって思うんです…。

結束 いのり

あなたには運命を変える力がある。もう何度も変えてきた。だから今ここにいるんだよ。決められた運命なんてひとつもない。今日のメダルはあなたが一番好きな色を選んでおいで。

明浦路 司

悔しかったはず、悲しかったはず。
それなのにこんな笑顔の演技ができるのか。

明浦路 司

感動した!腕がまだ震えてる…。素晴らしかった。あなたの強さをもう一度思い知った。この最高の演技を一番近くで見られて本当によかった!

明浦路 司

努力家だとか幸運や成功を引き寄せられるだとか、誰かに評価される上っ面だけがあなたじゃない。そんなものだけで今のあなたが作られたわけじゃないだろ。

明浦路 司

俺たちは誰かが欲しがるものだけで作られていない。誰に期待されなくても一番になっていい。メダリストを本気で目指していいんだよ。

明浦路 司

俺にとっては犠牲なんて神聖なものじゃ全然ない。劣等感でなんにも見えてない奴が一番最初に手をつける簡単な自傷行為だ。価値を計れない馬鹿な人間ほどガムシャラに払えばお釣りがくると思うんだよ、

明浦路 司

犠牲を払えば願いが叶ってしまうなら、いくらでも払ってしまう。払うだけ払って失うものだってあるんだ。俺は絶対にいのりさんに自分と同じ道は歩ませたくない。

明浦路 司

犠牲があったって負ける!
なくたって勝てる!
それが勝負の世界なんだよ!

明浦路 司

同じ犠牲でも人によって重みは全部違う。
貴方の価値観で人の大事なものを計るのは傲慢だよ!

明浦路 司

んー…、なんかあっという間すぎてさあ…、今滑ったのが本番だった気がしないんだよねえ。

亜昼 美玖

ヒラヒラの衣装、冷たい風、大きな拍手、重たいスケート靴、整氷したてのツルツルの氷、眩しいキスクラ。大切だった全部が私にいらないものになる。ここから離れたらスケート選手の時間が終わるんだ。

亜昼 美玖

私がスケートやめようって決めたのは、私のためにみんながすごく無理して頑張らなくちゃいけないってわかったからなんだ。私はね、私だけの意見だよ。これが絶対正しい事だなんて少しも思わない。でも2つを比べた時、私は夢を大事にすべきだって選べなかったの。

亜昼 美玖

美玖は…、人並み外れた才能があった。
将来、日本代表選手になれるような才能が。
でも才能はあるだけでは夢を叶える事ができない。

鴨川 洸平

「才能」はそれ自体に価値はない。「才能を利用できた人間」になって初めて、価値が生まれるのだと。

鴨川 洸平

あの時、俺の言葉を信じて氷の上を選んでくれてありがとう。もうひとりじゃない。どこにいても輝けるよ。

鴨川 洸平

こんな大勢の中で一人きりで転んだら痛くて冷たくて、失敗しても終わるまで逃げ出せなくて、そんな氷の上でも表情を作って滑り切る才能ある子供たちを、全員天才だと呼ぶことができないこのスポーツっていったいなんなんだろう。

蛇崩 遊大

「どんな器用な子でも熱量を持って向かうものには敵わない」他人と違うものに一番夢中になれること。その個性は最強のアドバンテージだ。

蛇崩 遊大

私は絶対に変えません。相手の出方で変更せざるを得ないのなら準備不足…。それを認めないのは弱い人間。ジャンプは宝石…。発掘したばかりの原石ではなく、磨き上げてから勝負に使うべきです。

ジュニア選手

私は変える。積み重ねた努力が無意味になっても、人生変えられるなら運に頼る。運も味方にできるのが本当の天才だと思うから。

岡崎 いるか

あなたが夢を叶えられなかったのは、まだ捧げられる犠牲があったのに、手放す勇気がなかったからじゃないですか?

狼嵜 光

わかります…。
心の強さに差がある事。
それを嘲笑う人はサイテーだってこと。

狼嵜 光

私は自分が輝くと誰かに影がかかる事を知っています。でもその人に許されようなんてずるい事は思わない。

狼嵜 光

いかがだったでしょうか?

次巻からのジュニア編では、いのりはライバルたちに勝てるのだろうか?と、また手に汗握る展開となっていくのかとても気になる高揚が止まらず、きっとワクワクする展開が描かれるのだろうなという予感がしています。ぜひ興味のある方は読んでみて損はないと作品だと思います!

それでは今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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