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2つの監督交代劇とアルビレックス新潟

J1残留のためのふたつの監督人事

J1は残り9試合、J2は残り11試合、J3も14試合。一番遅い時期に開幕したJ3はともかく、J1とJ2はいよいよシーズン終盤という局面となった。
どのチームも、あとどれだけの勝ち点を積めば自分たちの目標にたどり着けるか皮算用する時期とも言えよう。

そして、残留争いを強いられたクラブは監督交代を含め、何かしらの手段を打つという光景は毎年J1やJ2で見られるものである。
そんな中、今年はJ1で、世間を騒がす指揮官の解任が2件もあった。

8月14日にジュビロ磐田の伊藤彰監督が、そして本日付でガンバ大阪の片野坂知宏監督が解任されたのだ。

ジュビロ磐田の伊藤監督解任のリリース。
本記事執筆中に渋谷秀樹氏の就任が発表された。
ガンバ大阪の片野坂監督解任のリリース。
後任は長崎前監督の松田浩氏となった。

ガンバ大阪は昨シーズンJ2降格をしながらも、天皇杯で準優勝した大分トリニータから片野坂知宏氏を監督にし、昨シーズンからの立て直しを図った。
しかし、宇佐美貴史選手をはじめとする負傷離脱した選手が多く、シーズンを通じてうまくいかなかった部分が多かったのではないだろうか?

ガンバ大阪の監督交代劇については約一週間前から準備が行われていた。

ガンバは、1週間前にV・ファーレン長崎前監督の松田浩氏をコーチとして招聘した。この人事にはクラブ内外から多くの人が疑問を呈していた。

松田浩氏のコーチ就任のリリース

松田氏は片野坂氏から見てサンフレッチェ広島時代の先輩に当たる人物。
後輩に当たる片野坂氏が監督をし、先輩の松田氏がコーチをするというゆがんだ構造となった。

クラブからは片野坂氏を支えるための人事という話があったそうだが、このような形では、部外者である筆者でさえ監督交代の準備をしているように見えてしまった。そして案の定、本日付で監督交代となった。

ジュビロ磐田は、昨年J2でシーズンを通して強さを見せつけ、J2優勝とJ1昇格を果たした。しかし、J2得点王に輝き、J2優勝の最大の立役者となったFWルキアン選手がアビスパ福岡に、さらに若手のホープだった小川航基選手が横浜FCに移籍することとなった。

昨シーズン監督を務めたのは、2018シーズンにアルビレックス新潟の監督に就任し、途中で解任された鈴木政一氏。高い個の力を引き出す上ではある意味もってこいの人事であったが、今シーズンは特定の選手への依存をなくすべく、昨シーズンはヴァンフォーレ甲府を指揮していた伊藤彰氏を監督として、2019シーズン以来のJ1での戦いに挑むことになった。

しかし、こちらはFW陣の不調や、圧倒的な個の力を持つJ1チームとの戦いに対応できず、苦しいシーズンを迎えることとなった。
そして、8月14日、サポーターに惜しまれながら、伊藤氏は解任となり、先ほどクラブ公式から後任は渋谷秀樹氏となることが発表された。

「残留」と「継続」

先述の2チームは、どちらも前者を選んだ。
「降格」となれば、クラブにとっての収入源が減り、選手がJ1チームに「個人残留」するということも起こりかねない。それだけではなく、クラブの名前に泥を塗ることとなる。ガンバ大阪にジュビロ磐田。この2チームのような伝統的なチームであればあるほど、このダメージは大きいだろう。

一方、後者を選ぶクラブもある。
今季でいえば、浦和レッズが当てはまる。
浦和は2021年に徳島ヴォルティスからリカルド・ロドリゲス監督を引き抜き、ポゼッショナルサッカーに挑戦。片野坂氏率いる大分との決戦を制し、天皇杯優勝を勝ち取った。
しかし、今季は苦戦。なかなか勝ちきれない時期もあったが、クラブは現路線を継続し、現在は調子を取り戻している。

どちらが正しいかを判断するのはシーズンが終わってからのこと。どちらの選択にせよ、クラブは難しい決断を迫られることになるし、そんな選択をしたクラブに対しては一定の敬意を払うべきだろうと筆者は考える。

アルビレックス新潟の2016シーズンから2019シーズン

我らがアルビレックス新潟は、2015シーズン終了後に現ツエーゲン金沢監督の柳下正明氏が監督を退任し、現ヴァンフォーレ甲府監督の吉田達磨氏を監督に就任させた。しかし、なかなか勝ち点を積むことができず、シーズンも残り3試合ほどとなったところで吉田氏を解任。後任は現サガン鳥栖コーチの片渕浩一郎氏を暫定監督とした(このときから「困ったときのフチさん」が浸透している)。
この年はなんとかJ1残留したが、翌年には降格。さらに2018シーズンにはJ3降格危機を迎える羽目になった。
このシーズン途中に鈴木政一氏が解任され、またしても片渕氏が監督に就任することになった。就任時は19位だったチームを16位に押し上げた手腕を買われ、2019シーズンも続投。しかし、第9節のホームモンテディオ山形戦を最後に解任され、後任は現アルビレックス新潟シンガポール監督の吉永一明氏が就くことになった。

アルビレックス新潟の改革・そして継続へ

筆者は吉永氏が監督になった段階で「アルビレックス新潟の改革」がスタートしたと考える。
シンプルなサッカーから効果的にパスをつなぎ、シュートを打つスタイルが芽生えつつあったからである。
実際、吉永氏の監督就任後の初陣となった第10節・東京ヴェルディ戦の際、試合中に「攻撃時のチームがひとつの生き物みたいになった」というSNS上での投稿が散見された。

吉永一明元監督

2020シーズンにクラブ初のスペイン国籍の監督となったアルベル・プッチ・オルトネダ氏(現FC東京監督)を就任させた新潟は、かつての走りまくるサッカーからボールを支配し、選手のポジショニングで優位に立つサッカーに転換。2021シーズンまでの2年間で成功したことと失敗したことを分析し、2022シーズンは松橋力蔵氏が監督として、吉永氏からの改革の総仕上げを行っている。

戦況を見つめる松橋力蔵監督(左)と柳下正明元監督

J1在籍時とJ2在籍中のクラブの意識変化

J1在籍時はやはりどこか守りに入っていたというか、改革を拒んでいるようにも見えた新潟。結果として、時代にだんだん合わないサッカーをするようになり、降格することになった。

J2にカテゴリーを移してからも、最初の2年は苦戦。特に1年目は見るに堪えないものであった。
ただ、あの1年があったからこそ、クラブは改革に乗り出したのだろうと考えたわけである。
その結果、数年前までは考えられなかったスタイルが吉永氏、そしてアルベル氏というサポーターに愛された2人の改革者により根付くこととなり、松橋氏という改革への理解者がそのスタイルの補強をしつつ、最大限生かしている。

「手を使えるフィールドプレイヤー」として活躍しているGK小島亨介選手

スタイルが確立しないとJ2で優勝できても苦戦するだけであることを見せつけられた。ただ新潟にははっきりとしたスタイルがある。だからこそ、ひとりのサポーターとして、ここで得たスタイルがどこまでJ1で通用するか見てみたい。

新潟がJ1に復帰し、J2で新たに得たスタイルを見せる日が楽しみだ。

後書き

書き終わってタイトルつけるために一通り読んだんすけどね、19歳のその辺の大学生の分際でめちゃくちゃ偉そうなこと言ってて書いた自分でも腹が立ってきましたw

こんな偉そうな文章、一通り読んでいただいた皆さんには本当に感謝です!
ありがとうございました!

次回は予定通りなら岩手戦についてのnoteになると思います。
こんな偉そうな口調で打つマネはしませんので、皆さん何卒よろしくお願いします🙇‍♂️

それでは!






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