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秋春制の非現実性について

皆さんお久しぶりです。
私としても久しぶりにnoteを執筆しようと思うようになり…というより執筆しなければならない重大事象が発生したと考えております。そこで、noteを執筆し、多くの人に私の意見をお伝えしようと思います。

自己紹介

・富山県富山市出身(新潟県新潟市(現新潟市東区)生まれ)
・20歳・大学生
・東京都府中市在住
・アルビレックス新潟サポーター
以上が自己紹介となります。今回は、「富山県出身者」、「関東在住者」、「アルビレックス新潟サポーター」という3つの視点からお話しさせていただきます。

秋春制とは

秋春制とは、サッカーのシーズンを秋にスタートし、春に終わらせようというもの。そもそも、現在、Jリーグをはじめ日本のサッカー界は春にシーズンをスタートし、秋に終了させる春秋制を採用している。秋春制に変更することでメリットはどれほどあるか、逆にデメリットはどれほどか。そしてそれらを踏まえるとどちらの方がよいか検証する。

Jリーグ公式YouTubeチャンネルより
上が春秋制、下が秋春制である

秋春制のメリット

秋春制のメリットは関係各所や賛成派の方々の意見、さらに私が独自で考えた意見を踏まえると以下のとおりであると言える。
・ACLとカレンダーの流れが重なる
・ヨーロッパへの移籍が容易になる
・台風の被害を受けにくくなる
・猛暑による負担軽減
以上である。

そもそも、秋春制の議論は過去にもされていたものの、ACLの運用変更等がなかったため、議論が凍結されていた。しかし、次回のACLからは秋春制による運用がスタート。これにより議論が再発生したことを考えるならば、ACLについて、理解はできる。
また、秋春制になればヨーロッパとシーズンが重なるため、ヨーロッパへの移籍を試みる未来の日本人スター選手の移籍が容易になる。従来であれば、ヨーロッパのシーズン開始に合わせて移籍をすると、そのチームはシーズン途中で主力を失うことになる。また、移籍先のチームは違約金を支払うorシーズン途中のウインドウまで待つという二択を迫られることになる。なお、昨年夏に本間至恩選手が新潟からクルブ・ブルッヘに移籍したが、彼はシーズン途中に新潟を離れ、ブルッヘは新潟に移籍金を支払っている。
また、気候面でのメリットがあるが、これは後述とさせてもらう。

秋春制のデメリット

・雪による延期
・雪国チームの練習場所の確保
・集客の低下

雪による延期


何より雪は深刻である。先ほど秋春制のメリットに台風回避と猛暑による負担の軽減を挙げたが、台風は数日間の延期、猛暑はナイトゲームや飲水タイムの導入によりある程度の解決を図れる。

しかし雪はそうはいかない。

大前提として、以下の写真の場合はサッカーの試合として成立しないため、雪かきが強いられる。雪国出身の皆さん、あるいは雪国在住の皆さんならお分かりいただけると思われるが、この広さの雪をどかすとなると、一人や二人程度では不可能である。正直30人いたとしてもいつ終わるかわからない。

雪に包まれた新潟・ビッグスワン
https://www.x4l.org/jleague_autumn_spring_system/より引用

さらに、アルビレックス新潟サポーターとして、2014年のホーム柏戦のこともある。(詳細は以下の通り)

Jリーグは今年で30年とのことだが、雪による延期は2014年J1リーグ第34節 アルビレックス新潟VS柏レイソルのみである。秋春制になるならば、このような事象は激増するだろう。実際、すでに秋春制となっているweリーグでは、あまり降雪のないはずの広島で雪が降り、その影響で中止になっている。30年で1試合しか降雪による中止がなかったJリーグに対し、たった数年で降雪による中止をしているweリーグがあるという事実は看過できない。

雪があることによる交通面での影響

アルビレックス新潟は例年高知県でキャンプを行っている。理由は単純で、雪があるからである。また、新潟はJ1に在籍している2004年~2017年、および2023年において、一度たりともホームで「第1節」の試合をしたことがない。これも理由は単純で、雪があるからであり、スタジアム内外での安全確保は難しいからである。「スタジアム内」の話は先述の通りだが、「スタジアム外」とはどういうことだろうか?

では、以下のデータを見ていただこう。

これは新潟県内の高速道路の整備をしている東日本高速道路(以下「ネクスコ東日本」とする)によるデータ(https://www.e-nexco.co.jp/news/important_info/2023/0530/00012570.html)である。

このデータによると、ウインターブレイクの期間外である12月では、事故の件数が197回となっている。新潟は他の豪雪地帯と比較して関東からのアクセスが容易である一方、関越トンネル付近の土樽PAでチェーンorスタッドレスタイヤの確認をしているように、冬の装備を全くすることなく上越国境を越える車が現れるため、ここまで事故件数が増加するものと考えられる。また、通行止めが過去5年間平均で20回強、昨年は49回に上っている。新潟の人々が関東に向かうのももちろん苦労するだろうが、問題は新潟でJリーグの試合を行う場合である。

雪道に慣れていないドライバーが通行止めとなった高速道路を迂回して三国峠を越えるのはそうたやすいものではない。

現在は三国トンネルが閉鎖され、新三国トンネルを運用しているが、それ以外は基本的にこの状態のままであろう。
春秋制であればこの道だろうとノーマルタイヤで通過できるが、秋春制では不可能である。仮にスタッドレスタイヤであったとしてもここは通過したくない。また、今年の2月に首都圏で雪が降ることもあったが、雪国出身の私としては、雪に慣れていない人たちが雪に苦戦している光景は見ていてとても怖かった。雪の対策をほぼせずに通常のトレーニングシューズで坂道を下っていくのもまた、とても怖かった。

新潟の場合、フル規格の新幹線が走っているため、最悪上越国境のバス移動を回避することは可能である。同様に、J2ならば仙台と金沢、J3ならば富山と長野、盛岡、福島はフル規格の新幹線による回避は可能である。一方、秋田、山形、松本、鳥取といった地域にはフル規格の新幹線は通っていない。最悪選手やスタッフだけでもアウェイの地に行けば試合になるものの、それすらままならない可能性があることを理解しなければならない。

ちなみに、昨年の新潟の降雪量は例年並みか若干少ない程度である。
気象庁|過去の気象データ検索 (jma.go.jp)

集客面でのデメリット


集客のデメリットもあるだろう。シーズンオフの期間は従来と同じであるにもかかわらず、プラスアルファでウインターブレイクを設けるとなると、ミッドウィーク開催の増加もありうるだろう。J1に昇格し、アルビレックス新潟のホームゲームは2万人前後の来場者数を記録している。しかし、水曜日に開催されているルヴァンカップの入場者数は1万人を切っていることがほとんどである。

新潟の場合は2分の1に減少しているわけだが、もっと減少幅が大きいクラブもJ1リーグにある。秋春制のデメリットは何も雪国クラブにのみ影響するものではない。

Jリーグ・秋春制賛同者の突っ込みどころ・矛盾点

秋春制賛同者の話を聞いていると、いくつか突っ込みどころ・矛盾点が存在している。
・ACLの参加クラブは全60チーム中4チームしかない
・ゼロ円移籍が増加し、クラブの収入が減る
・Jリーグワールドチャレンジの廃止
・酷暑の中でシーズンスタート

これらの話をする前に、「ウインターブレイク」の話をさせていただこう。

ウインターブレイク

先ほどの表に「ウインターブレイク」があることも私は理解している。しかし、ウインターブレイクがあるということは1月の間はキャンプに出なければならない。また、それとは別にオフシーズンがあるため、通算で年に2回キャンプをしなければならない。特にウインターブレイクはシーズン中にもかかわらず、遠方でのキャンプが強いられるため、雪国のクラブは極端に不利になるのだ。
また、選手やスタッフにも家族がいる。外国人選手にとっては特にその傾向が強いように感じるが、選手にとって家族とは心の支えである。逆に言えば、キャンプの期間がふたつに増えることにより、心の支えから離れる期間が増えることになる。
そのため、ウインターブレイクは一見画期的なシステムのように見えて、実際のところ、雪国クラブの反論の肩透かしをするための道具でしかない。

ACLの参加クラブは全60チーム中4チームしかない

ACL常連クラブのサポーターの皆さんには申し訳ないが、こう言わざるを得ない。ひとりのアルビレックス新潟サポーターとして、必ずACLに出場したいと考えている。ビッグスワンでアジアの強者と戦ったり、アジアの各地で戦う新潟イレブンを後押ししたりしたいものである。

一方、雪国クラブは私が思い浮かぶ限りで10チームはある。秋春制になると、これらのクラブに何かしらの補填が必須になる。

一方、ACLを戦うクラブはオフシーズンが大幅に減るのも理解している。しかし、その負担を背負うのはわずか4チームである。

私としても選手にとって大切なオフシーズンの期間を削ってその分札束でひっぱたくようなことはしたくない。しかし、もし「秋春制ならこっちが、春秋制ならこっちに補償を」という状態になるならば、まだ4チームの方がJリーグとしては出しやすいものと思われる(それだけ雪国クラブは多く、課題は巨大なものであるが、ACLも大事であるため比較衡量するしかない)。

ゼロ円移籍の増加とクラブの収入減

たしかに、ヨーロッパとシーズンが重なるのは、選手としてはよいことである。しかし、クラブとしてはどうだろうか?

先ほど本間至恩選手の名前を挙げたが、彼は新潟との契約を(少なくとも)半年は残した状態でベルギーへと旅立った。
仮に契約が残り半年のみだとするならば、本間選手の移籍で新潟は半年分とはいえ移籍金をもらえているというわけである。しかし、秋春制だった場合、本間選手との契約は満了だった。つまり、本間選手の移籍はゼロ円である。

海外への移籍がしやすくなることは光となる部分があるが、闇があることを忘れてはならない。

Jリーグワールドチャレンジの廃止

今年は数多くのヨーロッパの強豪チームが日本にやってきて試合をする。私の友達の中にはマンチェスター・シティのサポーターやバイエルン・ミュンヘンのサポーターがおり、彼らもその試合を楽しみにしている。

Jリーグワールドチャレンジの広告(Jリーグより)

そもそもなぜヨーロッパの強豪チームが日本に来るのだろうか?
もちろんヨーロッパのチームの宣伝というのもあるだろうが、彼らにすればそれよりも大きな理由がある

それはシーズン前の調整である

先述の通り、日本は春秋制であるのに対し、ヨーロッパは秋春制である。
そのため当然シーズンはズレるのである。

ヨーロッパのチームは最終調整のためにはるばるやってくるのである。そしてその相手となる日本のチームはシーズン中である。リーグ間での差があるのも影響しているだろうが、やはりシーズンのズレは大きいだろう。

これが秋春制になるならば、それはなくなる。その結果はお察しの通りである。

酷暑の中のシーズンスタート

何よりもこの矛盾点は指摘しないわけにはいかない。
何人たりとも、シーズン開始から100%の調子の選手は存在しない。
人によってそこはマチマチだろうが、平均すると70%くらいだろうか。

少なくとも体は仕上がり切っていないだろう。

春秋制であれば、100%に仕上がる時期が酷暑になるとはいえ、体が慣れていない時期が一番キツイ時期になるということはない。

しかし、秋春制になればシーズンのスタートは酷暑となる。

「酷暑の負担減」と言いつつ、体が仕上がっていない時期をスタートにもっていくのは矛盾しているとしか言いようがない。

最後に

最後に、もう一度移行の資料を見てみよう。

この資料には違和感がある。さっと2つ挙げるならば、
・ウインターブレイクが短すぎる
・春秋制のシーズンオフが短い
である。雪国に配慮するなら、ウインターブレイクは12月の2週目あたりから必要である。また、その終わりも2月の終わりまででなければならない。

本当に雪国に対する配慮・理解がなっていないと感じるものである。

また、春秋制のシーズン終了は基本12月の頭であり、スタートは2月の3週目であるはずだが、地味にズレがある。雪国の1週間は場合によっては致命的な1週間である。たかが1・2試合ではなくされど1・2試合である。

なんとしても秋春制にしたいというJリーグ…というより協会の田嶋会長の意思が見て取れる。

賛成派の皆さんはぜひとも雪国の中でも比較的アクセスのしやすい新潟、富山、石川に行っていただきたい。
そして、雪の厳しさを身をもって体感していただきたい


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