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メデューサを見たか Tu as vu la Méduse?

久々に吐くほど飲む。

吐くとすっきりするのが、なんだかご褒美のように思えていた。

便座から顔をあげたとき、まるで初日の出をみたような清々しさがあった。

個室から出て手を洗っているとき、鏡の中の己に気づく。

青白い顔は醜く汗ばみ、髪はその身を蛇のようにくねらせながら、私自身を必死に拒絶している。

清々しさは一瞬で吹き飛んだ。

フランス語にméduserという動詞がある。

字のごとく怪物メデューサが語源で「〜を呆然とさせる」という意味。

メデューサに遭遇したときに生まれる感情って、呆然じゃなくて恐怖だろ。と密かに思っていたけど

実際に遭遇してわかった。「〜を呆然とさせる」で間違いない。

「吐く」を冗談で"faire un pizza"  (ピザをつくる)と言うことがある。

"J'ai trop bu alors j'ai fait un pizza!!" (めっちゃ飲んでピザつくっちゃったわ)と言うと

いや私は”faire une quiche” (キッシュをつくる)と言うとロレーヌ人。

私は”faire une galette”(ガレットをつくる)派よ!とアルザス人。

地域で表現が違うらしい。

日本人なら”faire un Okonomiyaki” (お好み焼きをつくる)と言うべきか。

己のナショナリティの為に、お好み焼きを嫌いにならないか心配。

2日後、メデューサは再び現れた。

吐いたときの胃酸で喉を痛めたらしく(もともと胃酸過多、逆流性食道炎の気がある)

その部分が朝晩の乾燥にやられ熱が出る。

アラサーボディがもたらす負の連鎖に呆然とさせられた。


おいしい味噌汁を飲みにいきます。