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株式会社闇のホラー創作哲学について

どうも、株式会社闇のトンカです。
先日は「闇の増資」でバズりました。世の中わからないものです。

今日は社内向けに「株式会社闇の創作哲学」について
語りたいと思います。

※株式会社闇はホラーの制作会社です
※どんなもの作ってるかはこちらを参照


なぜ語るか

会社規模が小さい頃は私が直接的に制作物を指揮すればよかったんですが、今は会社の規模が大きくなって、社員も増えました。すべての案件を私が指揮するのが現実的に不可能な規模感になっています。

ですので、社内のメンバー全員が「株式会社闇の制作方針はこれね」と理解した上で自律的に動けると、お互いいいよね、と思ったからです。
今までは、一緒に仕事を進めていく中で学んでもらっていました。ですが、昨年から今年4月で4人の新メンバーが参加してくれる状態です。全員に事細かに伝えることも難しくなってきました。
ですので「株式会社闇らしいクリエイティブとは何なのか」を明文化していきたいと思います。


明文化する前の言い訳

クリエイティブに正解はありません。また属人的なスキルや考え方に依存する前提です。ノウハウを無理やり書いても抽象的で、掴みきれない表現も少なくありません。
それでも書いたほうが、理解してもらえる可能性が少しでも高まると思ってとにかく書きます。


書いてるうちに長くなったので、先にまとめ

書いてるととても長くなりました。なのでAIにまとめさせました。
だいたいこんな感じの事を語ります。

要約すると、次の点が重要であると述べられています。
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・クリエイティブに正解はないが、会社の方針や考え方を明文化し共有することが大切

新たなホラーの価値を創り出し、世界中の好奇心を満たすことを目指している

情熱を持ち、ターゲット理解に基づいたアイデアをチームで具現化することが重要

優れたアイデアには問題解決力、発想の飛躍、直感的理解があること

複数の視点から考え、ホラー以外の分野からも着想を得ることが大切

時間軸を意識し、ターゲットの体験を想定してアウトプットを設計する

一貫した世界観や美的感覚(審美眼)が作品の質を高める

チームが同じ方向を向き、責任者の判断に従い全力を尽くすことが求められる

ターゲットの予想を上回る新たな価値や表現を生み出すことが品質の基準

適切なまとめをありがとうClaude!


株式会社闇が目指してるもの

ホラーエンターテイメントで、みんなの人生を面白くしたいと思っています。人間の好奇心は底抜けなので、その底抜けの好奇心をホラーで満たしたいという思いです。
それも日本人だけでなく、ホラーで世界中の人の好奇心を満たすという野望があります。
そのために、今までに無い、新たなホラーの価値を創りたいのです。
株式会社闇がよくテクノロジーを活用するのは、新たな価値を生み出すことに最新のテクノロジーはうってつけだからです。

ちなみに大事なことですが、「エンタメ」を作ろうとしています
ホラーで人を悲しませようとか苦しませようとか、そういう思想ではないです。ここは履き違えないようにしたいと思っています。


企画からクリエイティブの流れ

以前のnoteで企画の流れをまとめましたのでそれを参考にしてください。
要約すると下記のとおりです。

・目的を整理しゴールを決める
・ターゲットを決めてターゲット理解を深める
・ターゲットの心情に即した課題解決アイデアを考える
・アイデアをターゲットに届きやすいクリエイティブで表現する

これらは、その内容を1つの表にすると、チームで共有できます。
また、指針がぶれないようにその表を壁に貼っておきましょう


株式会社闇らしいクリエイティブとは何なのか

極論から先にいうと

・とんでもない情熱をもって
・適切な市場に向けて
・ターゲット理解が十分で
・しっかり練られたアイデアを
・チームが同じ方向を向いて
・こだわってアウトプットを作れば

素晴らしい作品が絶対にできると信じてます。

(ちなみに売れるかどうかはまた別です)

なので、これを如何に再現するか、が理想となるわけですね。
この品質を管理する責任者のことをクリエイティブディレクターと呼びます。この品質を高める技能をクリエイティブディレクションと呼びます。

ちなみに、素晴らしい作品を生み出す方法は他にもあります。
例えば既存の成功パターンを模倣する、というのも手法としてはありえます。

ただ、株式会社闇では「新たな価値」「新たな表現」「新たな発明」を生み出すことを良しとします。なので、安易な成功模倣より、まだ見ぬ表現を模索することを目指したいと思っています。


情熱について

情熱があればアウトプットの品質が上がる可能性が高い訳です。
ですがホラーにはたくさんのジャンル、作品、キャラクターが存在します。全部が全部好きという人は良いのですが、そうでない人もいると思います。

ちなみに私は、フェイクグロは大好物ですが、リアルグロは全くダメです。仕事上リアルグロを見る機会が多くて泣いてます。

つまり、全てのプロジェクトにおいて「大好き〜♥」という情熱を振りかざせるわけでないのです。

なので私は「今から作る創作において、小さくてもいいから新たな発明をしたい」という情熱を必ず携えるようにしています。
このような形の情熱なら、どのような媒体のどのような案件でも変わらず持ち合わせることが可能です。闇の価値観にも合いますし、ホラーにおいてまだ見ぬ表現や発明は、驚きや恐怖を引き起こせます


優れたアイデアの尺度ついて

優れたアイデアに求められるのは下記の3点です。

・いくつかの問題が一気に解決できる
・発想の飛躍がある
・直感的に理解できる

1つ目は任天堂 宮本氏の考え方で、アイデアの本質を表現していて非常にわかりやすいですね。

2つ目は、それが「凡庸な発想で解決可能」だと、そもそもクリエイティブが不要なんですよ。通常の方法では解決できない、到達できないから、クリエイティブが求められるわけです。
そのために従来の考え方や枠組みから脱却し、全く新しいアプローチや解決策を見つける必要があります。そうして真に問題が解決できるのです。

3つ目、「たしかに問題は解決してる感じがするけど、説明が長いし何をってるかわからないね」という内容がアイデアとして提示されることがあるんです。でも、それって解決と言えないので「直感的に理解できる」って尺度が大事です。

ただこの3つ目「直感的に理解できる」が曲者です。
「誰が直感的に理解できるのか」という主語の問題が存在します。
「誰しもが直感的に理解できる」は理想なんですが、このようなケースはレアです。
逆にアイデア提唱者は「これは大発明だ」と言い張ってるけど、他の人が理解できなくてポカーンというケースがよく見受けられます。(私自身よくあります)

この場合の良し悪しは「アイデア提唱者の情熱パワー」と「ターゲットが直感的に理解できるか」の掛け算で考えると良いと思います。ターゲット属性の理解者がゼロなら、どれだけ情熱があっても不採用になります。
一方で例えステークホルダーが直感的に理解できなくても、ターゲットの理解者が「直感的に理解できる」と想定できればGOだと考えます。
またターゲットの理解者が少なそうな場合でも、提唱者の情熱があれば乗り越えれるケースもあります。ちょっと危険ですが。

これらの3つが揃うと「それしか答えがないだろう」と複数人が言い出す状況になります。こうなると優れたアイデアにたどり着けたと判断できます。「まぁ、なんとなく実現できているよね」という感想が多数であれば、アイデアとしてはまだ練度が足りない状態と考えたほうが良いです。


優れたアイデアの発想方法

世に数多とその手の解説本があるので、自分にあった方法を見つけるのが良いと思います。発想方法は人それぞれなので。
ただ必ずやってほしいのは、「複数の立脚点からアイデアを考える」ことです。
従来の考え方や枠組みから脱却するためには、1つの立脚点で物事を考えるとアイデアが飛躍しにくく、また比較検討できないことから小さなアイデアに固執してしまう恐れがあります。
「課題をどの立ち位置で解決するか」を変えると、必ず複数の多角的なアイデアが生まれます
意外と飛ばす人がいるので、この作業は必ずやってほしいなと思っています。
またホラーのアイデアを考える際に、「既存の発想を超える」ためにはホラー以外のジャンルから「これってホラーに使えるかも」と考える事も重要です。
「課題意識」を持てば、世の中のありとあらゆることが「これはホラーに使えるかも」という発想につながります。
ちょっと面倒ですが、慣れると世の中の見え方が変わって楽しいですよ。


アイデアの具現化について

「アイデアを具現化すること」をクリエイティブアウトプットと呼びます。
アイデアはクリエイティブアウトプットという形を持つことでターゲットに届けられる形になります。
いくらアイデアが良くても、アウトプットが適切でないと機能しません
クリエイティブアウトプットの良し悪しの指標は「ターゲットを感動させることができるかどうか」です。
形を適切にし、品質を高め、ターゲットが感動できるかどうかはクリエイティブディレクターの腕にかかっています。


時間軸を考慮した感動の作り方について

ではどうやったらターゲットを満足させ感動させられるのか。
そのためには、特にホラーの場合、時間軸も考慮して考える必要があります
お化け屋敷やイベント、映画、ゲームなどは時間軸を伴ったエンターテインメントなので、時間軸で、どのようにアウトプットが機能するかを設計する必要があります。
私の場合は、ターゲットを主人公にして、その情報を知ってから、体験するまでを全て一人称視点で体験記として事細かに書き出します。
(例えば30分の体験ならおおよそ6,000文字ぐらいです)

そして体験記の最後に「とっても感動した」と書き加えます。
そうすると、ターゲットが求めてるモノや感情が盛り上がってほしいポイントが時間軸で詳細に浮かび上がります。
そしてその体験記をアウトプット想定と照らし合わせることで、書き足した「とっても感動した」にたどり着けたのか、何が足りてないのか、何があると感動できるのかが具体的に見えてきます。
書き出してみると、予想以上に数多くのアウトプットがリストアップされます。それらが総合されて一つの体験が出来上がってることがよく理解できるでしょう。
クリエイティブディレクターは、限られたリソースの中で、そのアウトプット一覧をどのように完成させるかを設計するのです。


審美眼について

優れたアウトプットには「美」という概念があると思っています。
単純に美しいという意味ではなく「一貫性のある、品質を感じさせる世界観」といったほうが良いのかもしれません。
「一貫性のある、品質を感じさせる世界観」という概念のある作品は、その世界に没入しやすくなるので、ホラーには大変有効と言えます。
ですのでこの「美」を見極める力、すなわち「審美眼」という能力が重要です。
この作業の責任者がアートディレクターという職能になります。
私は元々アートディレクター出身なので、体で叩き込まれた概念なんですが、この必要性・重要性を非デザイナーの人に説明するのが本当に難しい。

個人の「好み」とは明確に区別したほうが良いです。好みは主観によるもので、その日の気分で変わる可能性すらあります。好みに立脚すると、一貫性が保てなくなります。
一方、審美眼はターゲット理解や美の構造、トレンドに則った、客観性のある評価能力をいいます。ですので普遍性がありブレにくいのです。

クリエイティブディレクター自身がアートディレクションをする必要はないのですが、作品に込められた美が良いかどうかをジャッジするために、また適切なアートディレクターを選出するためには「審美眼」が必要です。

審美眼は鍛えることができます。世の優れたアウトプットを「自分だったらどう取り込めるか」という観点でたくさん観て、体験して脳内にストックすることが、審美眼を鍛えるポイントです。


チームが同じ方向を向くことについて

チーム論は、私が苦手とするジャンルでして、反面教師にしてくださいとすら思っています。
チーム論にも正解はありません。同じ方向を向かせるなら「恐怖政治」すら機能するわけです。ですが、私は恐怖政治にトラウマがあるので、それ以外の方法で機能する方法を模索しています。

ホラーにおいてのチーム論が、普通のクリエイティブより大変だなと思うことが実はあります。
ホラー表現に一般的な正解はないのですが、個々人においては強い正解(言い換えると好み)があるんです。なので、全員が同じ方向を向くのが、とっても難しい。
クリエイティブディレクターが「こうしたい」と思っても作業者が納得してくれないことは日常茶飯事です。

そこで2つのルールを持ち込むと良いかなと思っています。

・正解かどうかはターゲットがどう感じるかを判断基準にする
・たとえ納得できなくても、責任者がジャッジした際にはそれに従い、全力で応援する


この2つが日頃から文化として根づけば、少しはスムーズになるんじゃないかなと思っています。

ちなみに決定の際の多数決は、悪です。責任者が不在になるので、後々の完成度に悪い影響を与えます。
クリエイティブディレクターは、他人の意見をアドバイスとして受け取りつつ、必ず自分の脳で決定を下す必要があります。


クリエイティブの品質について

基本的に「ターゲットの予想を少しでも上回ること」を品質の基準とします。
めちゃくちゃ大変なんですけどね。
ターゲットの予想を下回る、またはターゲットの期待通りだと、私たちが目指している「新たな価値」「新たな表現」「新たな発明」として受け取ってもらえないからです。予想を超えるクリエイティブに出会ったときに初めて「これって新たな価値だよね」と気づいてもらえるのです。
めちゃくちゃ大変なんですけどね。


おおむね以上です!
体験者をある意味ドン引きさせるような、まだ見ぬ、素晴らしいクリエイティブをつくりましょう!
ホラーを作るのは本当に面白いからねぇ。



会社でホラー映画観ます。