一日に書く枚数

小説を書く枚数は一日辺り何枚と決まっていて、それは書く小説によって決まる。大体十枚で落ちつくことが多い。今年は一日三十枚を十日あまり続けて三五〇枚だかの長篇を一本仕上げていたが、これも三十枚と決めたから毎日三十枚書くのであって、つまりは同じ枚数で書き続けることにウェイトを私は置く。
 今日はいつもより多く書けた、調子がいい、筆が乗った、というのは多くのケースで見当違いなことを言っていると思っていて

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押されなくても書き続けます。そして、ありがとうございます。
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机の周りで風景が変わる

書いているさなかに立ち会う様々な事態や、どのように書けば自分の書きたいように書けるのか、そこにどのような距離感を保つのか、……もちろん手応えをもって書くことは重要であるが、そうした悩みは完全には解消されることはないし、もちろんされてはならない。
 しかし「書く」という行為、ある意味ではフィジカルなそれについて、私は幾度もそれをくり返しては、時に失敗し時にこれはそれなりに出来ているか、と満足を得るこ

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幸福な少数者へ(スタンダール)
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豊穣神話のまとめと行為者モデル【物語元型論】

ここまで3回に渡って、英雄譚の片割れである豊穣神話についての解説をしてきました。なので、この辺りで一旦まとめをしておきましょう。まとめをするにあたり、説明にちょうどいいモデルを見つけたので、まずはそこから説明していきます。

行為者モデルとは

行為者モデルとは物語の役割を6つに分けて、それぞれを関連づけたものです。典型的な英雄譚、つまり「村を旅立った英雄が竜を倒してお姫様と結婚する」物語なら、こ

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知るほどに知らないことも増えていく。けれど知ったことは変わりません。
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神楽坂に行ってみた!(文章修行の旅)

神楽坂に行ってきましたよ。もうダメだと何度も挫けそうになり、足は震えるし(真面目な話)、乗換案内は難しい乗り換えばかり提示してくるし。遅くなってもいいから、知ってる路線だけで行かせてくれ。

神楽坂は坂でした。

写メっちゃおうかな~ふふふ、的な気持ちで東西線降りたんですけど(着いたから迂闊)、駅から30秒というのに迷いました、20分ほど。写メる余裕なし。そして帰りも浮き足立って写メる余裕なし……

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キャッチー in the lie

小説は書き始めが重要とはよく言われることである。
続きが読みたくなる書き出しでなければ読者は読むことを止めてしまうという話である。本屋で立ち読みして気に入るにしても、Web上の試し読みサービスを利用するにしても、もちろん「小説家になろう」や「カクヨム」などの投稿サイトで無料公開されているものを読むにしても、続きを読むかどうか決めるのは書き出しが面白いかどうかにかかってくるということだ。

面白くて

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絵描き(25)

エレベーターの中で
 伊藤 これ終わったら、なに食べます? 「梅林」か「よし田」なら奢りますよ。
 結城 高い店ですか……?
 伊藤 高くない。とんかつか蕎麦(笑)。
 結城 あっさりしたものがいいな。
 伊藤 「よし田」か、それかフレンチのお店でいい所を最近見つけました。
 結城 んー。
 伊藤 いえなんでもいいのですが。フレンチ? てか君しゃべるな。田舎者は普段なんにもない分、東京に入ると食に

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あなたがスキを押し、それを喜んでいる人間がいたとしたのならば私です。
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漱石「明暗」を読む

医者は探りを入れた後で、手術台の上から津田を下した。
「やっぱり穴が腸まで続いているんでした。この前探った時は、途中に瘢痕の隆起があったので、ついそこが行きどまりだとばかり思って、ああ云ったんですが、今日疎通を好くするために、そいつをがりがり掻き落して見ると、まだ奥があるんです」
「そうしてそれが腸まで続いているんですか」
「そうです。五分ぐらいだと思っていたのが約一寸ほどあるんです」

 漱石は

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幸福な少数者へ(スタンダール)
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小説は身体に記録される

私は長篇書きなのであるが、最近短い小説を書き上げたことで「劇的」なフィードバックを体験した。それは私がこれまで文章を書いてきたもののうちで、最も強いものとなった。それは瞬発的な刺激ではなく知覚を変質させる。それは元をたどれば私が去年に書き上げた、自伝的な小説がファクターとなっており(私は自分のことを題材にして小説を書くのはそもそも好きではない)、私は陰惨な体験をした町に細かく取材をして、しかしそれ

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ありがとうございます。あなたが花屋であれ床屋の丁稚であれ。
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コミュ障エルフとアル中ドワーフ

現在地球上で最も繁栄しているとされる人類であるが、ここまで文明を発展させることができたのはその高い知能によるものだと一般的には考えられている。
だが、現生人類であるホモ・サピエンスと同時期に存在していたネアンデルタール人は、我々よりも大きな脳を持っていたとされる。ネアンデルタール人は滅び、我々は生き残り繁栄した。つまりそうなった理由は知能の高さだけにあるのではないと考えられる。

現生人類とネアン

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異世界人は米を食え!

異世界ファンタジーのテンプレ的な世界設定を表現する言葉として「中世ヨーロッパ風」ではなく「無国籍」を使用してはどうかという話を以前書いた。

だが、自由に世界を設定できるはずの異世界ファンタジーは何故かどれもみな西洋に寄りすぎており、今ひとつ「無国籍」という言葉が当てはまるとは言いづらい状況にある。
象徴的なのがパン食だ。異世界で食事といえばまず小麦かライ麦のパンである。他の穀物や芋類が主食になる

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