新スラ日記 Day 302~商法完全体進化週間 Day 1~

とうとう司法試験予備試験短答試験まで1ヶ月と少しというところまできた。その中で答練パックの短答答練模試で第4回ではいつもの苦手科目がボコボコにされたので(特に苦手意識あるのが民訴・商法・民事訴訟法)、こうなったらこの4月中に苦手科目全部叩き込んでやると決めて、一週間で一科目短答知識・論文での論証展開をAll Completeを狙うことにした。勿論、短答演習はR3からR28辺りをもう一周することを予定。

さぁ、地獄の冒険を始めようか.....

今日は商法1日目、設立を片付けてきた。

設立は以前にガッツリやってたところだからあんまり怖いところはない。短答で気を付けないといけないのは新株予約権とかあそこあたりだ。そこまではさっさと駆け抜ける。

とりあえず、設立分野において気を付けないといけない論文試験での論点は以下の4つと言ったところだろうか。

①出資の履行(34条)

これについては、見せ金の方を意識しておく必要がありそう。見せ金は外観上は金銭の流動があるため、出資の履行があるとも思えるのだけれど、実質的に見てみたら会社財産の形成に資することは無いため出資の履行があったとは言えない、と言ったこともあるため、こちらの方が出題としてはしやすいだろうから。

これについては、結構基礎問題とかで見た人もいるだろうから誰でも呼吸と同等レベルで規範自体は書けてしまうだろう。

・払い込み~返済までの機関

・その期間における会社財産としての運用の有無

・返済が会社財産に対して与える影響

を考慮して見せ金かどうかを判断。見せ金に当たる場合には、会社財産の形成に資することは無いため出資の履行には当たらず、払込は無効!という扱い。

んで、ここからがさらに大事で、払込が無効だった場合のその後の処理を把握しておく必要がある。

当該発起人は会社に対して払込をする義務を負うのだけれど、それすらしない場合には会社財産の形成を著しく損なうということを理由に重大な瑕疵があると言えるから設立無効の訴えの無効事由が認められる、ということになる。

また、発起人が支払わなくて当該発起人が失権した、と言う場合については、25条2項違反で、同項が重要な趣旨であることを理由に重大な瑕疵があるとして無効事由肯定、という処理もある。

あと、全員が株式を引受けたけれど、一部出資履行をしていないというときには、定款記載額のMinを満たすなら会社財産は最低限確保されているということで設立無効とはしない、というカンジだ。

②設立中の会社の権利義務

会社が成立した後、設立中の会社になされた法律行為等に基づく請求を設立後の会社に請求するときの問題意識。

設立中の会社と設立後の会社は形式的に見れば異なる存在だから、設立中の会社に帰属した権利義務が、当然に設立後の会社に帰属してるのか、ということが本論点の冒険の出発点。

ただ、これについては、優秀答案とか調べてたら非常に感銘を受けたフレーズ見っけたのでそれを使う。

設立後の会社は権利能力なき社団としての実態あり

      ↓

その会社が設立することで会社となる

∴実質的には両者は同じ!

だから設立後の会社にも帰属する。

但し、設立中の会社にその行為の効果が帰属していないとダメ。

じゃあ、設立中の会社に帰属する要件は?というのが第二の関門

これは、両者が実質的に同じ、ということに着目するところからスタート。

設立後の会社の権利能力は、その目的の範囲内でのみ認められることから、①設立中の会社の実質的権利義務の範囲内である(つまり、設立自体に関するor会社設立につき必要・役立つもの)こと、が要件の一つ。

次に、発起人がその行為を行っているところ、発起人とは、設立中の会社が設立できるように活動する存在であることから、②発起人の権限内であることが必要となる

従って、①&②を満たすときに帰属することになる。

ここで、特に問題意識として持っておくべきは開業準備行為。

28条2号:財産引受

これが開業準備行為の1つである。これについては、定款に定めがあるときに発起人の権限になる、というもの。

それ以外の開業準備行為については、発起人の権限とはされてない。というか、同号の類推適用を認めないのが判例の立場。

開業準備行為は、発起人の権限濫用の危険が高く、会社財産を害する危険が高いため発起人の権限としては認めてはいない。

ただ、28条2号:財産引受

だけは、会社設立上特に必要が高いことから例外的に同号でOKとしよう、としただけ。つまり、必要が高いからと言って何でも認める趣旨を同号は有していない、故にそれ以外の財産引受以外の開業準備行為につき、同号を適用することはない、ってこと。

➂発起人の権限外の行為について

これについては、原則として効果が帰属しない、と言うところから始まる。でも、どうにかして効果帰属できない?という価値観が働く(だって取引相手側としては、発起人の権限外の行為というので無効とされたら、『( ゚Д゚)ハァ?』ってなるに決まってる)。

そこで考えられるのが追認。

ただ、残念ながらこれは、認められない。

判例はどうやら取引安全以上に会社財産の保護を重視しているようだ。

理由は以下の二つ

・28条の趣旨is会社財産の保護(∵発起人の権限濫用の危険が高い)

⇒認めたら会社財産への危険が生じてしまう。→同条の趣旨に反する

・33条以下の検査をする者がいなくなる→制度の空洞化の虞

というもの。

さて、まぁ追認不可能というのは実は有名論点過ぎて大抵の人は書けると予想。

ここからが大事。追認無理なら、責任追及だ。この場合、どうするか?

これは、民法117条類推適用

発起人は設立中の会社のために活動する点で、代理と類似することを理由としていると思われる(てか多分それで間違いない)。ただ、類推なのは、代理ではないから。

117条は無過失責任なので、問答無用で発起人に責任を負わせることができるから(基本的にはね)、相手方の保護も図れないわけではないでしょ、というのが、もしかしたら判例が追認を否定した理由の一つとしてあるのかもしれない。

④法人格否認の法理

これは権利濫用(民法1条3項)という一般条項を使って、当該会社における『当該権利義務関係について「のみ」』法人格性を否定するというもの

論証としては

会社に法人格を認めた(会社法3条。これは覚えておかないとな)趣旨は、

会社is社会経済上有用で、経済活動において中心的存在でもあるから、認めることが国民経済上有益というものにあった

⇒法適用回避のために狙って設立or法人格が最早形骸化してると言わざるを得ない

といった場合には権利濫用として法人格を否定していく(ただ、一般条項なので、原則として異なる法人だから云々、と言うのを絶対に書かないといけない。一般条項を使うのは最後の切り札と言うときのみ)

A:法人格濫用のとき

これは

当該会社への実質的支配の存在

法適用回避を以て義務履行の回避という不当目的の存在

B:法人格形骸型

これは

当該会社への実質的支配の存在

会社と役員の財産の混合、株主総会不開催、会社法の手続きの不履践、等諸般の事情から、会社法が規定する会社としての機能を有していない、というかんじだ。

明日は株式だったな。一週間で一科目完成はかなり厳しい途だが、乗り越えたらきっとその時の俺は、今の俺よりも2周り以上大きくなってるはずだ。

乗り越えるより無いな。

さて、今日はこんなところにしておこうか。商法冒険記録としてのマガジンも造るかな。

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