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波羅蜜のテキスト

バリバリの自空論者のテキストばかりを
長く見てきた人間は、
他空の説明を少し聴いただけでは
なかなか納得できない。

思いつきの質疑応答では先生も困ってしまう。

ということで、
他空を説く派の波羅蜜テキストの一部
宗論について書かれている本を借りることにした。

全体的な説明を知れば、
どこがどう関わってどういう主張になるのか
分かるかもしれないと思ったからだ。

ジョナン派座主の大先生から教えて頂いたテキストの名前は、
『宗論明灯(grub mtha’ gsal sgron)』
という名前のテキストだったが、それは見つからず、

『賢い心の素晴らしい飾り(blo gsal yid kyi rgyan bzang)』
とでも訳せば良いのか、
内容が分かりやすいテキストを、ジョナン派僧院で子ども達を教えている先生から頂いた。

ちなみに「〇〇明灯(〇〇gsal sgron)」という論書名は、ジョナン派にも多いらしい。
「明らかにする灯」という意味である。

ジョナン派の始祖ユモ・ミキュ・ドルジェも
四書の「明灯」を著している。

宗論は、仏教哲学など、それぞれの学派の見解、主張を説明するもの。

先ず非仏教徒の主張から始まり、
次に仏教徒の哲学宗派の説明が
パーリ語法統から始まり、
サンスクリット語法統へと続く。

サンスクリット語法統では唯識と中観。

中観においては
自立論証派と帰謬論証派のみに分けるのが自空論者の宗論の分け方であったが、

ここでは中観を先ず、
「第ニ法輪に後続する中観派」
「第三法輪に後続する中観派」
の二つに分ける。

そして先に「第ニ法輪に後続する中観派」を自立論証派と帰謬論証派に分けて、
それぞれを説明する。
(自空論者は第ニ法輪・般若経などを言葉通りに受け取って良い教えであるとする)

その後で「第三法輪に後続する中観派」として自らの見解を説いていくのだ。
ここに自立と帰謬の分類はない。

ジョナン派は他空を説く。
言葉通りに受け取って良い教え、経典群を第三法輪(釈尊の晩年期の教え)におくけれど、

自空論者の見解に沿った
中観の教えを分類と共に先に説き、

その後で「第三法輪に後続する中観派」として、自らの特化した宗論を説明している。

その中で、基礎的な目次は五つ。
1)根本の阿闍梨(師)を知る
2)主張を示すテキスト
3)その定義
4)「中観他空派」という名の説明
5)主張の特性

上記の五項目のうち、最も長いのが五番目の「主張の特性」で、
この中に
①基礎
②道(修行道)
③結果
の三項目がある。

①基礎の部分で説かれることは
 「基礎」という言葉の使い方
 自派の特徴
 ニ諦(二つの真実)について
 四諦(四つの真実)について

②道(修行道)の部分では
 修行道の拠り所
 実際の修行道

③結果の部分では
 所依(拠り所)である法身
  能依(依るもの)である智慧
 事業(お働き)について

と、それぞれ細かな項目が続く。

このテキストの著者は
ガワン・ロドゥ・ダクパ
という。

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