７３）「金が現れる」という水銀が、
金属を金に変化させる。
菩提心が、不浄な身体を、
仏身に変化させる。
 
 

錬金術は世界中にあるらしい。
 
水銀を使った鋳造によって、金属類を黄金の色合いに仕上げることは、
昔から行われていたのだろう。
 
それを本当の金になったと思う人々もいた。
 
ここでの喩例は、
鉄色の金属が、本当に金の本質に変化したと考える人々へ向けられたもの。
 
煩悩や業の結果として生じ、
飲食物を消化し排泄することで保たれているこの不浄の身体が、
 
菩提心を生じさせることで、
一時的にも長期的にも皆の幸せに貢献するツールとなる。
その働きの中に、仏身がある。
 
この身体の原因は不浄であったかもしれないが、
 
この先の身体は、
金のごとく、
美しく、価値のある、ありがたいものになる。