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他空派の宗論⑩

第三項[分類]において、[自性住仏性]と[随増性]のニより、

第一項[自性住仏性]は、上記の種(仏性)に似る。

第二項[随増性]において、[定義][分類]のニより、

第一項[定義]は、「自性の仏性に依拠して、副次的原因によって生じさせられる菩提の因となった有為の善」が、随増性の定義。事相は、菩薩の心相続の資量道のごとくである。

第二項[分類]に、三乗の随増性の三がある。
それらの定義も、「完全な菩提の因となった有為の善」が、大乗の随増性の定義。

それを応用して、独覚の菩提と、声聞の菩提に当てはめれば、その二つの定義であると知ることができる。

四項[言葉の説明]は、「種」に対応する語は「ゴダラ」といい、それも「皮」に似た意味である。「精髄」に対応する語は「ガルバ」といい、それも外から他のものが被さる中心にある意味で、「種」の音(言葉)を説明しなければならない。

仏性は、二つに分けられる。
①もともと持っている仏性と、
②修行によって増大する仏陀の性である。

①が自らの性に住する(とどまる)仏性。
(自性住仏性 : rang bzhin gnas rigs)

②は仏陀に向かって(随して)増大していく
仏陀の性である。
(随増え性 : rgyas ‘gyur gyi rigs)

「菩提」とは、仏道修行の最終結果。
「完全な菩提」は、仏陀の境地を指す。

「有為」の定義は、「生じた」。
原因や条件によって生じたものを指す。

事相(具体的な例)として、菩薩の資量道があげられている。

原因(修行等)によって生じる随増性なので、
もともとあって恒常不変である自性住仏性とは
性質が異なる。

「三乗」とは、
大乗の菩薩乗と、
小乗の声聞乗、
同じく独覚乗のこと。

声聞と独覚は、先ず自らの解脱を求める
小さな乗り物に乗る修行者。

声聞は解脱を得る生で、
師にあたる仏陀のもとで修行をし、
解脱を得る。

独覚は解脱を得る生で、
師にあたる仏陀に依拠することなく
独りで覚醒し、解脱し、
修行の結果(独覚の菩提)を得る。

独覚の随増性の定義は、
「独覚の菩提の因となった有為の善」。

声聞の随増性の定義は
「声聞の菩提の因となった有為の善」
となる。

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