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元スタッフが明かす、リアルな住宅展示場の舞台裏


モデルハウスとは?

住宅メーカーや不動産会社が、自社の住宅の設備や機能、特徴などを購入希望者や一般の人々に実際の家を見学してもらいながら営業するために使用される住宅のことです。

デザインと広さの確認
モデルハウスでは、実際の住まいのデザインや広さを実際に見て確認できます。図面やカタログだけではイメージしにくい実際の完成形を体感でき、家づくりの参考にすることが可能です。
内装イメージも壁紙や床材に何を使うか、カラーコーディネーションをどうするか。
また、思いもつかないようなアイディアに触れることが出来ます。


最新の設備に触れる
モデルハウスは通常、最新の住宅設備や機能を備えており、これ触れることでリアルに必要なモノ、そうでないものが見えてきます。


複数の検討
住宅展示場では複数のモデルハウスを一度に見学できるため、メーカー選びの段階にある方、ただ漠然と興味がある方にとっては、比較検討がしやすく次のステップに繋がりやすくなります。




3階建て二世帯住宅、モデルハウスの舞台裏

過去、大手有名ハウスメーカーのモデルハウス内での勤務していた時の一日です。
関東最大級の展示場とされるところに通ってました。
土日の来場者数は5組以上、三連休やGWともなると15組くらいだったでしょうか。平日の来場者数は2~3組くらいで、ある日の平日を紹介します。
10年程前のことなので、ご参考程度に!

9:15
通常は一般の住宅展示場来場者にはわかりずらい、モデルハウスの裏口から鍵を使って事務所へ入ります。
モデルハウス内の<スタッフオンリー>エリアです。

9:30
一般家庭であれば考えつかないですが、まずはモデルハウスの照明を全灯します。お客様に来ていただくためですね。
モデルハウスは部屋数も照明も多いので一つ一つオンオフして、家じゅうを回るのは意外と大変です。

それから、掃除をして回ります。
掃除用品や雑巾などでほこりなどをとっていきます。
そのあとは掃除機をかけます。3階建ての200㎡近くある室内ですので、
人が居住してなくても時間はかかります。個人的には階段が難所でした。


10:00
例え、掃除や設えが終わっていなくても、10時オープンです。
モデルハウスの正面入り口玄関扉を開けます。
親子ドアのケースがほどんどで、フルオープンにします。
ガラスの自動ドア一枚が室内と外の隔たりとなります。

お客様が来やすいように、イーゼル看板を表へ出して
テーマ曲を庭に流します。

庭に植わっている植栽に水を巻きます。
掃除の続きをし、掃除機をかけている間にお客様が入ってくる
なんてこともありました。


10:30
季節ごとに、庭のお花や室内の観葉植物などを変えます。
専門のグリーンスタッフなる方が、室内の水やりや状態をチェックし
時には剪定なども。
常に完璧な佇まいのグリーン、観葉植物たちがモデルハウスのアートとして置かれています。


11:00
ちらほらとお客様が、ご来場されます。
お客様のパターンは3種類あります。
① 見込みとなるお客様
② 契約後に、内装を参考とされるお客様
③ 建築学科の学生さんや、すでに別のメーカーや工務店で契約しているが 内装を参考としたいお客様

①のお客様が来ると、営業担当の出番になります。
それ以外の、内装やコーディーネートなどの話はさせていただきます。



12:00
平日のお昼頃になると、お客様もいらっしゃることが少ないので
昼食をとれます。

中には、お昼にいらっしゃることもあるので、昼食を中断して
接客をします。



14:30
比較的来場の多い午後。
モデルハウス内の家具や、設備、内装、インテリアの手法などお客様とのやり取りをざっくばらんにさせていただきました。

事務所内へ入ると
また、営業担当者の契約前資料の手伝いや、見込み客へのアプローチサポートをします。

事務所内は、夢のモデルルームとは真逆の
<目標契約数><利益率〇%><営業担当契約件数>等 
事務所らしい掲示物が壁に掲示されています。

それらしいお客様が来場されると、営業担当者は燃えてました。
新規のお客様については、平等に振り分けられていました。
新規のお客様については、必ず記名を頂きアプローチが出来るようになっていました。
この段階で、例えば他社契約済みなどわかると、無駄に営業しないのです。



16:00
モデルハウスでは、お茶やお茶菓子などを用意しています。
それらのストックや、事務用品などを手配します。
事務作業などもします。



17:00
展示場自体の営業が、17時まででしたので
モデルハウスも準じて閉める準備をし、閉めます。

スリッパやキッズコーナーを整え、
イーゼルをしまい込み、正面玄関を閉めます。
ただ、週末やイベント時、お客様がいらっしゃるときには最後までお見送りをします。




展示場とリアル契約

夢のモデルハウス
モデルハウスの役割はお客様へ夢を売ることです。
売るのは、夢です。

約10年前 
延べ床300弱㎡ 特殊木造3階建て 
総工費(内装含)1億円はかかっていたようです。
現在ともなれば、ご存じの通り建築資材全般の高騰で1.5倍の費用
ともなるかもしれません。

2世帯設定でしたので、水回りは1階と2階にそれぞれ配置されています。
さらに3階の多目的スペースにはミニキッチンまで備えてありました。
水回りの設備は最高グレードです。
住宅内装の中で一番コスト高なのが、水回りです。
最高グレードのオーラを放っておりました。

ハウスメーカーでは標準品となる基本クロスが存在するのですが、
当たり前のように、オプションクロスで壁と天井を覆います。
それから、クロスよりも単価の高いタイルや木製装飾パネルなどで
壁や天井の随所へ、絶妙にアクセント装飾します。
全室床暖房、真冬でもタイル敷の床でもホカホカです。

収納スペースには
見事にユニットがはめ込められ
なんでも収納できそう、むしろ住めそうなくらいの広さです。


子供部屋もかわいく装飾され、
「将来子供が出来たら…」
多くのご夫婦の会話を聞きました。


まさに夢の空間がモデルハウスです。
その、モデルハウスは責務を全うしていました。



検討必須
ただ多くの方々は、検討必須となります。
要不要、こだわりポイントとそうでもないポイントを精査して
現実に近づけていく作業です。
個々に関しては、人それぞれなので
しっかり考えたいポイントです。

住宅を建てる際にはこれらの違いを理解し、実際の住宅の条件に合わせて検討することが重要です。



ウラ話

カメラ監視?
お客様がモデルハウス正面玄関の自動ドアからいらっしゃれば、
調度いいタイミングでスタッフが玄関先までお出迎えに行きます。
実は、玄関にはカメラが付いていて事務所内で確認ができます。
PC作業で下を向いていてもわかるように、呼び鈴の自動再生で来客を知らせてくれます。


営業スタイル
展示場には、多くのハウスメーカーが集結しています。
めぐってみるとわかるかもしれませんが、メーカーによって教育が異なるので、営業担当者の色がかなり違ってきます。
スマートであまり追いかけないスタイルの営業スタイルや、がつがつ系の営業スタイル。比較的、営業担当に若い世代を採用しているメーカーや、落ち着き重視スタイルなのか…
もちろん個人でも違いますが、メーカーごとにもかなり変わってきます。


謎ルール
当時、勤めていたハウスメーカーの謎ルールを公開します。

「営業担当の車で送迎禁止」
モデルハウスを閉めた後、営業担当者はお客様のご自宅へ向かうことがあります。その際には車で向かうわけですが、電車で通勤するスタッフの自宅近くだと送ってくれるようなこともあります。
これが、公には禁止だったのです。
謎の理由は、営業担当者は男性が多く男女の関係にならないように、と。
当時の先輩から伺いました。

送迎してもらう=男女の関係
未だに謎ですwww


出来る営業マン
お客様へ菓子折りをもっていかなければならなくなったA係長。
買い出しへ向かおうとしますが、そこへB係長。
B「これ良かったら…」
A「?いいの? どうしたの?」
B「トランクに幾つか積んであるんすよ!」
A「用意周到~(;´∀`)」
B係長、それからしてすぐに課長へと昇進していました。









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