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Norah Jones - Can You Believe


どうにも信じられないのだけど、何を血迷ったのか日本のディープサウスの僻地に移住しようとする人があとをたたない。都会に出てくる我々のような田舎者も、そのように思われているのだろうか。きっとそうなんだろう。

移住希望者から意見を求められた場合には、今いる場所を確保しつつ、お試しで1年ほど住んでみてから決めてはいかがでしょうか?と言う、至極当たり前のことをアドバイス差し上げることにしているのだが……。

意見を求めておきながら、田舎者に何がわかるのだと言わんばかりの笑みを浮かべ颯爽と移住し、2年ももたずに退散していく彼らの侘しさときたらもう……。かける言葉もない。だいたいこんな辺鄙なところに住もうなどと考えるのが、そもそもおっちょこちょいなのだから、もう少し己の不明を自覚した方がいい。

たとえばだけど、日本の原風景とも言うべき里山の風景を期待して移住する彼らが、適度な傾斜の山肌を埋め尽くす、雨後の筍のように増殖し続けるソーラーパーネルの群れを想像することは難しい。どこかの金儲けを企む事業者が二束三文の土地を買い、無計画に設置しているのだろう。あのグロテスクな無機物は、景観を損ねるのみならず、環境上も実はあまりよろしくないらしい。嘘かほんとかわからないが、劣化したパネルからは有害物質が流れ出すというではないか。

ソーラーパネルの寿命が20年くらいだとして、廃棄物となったパネルの撤去やメンテナンス、あるいは公害対策など面倒なことになる前に事業者は撤退するはず。これ、いったい誰がどう責任とってくれるのだろう。これのどこが“サステナブル”で“クリーン”なエネルギーなのか。

信じられる?
信じられる?
信じられる?
ほんとうに?

そんな辺鄙な里山では、先日配信されたノラ・ジョーンズの新曲"Can You Believe"が爆音で鳴り響いている。冷たく孤独な心を溶かす何かの到来を待つ祈りの歌なのか。よくわからないけど、ゴスペル風味のきいた彼女らしいといえば、彼女らしいちょっと感動的な楽曲はもちろん、ヴィンテージなサウンドも聞き応え抜群なので、ちょとずつ音量を上げていたところ、気づけばかなりの音量になっていた。とはいえ聴き疲れもなく、むしろボリュームつまみを回すたびに心地よさも増大していくようだ。

とにかく、「僕らはこんなノラ・ジョーンズが聴きたかったのだ!」。大袈裟でもなんでもなく、そう思わせてくれる素晴らしい楽曲。懐かしくも新しい肌触りは、数年前にリリースされたホリデーアルバム収録の"Christmastime"にも近い。プロデュースを担当したLeon Michelsとの共作であるこの楽曲に手応えを感じたのだろうか。今回もLeon Michelsがプロデュースを担当しているらしい。アルバムが楽しみで仕方ない。


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