ゴダイゴ - 銀河鉄道999
「コスモクリーナー」と称する空気清浄機を造った某教団の科学者のような、狂信者たちのほとんどは、僕のような学のない農夫にしてみれば、さしづめインテリである。
たしかに、高学歴で、物理や数学には強く、哲学書だってたくさん読んだのかもしれない彼らはかなりのインテリだろう。しかし、あんな荒唐無稽な教義を信じる彼らのことを僕は正直バカなんじゃないかと思っている。
なぜ、あんな胡散臭い男を教祖と崇めてしまったのだろうか。狂信者とは得てしてそういうものなのかもしれないが、それにしても、と思うのだ。
いや、そもそも僕は彼らを憐れむほどに賢いのだろうか。僕の信じる教義は、世間一般論として信じるに足るものなのか。彼らを狂信者と決めつける僕ら自身が、狂信者である可能性はないのか……。
久しぶりに松本零士先生のことを思い出し、ゴダイゴの「銀河鉄道999」を聴きながら、そんなことを考えていた。
それにしても、これはなんという曲だろうか。「ガンダーラ」同様、40年以上聴き続けているが、いつ聴いても素晴らしい。作曲・タケカワユキヒデ、編曲・ミッキー吉野という、数々の名曲を生み出してきたコンビのなかでも屈指の名曲だろう。
リヒャルト・ワーグナー好きの松本零士先生にしてみれば、その曲調は軽すぎるものだったかもしれない。しかし、よく聴けば、ワーグナーというわけにはいかないが、大人の鑑賞にも耐えうる楽曲に仕上がっているのがわかるはずだ。
まず、未知なる宇宙へ飛び出す若者の背中を押すような軽快なAメロに続くBメロでいきなり転調。未知なる世界への希望とか、後にする故郷への未練などなど複雑な心情を表現。冒険者の束の間の逡巡を表すかのように簡潔にまとめられている。
そして、誰もが胸を鷲掴みされるあまりに魅力的なコーラス部分。元のキーに戻った同パートでは、安定感のあるコードプレグッションに乗せて、ジェットコースターのような高揚感を演出する滑らかなメロディが歌われ、物語は大団円を迎える……。恍惚である。
そういや本家のコスモクリーナーって、どういうやつだったかなと調べたら放射能除去装置のことだった。そういや、そうだった。遠い未来なのではなく、今こそ必要なしろものではないか。ちなみに、これが登場するのは、『銀河鉄道999』ではなく、『宇宙戦艦ヤマト』だった。
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