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「わかりあえなさ」をわかりあう

東京ミッドタウンの
21_21デザインサイトで
『トランスレーションズ』展を見た。

翻訳のことを
「互いに異なる背景をもつ『わかりあえない』もの
同士が意思疎通を図るためのプロセス」と捉え、
手話や料理やAIなどなど、
様々な切り口で翻訳を解釈した展示がなされていた。

会場に入ってすぐ設置されていた翻訳マシーンはかなりかっこいい。
「今日の空は青い」と吹き込んでみると
瞬時に自分の声がモニターの中に文字に変換され、
その後、多言語に翻訳される。拡散・展開されてゆく「声」という音声データ。

洞窟内に反響する音のように
日本から数万キロ先の国々のことばに変換された
「今日の空は青い」が館内に響く。
薄れゆく言葉自体の意味。顕在化する概念。

「翻訳できない世界のことば」の
コーナーが一番興味深かった。
そもそも「おきかえられない言葉」という概念自体がすごく切ない。

展示を見ながら僕は、
ふと20代の頃に読んだ江國香織さんの
「分かり合えていることをわかり合う瞬間の悦び」を
描いた小説を思い出していた。

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