「財政健全化、議論空虚に 内閣府試算、増税でも悪化」に対する雑感

以下の記事のとおり、内閣府は1月17日の経済財政諮問会議で、国と地方のPBが2025年度に3.6兆円程度の赤字になるとの試算を示しました。

これは、政府が財政再建の目標とする2025年度のPB黒字化が一段と遠のいたことを意味しますが、これは何に起因するものでしょうか。

そもそも、内閣府の中長期試算における名目GDP成長率の見通しが甘いのも一つの原因です。例えば、今回の試算では、高成長が前提の「成長実現ケース」における名目GDP成長率は2023年度以降で3.2%程度を見込んでいます。

他方、慎重な成長率を前提とする「ベースラインケース」でも、2021年度以降、名目GDP成長率は1.1%程度を見込んでいます。1.1%という成長率は、1995年度から2019年度の平均成長率(0.44%)の約2.5倍であり、このような空虚な前提でも、2029年度の財政赤字(対GDP)は2.6%までしか縮小しない試算となっています。

経済成長が重要なことは確かですが、財政再建を果たすためには、楽観的な成長に依存せず、社会保障改革を含め、歳出削減や追加の増税が不可避であるということを意味すると思われます。

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