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2020年度予算案を読む(国のPB赤字拡大で、緩む財政規律)

以下の報道のとおり、本日(2019年12月20日)、2020年度の国の当初予算案が閣議決定されました。「麻生太郎財務相は20日、予算案の閣議決定を受け「経済再生と財政健全化の両立をめざす予算だ」と胸を張った」との話もありますが、これは本当でしょうか。

まず、政府は国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化を2025年度に実現するという目標を掲げていますが、2019年度と比較して、2020年度のPB赤字は拡大しています。

といいますのは、国の一般会計予算(当初)において、税収等は2019年度が687,966億円、2020年度が701,018億円であり、臨時・特別の措置を含む政策経費は2019年度が779,489億円、2020年度が793,065億円になっています。

このため、2019年度のPB赤字は91,523億円、2020年度のPB赤字は92,047億円であり、PB赤字は500億円くらい拡大しています。

2019年10月には消費税率を10%に引き上げたものの、「臨時・特別の措置」を除いた100兆円超えは初めてで、せっかく増税を行っても、歳出が膨張しては財政赤字の縮小幅が低下し、財政再建が遠のくだけに思います。

なお、2019年度の税収は見積りよりも下振れしており、2019年度予算では赤字国債を追加発行することになりました。このような状況の中、2020年度予算案が固まりました。

政府は「税収は過去最高の63兆5130億円を見込み、国債の新規発行額は12年末に第2次安倍政権が発足してから8年連続で減る」としていますが、「1.4%という高めの実質成長率見通しを前提にした強気の税収見込みだけに危うさがある」という記事の指摘は全くその通りに思います。

(参考)2020年度予算案の構成

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