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【初回3/1, 3/5】基礎ゼミ・古典読解ゼミ報告(現代思想コース)

ソトのガクエンの哲学的思考養成ゼミ(現代思想コース)基礎ゼミ古典読解ゼミが始まりました。当日の様子についてレポートいたします。

基礎力向上ゼミ#1

基礎力向上ゼミは、毎週火曜日21時~22時半に行っています。初回ということで、今回は、ソトのガクエンの代表小林によるイントロダクションを行いました。哲学的思考養成ゼミの趣旨を説明した後、現代思想に精神分析が与えた影響という観点から、現代思想を理解するためにフロイトを読む意味について論じられました。

基礎ゼミ配布資料より。黄色は精神分析がベースないし言及があるもの。

フロイトの功績として、①心因性の病の存在を治療と結びつけたこと、②無意識、抑圧、エディプス・コンプレックス等、独自の概念を考案したこと、③人間の性を動物的な本能(生殖)から切り離したことが挙げられます。フロイト以後の哲学や思想は、フロイトが提示した精神分析というフォーマットをベースに継承・展開されることになります。そのポジティブな継承として、ジャック・ラカンの精神分析、ジョルジュ・バタイユやロラン・バルトの文学理論、サルトルやメルロ=ポンティの現業学的人間学、さらには、フーコーやドゥルーズなどのフランス現代思想の流れがあります。

基礎ゼミ配布資料より

これに対し、フロイト精神分析に含まれる家父長的発想や家族幻想を批判的に乗り越え、女性の社会的権利の肯定を企図するフェミニズムや、フェミニズムに残存する男女の二元論やアイデンティティへの固執それ自体を批判するクイア理論は、フロイトのネガティブな継承と捉えることができます。いずれにせよ、フロイトの精神分析の射程が現代思想の広い範囲に及んでいることが分かります。

参加者の方々からは、フランス現代思想の二極化に見られるような科学と哲学の対立に終わりはあるのか、精神分析とは何なのか、ラカン精神分析の論理性や形式性への嗜好について、象徴的なものとしての父と機能としての父の違い等々について、さまざまな質問や意見が活発に交わされました。

次回#2(3/8)では、フロイトの経歴を少し紹介した後、「精神分析における無意識の概念についての考察」(『フロイト、無意識について語る』所収)を実際に読み進めます。


古典読解ゼミ#1

古典読解ゼミは毎週土曜日22時~23時半に行っています。こちらも初回ということで、基礎ゼミと同様に小林によるイントロを行いました。
精神分析と記号論に加え、現象学もまた、現代思想を理解するために必要なツールとなりうると考えられます。現象学は、19世紀後半あたりから勢力を強めていった実証主義や科学の形式主義に対抗し、人間の経験に立ち帰り、世界や他者とのかかわりの中から、どのようなプロセスを経て人間の経験というものが立ち上がるのかを思考しました。フッサールやメルロ=ポンティをはじめとする20世紀を代表する哲学者たちは、そのような経験の立ち上がりを思考するために固有な概念をいくつも創出しました(志向性、ノエシス/ノエマ、超越論的還元、エポケー等)。現在、現象学は現代思想のみならず、ケアやリハビリといった臨床的な領域、あるいは芸術論など、さまざまな分野にその発想や概念が応用されています。

古典読解ゼミでテキストに選定したサルトル『イマジネール』は、極めて抽象度や形式性が高い現象学の概念について、たとえばモノマネやカリカチュアといった具体的な事例に即して論じており、具体的な現象学的記述の実践を追体験できます。

古典読解ゼミ配布資料より

今回は、サルトルの経緯と『イマジネール』の簡単な紹介を終えましたので、次回からは、実際に、『イマジネール』の読解に入ります。まずは、序(アルレット・エルカイム=サルトル)を読んでみましょう。


ゼミ終了後も、ソトのガクエンの専用Slack内にて、参加者の方々の感想やコメント、質問などが投稿されています。参加された方それぞれが、色々な考えや理解を持ち帰っていただけたようで、次回も楽しみです。

次回の基礎ゼミは3月8日(火)、古典読解ゼミは3月12日(土)です。
参加ご希望の方は、
サークルのページソトのガクエンのPeatixもしくはホームページをご覧ください。


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