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早川港の散歩道

エリック・ロメール監督の『緑の光線』という映画が好きで、何度も見ている。見る度に旅へ出たくなる。海に行きたくなる。このコロナ禍で家にこもっている間に、今までミニシアターでしか見たことのなかったこの映画をオンラインで見れることに気づいた。見た途端、漁村で夕日を見たくなった。

小田原は砂浜や山も美しいけれど、港があるのでとにかく魚がおいしい。小田原で漁村に行きたくなったのなら、夕方に港まで散歩すればいいじゃないか。そう気づいたらたまらなくなって歩いていた。

家から港に向かうには、まず東海道の旧道を歩き、箱根板橋駅の方に向かう。そこから国道1号線沿いに歩いて、熱海方面に曲がる。標識のフォントが独特で好き。

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まっすぐ海に向かって歩き、早川を渡る。この川では子供の頃、よく鮎を釣った。鮎は自分たちで釣るもの、もしくは近所のおじちゃんがたくさん釣りすぎてお裾分けしてくれるもの、と思っていたので、大人になって居酒屋のメニューでみたら案外高くてびっくりした。渡る橋と平行に東海道線の線路が並ぶ。

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ちょうどこの反対側を向いて川を見下ろしたとき、水の流れを撮っていたら蛇がキラキラ輝きながら泳ぐのが写り込んだ。たぶん間近でアオダイショウを見たらギョッとするし怖いと思う。だけど橋の上で安全なところから見下ろす、優雅に泳ぐその姿は、かっこよくて、美しくて、惚れ惚れした。

さらに進むと、ようやく港に着く。夕方の早川港はほとんど人もいなくて、犬の散歩をしている人をちらほら見かけるくらい。仕事を終えた船が静かに波に揺れながら停泊しているのが、穏やかな色合いのこの日の夕焼けと相まって、心静かになる景色だった。

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この港は夕焼けもいいけれど、昼間に来ると水面が太陽を反射して眩しくて、その景色も好きだ。いつもは活気があるけれど、コロナ禍でほとんどの食堂が休業だったため、静かな港はちょっとだけ寂しかった。

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早川港の近辺の飲食店の中でも、特に好きなのが三太郎という寿司屋。お寿司が美味しいのはいわずもがな。牡蠣とのセットなんてもう絶品。なによりせっかく小田原に来たなら食べてほしいのがオシツケの煮付け。オシツケって魚はなかなか流通が難しいらしく、水揚げした漁港付近でしか食べられないらしいと聞いた。脂が乗っていてトロットロでたまらない。

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きっと小田原の外から早川に来る人はお目当ての食事処があるだろうけど、どこもお昼時なんかは大行列になるだろう。待っている時間に近辺を散歩したら、お腹も空いてますます新鮮な魚をおいしく食べられるはず。港の周りや川沿いなんかをぜひ歩いてみてほしい。


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