見出し画像

#2 大好きな作品が完結した話

「まずは続けるところから」と言った自己紹介投稿から、早1年半。
メインのアカウントすら見る専になり、ログインもしなくなり……怠惰を極めてしまいました。

まああの、社会人になって、起きてご飯食べてあくせく働いて寝て終了…という、あれ?どっかのバンドが歌ってた某曲の歌詞か?みたいな生活をしているので、心に余裕がないといえばないんですが。。(言い訳)

前置きが長くなりました。
ともあれ、久々にnoteに戻ってきました。
こんにちは。はじめまして。お久しぶりです。

なぜ突然戻って来たかと申しますと、
タイトルの通り、つい先日、大好きな作品が完結しまして。
その感想というか、「もはや感想という形にすらならないけど、この感情をとりあえず吐き出したい」という衝動に駆られたのです。

ということで、衝動にまかせて書き綴ります。

若干ネタバレあるかも知れないので、
読んで下さる方はご注意を。


「そちらに亜子がお邪魔してませんか?」

完結した大好きな作品とは、
『あことバンビ』(作:HERO)です。
皆さんご存知でしょうか?

作家さんが個人サイトに掲載している作品(=商業作品ではなく完全に個人の活動)なので、ファンなら知ってるよね、くらいの知名度かと思います。
後にpixivやニコニコにも同内容が更新されるようになりました。

ちなみにHERO先生は、今年アニメ化された『ホリミヤ』の原作である『堀さんと宮村くん』の生みの親です。
そう聞けば、あの方ね!と、ご認識の方もいるかも知れません。

<あらすじ>

小説家のバンビが引っ越したのは訳あり(事故)物件。
入居から2週間経った頃、アコと名乗る女子高生の幽霊が現れる。彼女曰く、生きていた時の記憶はほとんど無く、自分自身のこともあまり思い出せない。行く宛がないと言うアコに対して、バンビは、アコをモデルに「お話」を書きたいと持ちかける。
そんなある日、バンビ宛にファンからと思しき差出人不明の荷物が届く。包みの中には、プレゼントのほかに、メッセージの書かれたルーズリーフが―――

「そちらに亜子がお邪魔してませんか?」


『あことバンビ』のここが好き

先にお伝えすると、私はHERO先生の作品が大大大好きです。先生のファンだし、唯一の推し作家さんだし、前作の堀宮は私の人生のバイブルです。

なので、ここに書く「好き」は、この作品に限ったことではないかも知れませんが、どうぞご容赦ください。

独特の雰囲気

漫画のメインは、やはり絵です。
『あことバンビ』は、いわゆる白黒漫画ではなく、
白い背景に、焦げ茶色の線と浅葱色のペイントで描かれます。
まずこの色使いが優しくて大好きです。
ふんわり柔らかな印象なので、ぜひ一度覗いてみてください。

また、この作品は日常漫画ですが、何か劇的な山場があるかと言うと、そうではありません。(もちろんその中で様々な出来事が起こりますが、バトル漫画やファンタジー作品、恋愛ものに比べれば少ないです)
そんな中でも、やはり「大事なシーン」「大事なセリフ」は出てきます。
それをさらっと流したり、かと思えばストップモーションかけて(いるかのように)見せたりと、緩急がとても上手いのです。
まるで映画のワンシーンを見ているような、そういう魅せ方や独特の雰囲気が、たまらなく心地よく、大好きです。

②絶妙な余白と間

前述のような場面とは反対に、敢えてセリフは入れず、キャラクターの表情だけ、表情は見せずに体の動きだけで表現されるシーンもあります。
雑誌連載だと、見開きセリフなしでバーンッ!みたいなのがありますよね。
ただ、あれとはまた違っていて。コマの1つ1つをセリフなしで進めていく、サイレント映画のようなシーンがあるんです。
そういった「余白」や「間」が、言葉とは違ったアプローチで読者の胸を打つ。『あことバンビ』は、それが特に活かされているなあと感じる作品でした。
(なぜ?の部分は後段で)

丁寧で繊細な言葉選び

絵だけでなく、セリフやモノローグもこの作品の―――というか、HERO先生の作品の魅力の1つです。
登場人物が発するセリフ、その言葉のひとつひとつが丁寧で繊細なのです。
ほんと、何回生きたらこんなに素敵な言葉が紡げるの?と思うくらい、胸を打つ言葉のなんと多いことか。

作品全体としては重いものではなくコメディ寄りなので、面白い場面がたくさんあるのですが、ふとした時に、まるで小説を読んでいるかのような感覚になります。
言葉選びのセンスというか秀逸さというか、これがHERO先生が出会い、積み重ねてきた人生なのだなあと、読むたびに感動を覚えるほど。(※重い)
話が進むほど実感できると思うので、ぜひ読んでみてください。


最終話を読んで

『あことバンビ』は12/11で、約2年弱に渡る更新が終了、完結となりました。

最終話を読み終えた時は、ああ…そう終わるのか…と、どこか寂しいような、それでいてとても幸福な感情を抱きました。
上手く言葉に表現できないので、こればかりは実際に読んで感じてほしい。

作品全体を通して、個人的かつ勝手に感じたのは、
「関係に名前なんていらない」ということです。

例えば家族とか、親とか、兄弟、姉妹、恋人、友達、同級生、知り合いetc……私たちはたくさんの人と関わり、そこには大抵、何かしら名前がついています。
ではもし、そんな型に嵌まらない関係があったとしたら、私たちはそれを何と呼べばよいのでしょうか。その人を、何と言って紹介すればよいのでしょうか。

私たちを取り巻く「関係」は、本当はきっと、もっと、複雑なのだと思います。
言葉で容易く表せるものばかりではない、そうでなくていい。この作品を読んで、そんな風に感じることができました。

ある意味、HERO先生の作品の特徴のようにも感じているのですが、「誰かと誰かの関係」を描くのがとても上手いんですよね。実に巧み。
だから「〇〇と××」みたいなタイトルの作品が多いのかな……とも思ったり。(浅倉、堀宮、あこバン)

もう1つ印象的だったのは、「言葉を介さずに伝える」という表現です。
前段の「余白」や「間」と繋がるのですが、この作品に出てくる「想いの伝え方」が、本当に素敵なんですよね。別に殊更変わった手段ではないのですが、こんなに美しい想いの伝え方が世の中にはあったのだなあと気づかされました

一方で、「言葉にする」ことも大事なものとして描かれているように感じます。
その1つが「名前を呼ぶ」という行為。
序盤に出てきた時は、幽霊をこの世に引き留めてしまうものとして、どちらかというとマイナス要素として登場しました。
ところが、作品を読み終えてみると、ああなんだ、引き留められていたのは逆だったんだ。引き留めてくれてありがとう、と。そんなプラスの印象に変わりました。

あくまで個人の感想ですが、
「言葉の力」や「言葉を超越するもの」を感じさせてくれるのが、この作品の魅力の1つなのではないでしょうか。


結論:全人類よ、読んでくれ

思いのままに書き綴りましたが、『あことバンビ』は、とにかく素敵な作品です。
冗談抜きで、全人類に読んでほしい。

…と言うと大袈裟でしょうが、少なくとも、人間関係に悩んでいたり、自分自身に悩みを抱えている人には、一度読んでもらいたいなあと思います。

本当は「何話のこのシーンが好き!」、みたいな話もしたいのですが、あまりにもマニアックで、ただでさえ需要のない話がもっと需要なくなるので、あとはTwitterのtosにでも投げましょう。笑

私のこのnoteをきっかけに、1人でも多くの方に、
作品を知っていただけたら嬉しい限りです。

さすがにちょっと図々しいですね。

以上、大好きな作品が完結した話でした。
拙い文章ですが、お読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?